オープン・アクセス

図書館ポータルサイト“ヨーロピアナ”に新機能 : マップ検索・ディスプレイ

CCJPブログでも言及する機会の多い図書館ポータルサイト“ヨーロピアナ(Europeana)”。先月もデジタル新聞を提供するプロジェクト“European Newspapers”を開始するなど、その勢いはとどまることを知りません。今回はこのヨーロピアナに新しく追加された機能のご紹介です。

「皆さんがオンライン検索する時、その探していたものがどこにあるのかわかりますか?」そして「皆さんの身近にあるものはあったでしょうか?」-これら質問には、ヨーロピアナ・ポータル最新機能を利用し回答することができます。これまでヨーロピアナの開発部では、マップ上で検索結果の位置情報とプレビューを確認することができる新しい相互検索・ディスプレイ機能の開発に力を注いできました。

検索クエリーから検索結果トップ1000件が多層化された地図(OpenStreetMap・Google Physical・Google Street・Google Hybrid・Google Satellite)に自動的に分布・表示されます。検索アイテムは紫色のサークルによって表示され、地域あたりの検索結果数が多ければ多いほど、大きいサークルで表されます。そして利用者が興味のあるエリアや地域を拡大すると、サークルが細分化され、より正確に検索結果を表示します。さらに、サークルをクリックすると別のディスプレイが開き、検索アイテムの特定場所・ タイトル表示・地理座標を表示します。また、タイトルをクリックすれば、オーバーレイとアクセス記録を残すことなく、フルページ表示で結果を閲覧することができます。このマップはタッチやスワイプにも反応するので、iPadやAndroidタブレットなどのデバイスからの新しいマップと連動することも可能です。

1つ1つのアイテムは、所在地の座標に基づいて位置表示されます。現段階では、全てが地理座標を持ち合わせているわけではなく、今後ヨーロピアナが継続的に新アイテムを追加し、コンテンツ提供者とともに蓄積された情報をより強化していくようになっています。検索した際には、ページの上左端にある地球儀マークをクリックすることで直接開くことも可能です。今回の新機能をお試しになる際には、以下のような検索ワードを利用するとよいでしょう。(検索中に何かしら不具合が生じた場合には、アップデートを有効にするためにブラウザーのキャッシュを消去してみて下さい)

 

ヨーロピアナの内容が、利用者の皆さんにとって身近なものとなれば嬉しく思います。今回の新しいマップ検索・ディスプレイに関して感想をお待ちの方は、是非ご連絡下さい。これは、これから皆さんと共有しようとしている数々の新機能の中のほんの一部ですので、今後ヨーロピアナのブログで発表される内容についてもご期待ください。

原文:New Feature: Map Search and Display
http://blog.europeana.eu/2012/02/new-feature-map-search-display/
公開日時: 2012年2月17日
BY Neil Bates (Junior Marketing Specialist)

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

 

連邦政府から資金提供された研究へのパブリック・アクセス化を支援する行動を

今月初旬、Federal Research Public Access Act (FRPAA)が両党の支持とともに米国の上院・下院に再提出されました。SPARC(The Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition)によると、この法案は“連邦機関に対し、査読雑誌に掲載されてから6ヶ月以内に公的支援を受けた研究のうち、結果的に600億米ドル以上の支援が報告された記事に、オンラインからアクセスする機会を国民に与えるよう要求しています”。この法案が可決されれば、農務省・エネルギー省・NASA・国立科学財団などの機関を含む、米政府から資金提供された研究にまで、現在の(より短い差し止め期間の)*NIH方針(NIH Public Access Policy)が影響を与えることになります。ちなみにFRPAAが初めて提出されたのは2006年のことです。

Research Works Actとは異なり、FRPAAは国民が支払った税金によって援助された重要な科学・学術調査へのアクセスを保証しています。クリエイティブ・コモンズは先日、ホワイトハウスに対し、税金から援助された研究は直ちに・無料で・理想的にはCC‐BYのように広いダウンストリーム(ネットワークで上流の通信機器から下流へのデータ) 使用権を表すオープン・ライセンスのもと、オンラインで公開するよう求める文書を作成しました。それ以前のNIH方針のように、FRPAAは連邦税金で資金提供された科学研究作品に対しオープン・ライセンスの利用を要求してはいませんが、研究へのパブリック・アクセスを増加するための重要なステップであることには変わりません。

