オープン・ガバメント

2012年: 政府のオープン・イノベーション

今回は、相互性・共有性を確保することを目的に、オープンシステムと協調性のあるテクノロジーの採用を公的機関に促す取り組み“Civic Commons”についてご紹介したいと思います。Civic Commonsは政府構成にとっての基盤・知識・ツールセット、必要に応じて(データやプロジェクトホスティングのような)技術的な基盤を供給し、共通の “市民のためのテクノロジー” とプロトコルの発展を促しています。 オープンかつ共通のテクノロジーは経費を削減し、公的サービス・透明性・市民参加・運営効果の向上をもたらすことが期待されます。

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2012年になり早5ヶ月。時間の流れと共に、Civic Commonが昨年行なった活動・学んだ事、そして次なるステップについて考えたいと思います。

昨年は多忙な1年でした。Code for AmericaOpenPlansの間の非公式パートナーシップとして、ゆっくりとスタートをきったCivic Commonsの取り組みですが、その開始にあたり、Omidyar NetworkMacArthur FoundationKnight Foundationからの寛容な支援に感謝しながら昨年5月より本腰を入れて活動開始しています。

この頃から、Civic Commonsは大きな目標に向かって加速してきました:

ここではCivic Commonsの行動中心域の活動に焦点をあてます。1) 政府に対しオープン・ソースの利用を活用するよう促す。テクノロジーへのお互いの投資は政府にとって有益なものとなります。2) Open311(注釈: 市民がより直接的に都市の情報を得ることができるオープンで相互利用性の高いシステムを構築し、その国際的な取り組みを推進している) のようなテクノロジーの発展への根本的に異なるアプローチ “オープンプラットフォーム” の発展をサポートする。3)これらの取り組み実行にあたり、その中に含まれる政策や業務に関わるオープンな知識のインフラ構築

では次に、それぞれの分野でCivic Commonsが昨年行なった活動を簡単にご紹介します。

政府のオープン・ソース活用を支援する

私たちはまず、政府は毎年多額の資金をソフトウェア開発に費やしており、オープン・ソースの提案採用が、経費削減とイノベーションが広まることを支援することができるかもしれないと仮定することから始めました。Civic Commonsは(ホワイトハウスとの)連邦ITダッシュボード・(Open Indicators Consortiumとの)WEAVE可視化ツール・(現在NYC会計監査事務局と共に開発中の)checkbook NYC 2.0・(Local ProjectsとCode for Americaとの)Change by Us・その他準備中のプロジェクトを含む、多くの政府ソフトウェア・プロジェトに直接協力することに多くの時間を投資しました。

これらの活動を通して、Civic Commonsは開発プロセス・コミュニティーとのやりとり・そしてライセンシングといった点をサポートする、政府ソフトウェア開発の第一線で活動しています(主にKarl Fogel氏が素晴らしい活躍をしてくれています)。

おそらくCivic Commonsにとって最も重要なことに、これらの活動から学んだこと(詳細は後述します)をCicvic Commons wikiに記録してきたことが挙げられますが、これは今後も続けていきます。

オープン・プラットフォームを構築する

Civic Commonsが推進している中心概念の1つに、政府は開発者と起業家に対し、政府からのサービスと直接融合するツール構築の機会を与えることで、より“プラットフォーム”としての役割を果たすという考えがあります(iPhoneのプラットフォームでアプリ制作が可能であるのとほぼ同じイメージです)。政府系のテクノロジーにおいて、このプラットフォームを基礎としたアプローチは多少なりとも新しいアイディアであり、そこで構築すべきものとその構築方法について再考を要するものでもあります。

“プラットフォームとしての政府”を実現するための重要要素は、ガバメント・サービス同士の接続、そして外部ツールとの接続のための優れた標準化された方法を導きだす事です。インターネットは数々のオープン・スタンダード上(HTTPやHTMLなど)で構築されていますが、その手法のほとんどにおける“市民ウェブ”の基盤は、簡単にテクノロジーを相互運用させることができる標準データ形式とAPIです。

そうした点を考慮して作られてきたのが、地方自治体で発生する問題(道路に空いた穴や壊れた街頭など)を報告するAPIのためのオープンなウェブ標準であるOpen311 standardであり、Civic Commonsの中心プロジェクトになっています。このサービスは異なる都市をまたいでも十分な一貫性をもち、政府と市民の関係性の中核に位置付けられるので、Civic Commonsが最初に力を注ぐ理想的なプロジェクトでもあります。(注釈:Open311プロジェクトはOpenPlansによって2009年に発足され、現在はCivic Commonsが運営しています。)

