8/25 MIAUシンポジウム2016「欧州の事例から考える著作権の未来」サマリーレポート

8月25日(木)に東京飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュにて「欧州の事例から考える著作権の未来」シンポジウムが開催されましたので、サマリーをレポートします。
(以下、敬称略)
<主催>
インターネットユーザー協会(MIAU)
<協賛>
作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム
Creative Commons Japan

基調講演

講演者:Julia Reda(欧州議会議員、欧州海賊党)
「Correcting CopyWrongs」
ヨーロッパは国ごとに著作権の保護期間と保護規定が異なるので様々な問題がある。例えば意匠性の高い家具は、生産国では購入できても他国だと著作権侵害となって購入不可になる。これらの違いを緩和するため、多くの例外が存在する。例えば 「Freedom of Panorama」サイトは、非商用を条件に風景写真を自由にアップし再利用する仕組み。今の各国の著作権の違いによる弊害を低減するためにEUとしてまとめ(リフォーム、統一、緩和)ようとしており、自分も積極的に法案化に関わっている。

 

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シンポジウム

モデレーター:香月啓佑(MIAU事務局長)
登壇者:
Julia Reda(欧州議会議員、欧州海賊党)
長塚真琴(一橋大学 法学研究科 教授)
上野達弘(早稲田大学 法学学術院 教授)

世古和博 (一般社団法人日本音楽著作権協会 常任理事)
水野祐(弁護士、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン理事)

1. Redaさんのプレゼンを聴いての所感

<登壇者>著作権は排他権であることは避けて通れない。仕事の単価を維持し高めるための最終手段ではないか。
EUは個別の著作権は守りつつ、共有できる付帯条項を付加するアプローチ。保護期間は、著作権を復活させることも行っている (TPPは著作権が消滅したものは復活させない)。多様性を認めることも大切。
権利者保護と利用者の利便性のバランスを保つことが大切。 
インターネット時代になり、保護だけでは権利者のためにならず、二次利用を促進することの方が得になる場合がある。(フェアユースなどのような法律やCCのような契約で)コモンズをどう作るかが重要である。 著作財産権を排他権行使ではなく報酬請求権で解決したり著作権を登録制にする可能性も考えたい(ベルヌ条約をどう超えていくか)。
そもそも権利保護をしてあげないといけないクリエーターがそんなに多いのか?権利保護の弱い食料生産や料理人、ファッションクリエーターのような分野は市場規模は小さくない。
衣食住のような基本生活品には人は対価を支払う。
音楽やアートは、無料で消費されてしまう可能性があるので、それを守る必要がある。
<Reda>適正に安価であれば音楽やアートでも消費者は対価を払う。

2. 未来の著作権

<登壇者>権利保護が必ずしも著作権者のためになっているのか、なっていない場面も多いのではないか。
かつてなく権利者がユーザにもなる時代なので、再利用しやすくする工夫が求められている。コンテンツIDや登録制、権利者への分配などを(BlockchainやEthereumなどの)テクノロジーの進歩で普及させていくことも重要と考える。
著作権者を守るためにブロックするのも一つの方法だが、表現の自由を束縛する懸念がある。もぐらたたきの保護はお金がかかり、長期にやりたくない。何か仕組みを作りたい。JASRACはすでに登録制と集中管理を実現していると言える。
<Reda>20世紀型の著作権は自動付与だったが、21世紀型の著作権はCCライセンスやインターネットの利用をふまえて登録制もあってよいのではないか。

3. 最後に

<登壇者>レダ レポートは著作権保護期間を死後50年と主張するなど過激さが薄くバランスがとれている。
(どうあるべきかを学問として扱っている我々)学者と違って、議員だけあって現実的な法案作りを目指されていると感じた。
<Reda>EU議員としての立場もあるので、多くのEU構成国に寄与する内容とした。完全に統一された著作権法を作ろうとしているのではなく、できるだけハーモナイズをとりつつ、各国の独自性も維持出来る内容を目指している。
<モデレーター>本イベントを通じてEUと日本のハーモナイズに寄与できたのではないか。

 

投稿者:前川 充