また、SPARCが行動指針を公表しました。この中では、FRPAAを支持するにあたって有効な行動がいくつか示されています。ブダペスト・オープン・アクセス・イニシアティブ(研究文献へのオープンアクセスに関連した指針について述べられた声明書)が10周年を迎える今年、税金が支払われ、教育基盤ともなっている研究に対する国民のアクセス支援を表明しましょう。

*NIH方針ーアメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金援助された研究結果に対し、NIHが運営するPubMed Centralとよばれるオープン・アクセス・データベ−スに登録することを義務づける法律。

原文:Act now to support public access to federally funded research
http://creativecommons.org/weblog/entry/31587
公開日時:2012年2月14日
BY Timothy Vollmer (Policy Coordinator)

公的資金援助を受けた研究出版・データへのパブリックアクセスについて、米国政府が行った調査への意見

昨年11月、米クリエイティブ・コモンズは同国政府の科学テクノロジー政策事務局(Office of Science and Technology Policy, OSTP)が情報要請(Request for Information, RFI)に関連した2つの事項への意見を求めているとご紹介しました。1つは連邦政府の投資をうけた学術出版物へのパブリックアクセスに対し、連邦政府はどのように管理すべきかについて意見を求めたもの。もう1つは国の税金によって資金援助されたデジタルデータへのパブリックアクセスに対し意見を求めたものです。

クリエイティブ・コモンズはこれら2つのRFIに対し意見を提出しました。以下はその要点をまとめたものです。他の複数の団体や個人の方もOSTPへ意見提出しており、それらすべてのコメントはOSTPウェブサイトで今後公開されることになっています。

出版物RFIへの意見

  • 国民は研究に対し年間何百億ドルもの資金を提供しています。連邦政府はオープンライセンス政策を制定することで、科学革新・生産力・国民が払った市民税の経済効果をサポートすることができます。
  • 政府から資金援助された研究結果から制作された学術的記事は、完全にオープンアクセスのもと発表されるべきです。完全なオープンアクセスによって、市民は研究ソースの原作者の氏名表示を行うことを除けば、他の条件に制約されることなく政府から援助された研究を即時かつ無料でオンライン利用できるようになります。
  • 完全なオープンアクセスと連帯した市民へ、その許可を与えることができる標準手段はクリエイティブ・コモンズ表示(CC BY)ライセンスの利用です。

データRFIへの意見

  • 連邦政府が政府援助による科学研究結果のデジタルデータの影響を最大限に活かしたいのならば、国民が利用可能な権利についての明確で理解しやすい情報を与えるべきです。
  • 連邦政府は政府援助された科学研究結果のデジタルデータへの無料で円滑なアクセスを国民に保証する政策を定めるべきです。研究者たちが研究結果の公開から手に入れたいと望む信望や利益の他、機密性とプライバシーに対する十分な配慮のもと、これらのデータへのアクセスは可能な限り早急に導入されるべきです。
  • 連邦政府は次の手段で取り入れ政策をサポートすることで、国民へアクセス権限を授与することができます。
  1. 研究結果のデータをパブリック・ドメインで公開する
  2. データ利用者がデータの出典や作者の氏名表示を行う条件を付する、自由度の高いライセンスのもとデータを公開する。

クリエイティブ・コモンズはこれらの目的を支援するため、CC0による権利放棄(いかなる権利も保持しない)とCC表示(CC BY)ライセンスを手段として推奨しています。

原文: Comments to the White House Inquiry on Public Access to Publicly Funded Research
http://creativecommons.org/weblog/entry/31283
公開日時: 2012年1月13日
BY Timothy Vollmer (Policy Coordinator)

ビデオ: Europeana 2011年ハイライト

これまでにもCCJPでは電子図書館ポータルサイトEuropeanaについてのお知らせをブログに投稿してきましたが、今回はこのEuropenanaより2011年のハイライト映像が届きましたのでご紹介したいと思います。

Europeana 2011 Highlights from europeana on Vimeo.