今年はOpen 311にとって安定した成長がうかがえました: ブルーミントン(イリノイ州)やマイアミ・デイド(フロリダ州)に見受けられる組織内の規約制定の発展に加え、ConnectedBitsSeeClickFixMotorolaKana Laganのような業者関与を通して獲得したOpen311に準拠する都市は現在24を越えます。そしてCode for Americaは、自身のオープン・ソースOpen311ダッシュボードを開始しました。Civic Commonsはこのダッシュボードの活躍によって、2012年加盟都市の多くが翌年それぞれの道を切り開くことを願っています。

Open311の開始当初より、テクニカル・コーディネーター兼コミュニティ・マネージャーを務めているPhil Ashlock氏は、1年の締めくくりとして素晴らしい記事をOpen311のブログに投稿しました。この内容には、Open311コミュニティーに向けた2012年の要求リストが書かれています。

知識を広める

これまでに対話を行ってきたほぼ全ての都市で、オープンデータ・API・標準・オープンソース・発展プロセス・テクノロジー政策といった問題に向き合う際に、同じ様な質問と懸念をかかえています。しかし個々の都市がそれぞれの問題に初めて対処する場面であっても、集合として見た時には多くの経験が積み重なり、多くの教訓が得られています。Civic Commonsの仕事は同じ問題に立ち向かう人々の繋がりを作り、時間をかけて意思決定をサポートする情報リソースを構築し、そして時間を節約するために内部での議論を回避することです。

この知識基盤を形成し、そこからの利益を促すために、誰もが接点を持つ事ができる進行中の取り組みをいくつかご紹介したいと思います。

  • 一般的に、Civic Common Wikiは政策・プロセス・実践において先例となる素晴らしいリソースです。今年、Civic Commonsの2011年Code for Americaの仲間であるMichelle Koeth氏が、およそ20都市からの法定代理人とインタビューした結果、法律上の調達問題指針を開始することで大きな1歩を踏み出しました。今年2月3日には、ある都市が発表しようといていた規約の一部に向けたライセンシング・オプションについての質問に回答しました。これをゼロから書き上げたわけではなく、単純にオープン・ソース・ライセンス・オプションに関するwikiページを参照したのです。また、オープン・データ政策データ規格のようなトピックに関する、素晴らしい参考文献を得ています。
  • 去年暮れ、Civic Commonsは市民のためのテクノロジー・スペースをトラックする、wikiデータベースCivic Commons Marketplaceを開始しました。このアイディアは“市民向けテクノロジーのためのCrunchBase(テクノロジー関連企業・人物・投資家の自由データベース)”とでも呼べるものです。来年はその内容とツール、両方の改善に尽力することになるでしょう。
いつものようにディスカッションに参加したい方は、Civic Commonsディスカッションを訪れてみてください。専門家の方も気軽にirc.freenode.netの#civiccommonsでディスカッションに参加していただけます。以上を念頭に置いて、ここからは今年取り組む事項について述べたいと思います。

マーケットプレイスの形成

Civic Commonsは最近になってMarketplaceのα版を立ち上げ、 どのツールがどこで利用されているかという記録をとる目的で利用を開始しました。これを使い始めるのはとてもシンプルですが、「それぞれの政府団体が目標を達成するのにどのツールを使っているのか?」ということを示す基本のデータセットでさえ、当時は着想するのが非常に難しかったのです。そのため、この状況を変えようという構想から取り組みは始まりました。また、Civic Commonsの目標はこれをオープン化されたデータセットにすることです。CrunchBaseが初期のコミュニティーとなったように、Marketlpaceが時間とともに市民のためのテクノロジー・コミュニティーになることを願っています。

もしあなたが(政府IT職員・政府に関わる場所の業者職員・市民部門に焦点をあてた新規事業に携わるなど)市民のためのテクノロジーの利用者・プロデューサー・購入者であるなら、すぐにでもMarketplaceを訪れプロフィール登録してみて下さい。Civic Commonsは、あなたが何のアプリケーションを構築・購入・使用しているかという情報を必要としています。例えばこちらにご紹介するAzavea社の企業ページは、New York City Dep of ITに向けられたものです。

Civic Commonsは、市民のためのテクノロジー・スペースで活動しているその他全ての組織・企業・政府団体と同じように、 MarketplaceがCode for Americaの新しい事業Brigadeのような新興プログラムにとって使いやすいリソースの役割を果たすよう望んでいます。さらに時間とともに、Civic Commonが構築可能なその他の有益なサービスとツール上で、 Marketplace自体がプラットフォームになれば良いと考えています(ワンクリックのサンドボックス・アプリケーション機能や業界データ分析など)。もし皆さんの中にどなたか開発者であり、最高のマーケットプレイス構築に興味がある方いらっしゃるなら、developers centerこちらのページをチェックしてみて下さい。

オープン構造とプラットフォームの力

多くの都市がアプリをオープンソース化し、二次利用の例も実体化し始めてきた一方で、最も興味深く、広範囲に広がる活動はOpen311のようなプラットフォームの周囲で起こってきました。それはプラットフォームが単体アプリケーションよりも大きいからです。プラットフォームは多くのツールにとって共通の核のまわりで構築される機会を与えます。さらに、ツールがプラットフォームのまわりで構築されるにつれ、プラットフォームの影響力はより大きなものとなり、プラットフォームの採用率が高まり、更に多くのアプリケーションの開発を促します。このことの利点は容易に想像して頂けると思います。

つまり、個々のアプリケーションよりもプラットフォームに着目することで、多くのことが起こるチャンスを作り出すのです。Civic CommonsはOpen311のコミュニティー内でこの展開を続け、同時にプラットフォームとしての公共輸送サービスはどうなっているのか、などといった事例を観察することができます。

そして、来年Civic Commonsがどの分野に尽力したいかを考えるにあたり、都市が個別にオープンソース的に開発を行い続けるだけでなく、相互に拡張可能なプラットフォーム構造を行ったオープンなインフラの開発も促す予定です。全てはオープンなイノベーションの基礎を固めるためにあるといえます。

全体的な連携:オープン化改革

ハーバード大学法学部教授John Palfrey氏は、最近発行された自身の著書『知的財産戦略』でオープン・イノベーション改革について以下のように表しています。:

オープン・イノベーションの裏にある実にシンプルで強力な考えとは、「新しいアイデアの創造者はあなたの組織にいなくても有用たりえる」 ということである。

これはつまり異なる人同士の努力を結合する可能性を実現するということであり、まさにシンプルで力強いものですね。

オープン・プラットフォームによって、政府が提供するテクノロジーの上に誰でもイノベーションを進めることを可能にします。オープン・ソースは複数の都市がお互いのイノベーションから利益を得ることを可能にし、オープンな知識は1カ所で得られた教訓や経験を他の決定の場へ活かす鍵となります。つまり、Civic Commonsの本当の意味での中心的活動とは、政府に対し、オープンなイノベーションのための潜在的な可能性を解き放つよう働きかけることです。

2012年、Civic Commonsはこれらの実現に向け突き進んで行きたいと思います。

原文: 2012: Open innovation for government
http://opensource.com/government/12/2/2012-open-innovation-government
公開日時: 2012年2月3日
BY Nick Grossman

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連邦政府機関は情報の透明化にどのように取り組み、どのような恩恵を得ることができるか

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昨年10月に完成した文献「透明化を達成するための手引き: 連邦政府機関は情報の透明化にどのように取り組み、どのような恩恵を得ることができるか」がついに公表されました。この手引きは米国政府の“人的支援”機関である米国人事局(旧 米国国家公務員任用委員会)の支援によって作られました。

情報の透明化(情報やデータの自由かつオープンな共有)とは、情報の出所が民間機関であるか?公共機関であるか?ということに関係なく、根本的な民主主義的価値を有します。そして、それは主要な科学的データだけでなく、組織的な取り組みに関するデータや情報を含むものです。

具体的に言うと、オープン・ガバメントの活動においては、オープンソースが重要な役割を果たします。オープンソース・ソフトウェアは、定義の上では、まさに透明化そのものといえるでしょう。それはオープンソース・ソフトウェアも、ユーザから成る民主主義的なコミュニティーによって開発され、平等な方法により共有されてきたものだからです。

加えて、予算の制約により、政府が技術環境に応じたダイナミックな変化に対応することに制約がある場合であっても、オープンソース・ソフトウェアはその対応やそれに付随する取引費用を最小限に抑えてくれます。

そこでキーポイントとなvる法的・技術的・予算的な課題については、今回ご紹介した文献の第4章「透明性の制約」で概説されています。情報の透明化(あるいは開示)のために、私もボランティアとしてこの第4章を執筆しています。