2012年になり早1ヶ月が経ちました。新年にも慣れ、来年について考え始めるこの時期、皆さんには昨年のEuropenanaの活動について短くまとめたハイライト映像をご覧頂きたいと思います。多くの新しいエキサイティングな功績を納めることのできた2011年は、Europeanaにとって多忙な1年でした。残念なことにその全てを映像にすることはできませんが、可能な限りお伝えしたいと思います。

私たちは皆さんがこの映像を楽しみ、歓び・幸せ・成功で満たされる2012年をお過ごしになることを心より願っています。

そしてEuropenanaにとっても、2012年がより良い年でありますように。今後もEuropenaにご期待ください。

原文: Video: Europeana 2011 Highlights
http://blog.europeana.eu/2012/01/video-europeana-2011-highlights/
公開日時: 2012年1月13日
BY Neil Bates (Junior Marketing Specialist)

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

オープン・コース・ライブラリーより第一期42講座が開始

昨年10月末、ワシントン州コミュニティー・高等専門学校委員会(SBCTC)は同州で多い生徒登録数を誇る81のオープン・コース・ライブラリー講座の中から、第一弾として42講座を開始しました。今回開設された以外の残り39講座も、2013年までに開始される予定です。ワシントン州議会とBill and Melinda Gates財団によって創設されたオープン・コース・ライブラリーは、国際オープン教育リソース(OER)活動に参加するとともに、補助金体制を通して制作された資料が、オープンライセンスのもと自由に利用・適応・再頒布できるよう要求するSBCTCオープン政策を支持しています。

また、全講座はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC:表示3.0非移植(CC-BY)のもと公開されています。

この度開設された42講座は、以下のテクニカル形式でも利用可能です。

Green Riverコミュニティーカレッジの教師Michael Kenyon氏の生徒は、新しい数学のテキストに以前は約200ドルも支払っていました。しかし現在は教科書に20ドル払うか、それともオンラインで無料のものを使うかの選択できます。彼が使用している教科書(CC BY-SA)はPierce College Fort Steilacoomにあるコミュニティーカレッジの教授 David LippmanとMelonie Rasmussenによって書かれました。Kenyonは言います「僕たちはたくさんの教科書を見て来ましたが、その中でもこれが1番の教科書だと考える人達がいます」。

SBCTCのオープン教育政策に携わるTom Caswellは、「今回の講座はワシントンの大学生からの要望を考慮して作られました。そして世界中の人々とこれらのオープン講座を共有したいという私たちの考えも原動力となったのです。」と話します。

1つ1つの講座は、指導者・教育デザイナーや図書館員から成るチームによって校正・改善されてきました。講座資料の利用はオプションとなっていますが、既に多くの教授や学部が導入を開始しています。

学生公共利益調査グループ (PIRGs)が行なった非公式の研究によると、ワシントンのコミュニティーカレッジ・専門学校学校に通う生徒全員がオープン・コース・ライブラリーを利用した場合、1年間で約32億円(訳注:$41.6Million=4160万ドルx76.78円換算)の節約になるそうです。さらに、42講座の学部コース開発者が2011年-2012年の学期でオープン資料を使うと、約9,600万円(訳注:$1.26Million=1,260万ドルx76.78円換算)もの生徒の出費を回避することができ、これは開設した42講座の制作費約9,060万円(訳注:$1.18Million=1,180万ドルx76.78円換算)をこの学期だけで上回ることになります。「これらの節約は大学に通うワシントンの学生を助けるだけでなく、初期投資にも明らかに多大なリターンをもたらすでしょう」とう語るのは学生PIRGsへのオープンな教科書を提唱するNicole Allenです。

米国教育省報道官のJustin Hamiltonはこのワシントン州の取り組みについて、国にとって革新的であったと次のように評しました。「大学の学費を安くすることで、生徒はより多く講座を履修し、予定時期に合わせた学位取得ができます。そしてグローバル経済で成功するために用意された職場で社会人となります。これは生徒だけでなく国にとっても有益なことです。」

では最後に、オープン・コース・ライブラリーそしてOER(オープン教育リソース)の熱心な擁護者であり、ワシントン州第36地区の下院議員であるReuven Carlyle(民主党-シアトル)の言葉で記事を締めくくりたいと思います。「今日の現実に添わず、閉ざされ、高価でありながらプロプライエタリ(独占所有物)化した商業的教科書の終焉が本当に見えてきました。膨大な経費削減が求められるこの時代、オープン教育への取り組みは州を挙げて投資すべきものです。私たちはK-12(幼稚園〜高校卒業までの13年間の教育期間)と大学・専門学校教育において、いかに困難であっても、従来のコスト・モデルの現状改善に立ち向かわなければなりません。」

原文: Open Course Library Launches 1st 42 Courses
http://creativecommons.org/weblog/entry/30201

公開日時: 2011年11月2日
BY Cable Green (Director of Global Learning)