民間機関における透明化への取り組みは、営利企業と非営利団体それぞれの実績に対する確たる評価に関し、重要な情報とデータを公開することに焦点をあてています。一方、公共機関において、オープン・ガバメントは政府業務の透明性向上に努めています。これにより、政府と国民は、意図する政策を達成するために、政府のプログラムが効率的かつ効果的に行われているか、十分な情報を得たうえで判断をすることができます。第3代アメリカ合衆国大統領トーマス・ジェファーソンは、そのような情報の透明化が 「議会の議員、そして合衆国の人々1人1人が政府の権限濫用を把握・調査することを可能にし、結果として政府のコントロールをも可能にする」 (Jefferson, 1802, as quoted in Rawson and Miner, 2006)と透明化の正当性を述べています。

皆さんは、これらの話題や政府の透明化についてどのようにお考えですか?

原文: How federal agencies can implement and benefit from transparency
http://opensource.com/government/11/10/how-federal-agencies-can-implement-and-benefit-transparency
公開日時: 2011年10月31日
BY Tom Moritz (Project Director at Sonoma Valley Heritage Coalition)

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あなたの街で、オープン・ガバメント政策が採択されるには

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ローリー(ノースカロライナ州)-市議会はオープン・ソース政策を採択しました

このたび、ローリー市議会は今月7日、オープン・ソース・ソフトウェアやオープン・データの利用の促進を目的とした、オープン・ソース・ガバメントを採用する決議を満場一致で採択しました。 目標達成までのプロセスにおいて、この決議は所有権を主張できるソフトウェアと同じフィールドに、オープン・ソース・ソフトウェアを置くという内容を含んでいます。さらに、市が提供する利用可能なデータを保管するオープン・データ一覧も設置されます。

ローリー市はオープン・ガバメント政策を採決した最初の都市というわけではありません。しかし、ローリー市以外の今後に続くその他の都市がオープン化に向けた決議をより迅速に可決する手助けとなる詳細な計画・指針を示したという点では、おそらく初めてのものでしょう。

オープンソース政策の採択にとって、最も大きな障害は、市議たちにオープン・ソースとは何かを伝えることです。ここで指摘しておかなければならないことは、ソフトウェアがどのようにオープン・ソースの発展モデル、オープン・ソース・ビジネスやライセンス構造に利用できるかという話ではありません。オープン・ソースの基本である: 透明性・協調性・能力社会・ラピッドプロトタイピング(迅速に試作まで移る製作方法)についてお話しています。時折、公共政策は共有といった基本的なことすら欠くことがあるので、このことは重要になってきます。

今回の解決案がローリー市議会テクノロジー&コミュニケーション委員会によって採決された今年1月末、オープン・ガバメント支持者たちは胸の高鳴りとともに、これについての詳細を知りたいと感じました。彼らは決議だけでなく、どのように他の都市対し、これを模倣するよう提案する力をもったプロセスか知りたかったのです。

そこで、テクノロジー&コミュニケーション委員会議長である審議官Bonner Gaylord氏に、今回の採択までのプロセスについてのお話を伺いました。彼はオープン・ソースの精神のもと、喜んで今回の採決成功理由と直面した課題について話してくださいました。みなさんの住む地域の自治体で、オープン・ソースを提唱する手助けになれば幸いです。

Q.なぜローリー市はオープン・ガバメント政策を遂行したのですか?

A.ローリー市は、完全に透明でオープンな理想的な政府の構造の延長としてオープン・ソースを追求しています。一流の民主共和国には、常にその設計の中核としてオープン・ソースの枠組みを有していました。民主共和国の組織図は次のとおりです。: トップに立つ市民が選出議員を雇う。

そこで選出議員は全てを運営するため、スタッフを雇います。この組織構造において、市民は組織内で起こる全てを見ることができる「上司」にあたります。つまり、(時にそれほど明らかでない場合もありますが)目に見える範囲の外で、政府は可能な限り(「上司」である)市民に多くの情報を与え、オープンで透明性を高くするよう尽力すべきなのです。

Q.なぜその他の都市もオープン・ガバメント政策を実行すべきなのですか?

A.以下にその理由を記します。

  • オープン・ガバメント政策は、「上司」である市民に対して、政府が政府としての仕事をこなしつつ、市民からのニーズに応えるために尽力している事を証明するものだからです。
  • データとプロセスを公開して初めて、「上司」である市民から生まれる有益な行動・提案の可能性が開けます。
  • 公開行為は、市民に責任感と歓迎の意をもたらします。責任を感じ、それに対しプライドを持つ事は、市民参加と彼らの満足感を高めるでしょう。

Q.どのように市は政策を開始しますか?

A. 選出議員、市民、政府関係者に関係なく、トランプゲームのように解決案をテーブルの上に置き、そのカード(提案)がどこへ向かうのかを追うことから始めます。

Q.IT部門からの賛同は必須ですか?

A. 政策の実行にあたり、IT部門からの賛同は不可欠です。IT部門の存在が無ければ、政策の具体的な進展は望めないでしょう。(オープン・ソースに詳しくない人々にとって)政策の枠組みを作る上で、危険な方法は非常に多く存在します。技術的な知識と戦略中止を望む気持ちがあれば、どのIT部門でもオープン・ソース構想をすぐにでも破棄することが可能です。

Q.選出議員に対しオープン・ソースとは何かをどのように説明しましたか?

A.これは簡単な言葉に言い換えることができます。ある地方公務員が「なるほど!」と感じる良い喩えは、クッキーのレシピに対してのちょっとした気持ちと似ているというものです。皆さん、おばあちゃんから長年受け継がれているクッキーレシピを1度は見た事があるでしょう。

では質問です。クッキーとクッキーのレシピ、どちらが欲しいですか?もちろん、自分自身のクッキーが作れるレシピが欲しいですよね。しかも、クルミをトッピングするなど微調整が可能で、好みのアレンジができます。オープン・ソース政策もこれと同様で、枠組みを基礎として各地方に合った必要要素を加えることが可能なのです。

以上がオープン化にとっての重要事項です。

決議とロードマップ

次にGaylord氏が語った実際の決議をご紹介しましょう。ウェブサイト上には膨大な数のサンプルが存在します。

もしみなさんの中に、お住まいの都市において決議の提案を考えている方がいらっしゃるなら、スタートポイントとしてローリー市の提案の中から1つ選んでみてください。その後、ご自身の地域に関する知識やニーズに基づき、調整するのです。これはロードマップ作りに役立ち、少なからず次のステップの計画を立てる道しるべとなるでしょう。次にどこへ向かいたいかを明確に認識することが大切です。解決案が採用されるのは素晴らしいことですが、その次段階へのビジョンが無ければ、全くの無意味なものとなります。

ロードマップ制作にあたり、その他の事例が必要でしたら以下にも注目してみてください。ローリー市の主席情報官(CIO)Gail Roper氏は、議会での発表において次のステップにも言及しています。

オープン・ソースにむけた政府の決議
(出典: http://www.raleighnc.gov/content/BoardsCommissions/Documents/TechnologyCommunications/2012/TC-Minutes-20120124.doc

決議番号. (2011) ____

オープン・ソース・システム導入の奨励およびパブリックデータへのオープンアクセスの確保により、オープン・ガバメントを創造するという市議会の意思の表明

ローリー市はオープンで透明かつ身近な政府を実現するため、テクノロジーの利用を公約しています。

ローリー市は、自由にデータを共有することで、経済発展・商業・投資拡大・市民的積極参加の機会を発展させようとしています。

オープン化規格の採用は公開情報へのアクセスなどの透明性を改善し、国民・非営利部門・民間部門をまたぐ組織間の協調性と効率を向上させました。

ソープン・ソース規格は、分散した査読と高いクオリティーを生む透明性の力を用い、高速で低コストな簡易圧縮ソフトウェアを確保します。

ローリー市は、市民と政府の双方にとって有益となる革新的な方法で、公開データを収集・組織・共有するためのソフトウェア・アプリケーションとツールを開発するため、理想的なソフトウェア・コミュニティーを推進しようとしています。

このために、現在ローリー市議会は以下の方法で対処しています。

セクション1. ローリー市情報テクノロジー部門は、業界標準とオープン・プロトコルを利用しパブリックデータを蓄積・露出させる、オープン・ソース・ライセンシング・モデルとテクノロジーでの解決を促すための提案(RFP)の仕様が含まれるオープン化システムを導入する方針を確立します。

セクション2:  ローリー市から利用可能な、オープン形式の資料カタログとしての役割を果たすウェブサイトwww.raleighnc.gov/open 内でオープンデータ・ウェブサイトを構築します。

次ステップへのロードマップ

1. オープンデータの次ステップ: スタッフの対応

  • 行政機関からの資金援助獲得を継続する
  • リソースの必要条件を明確にする
  • 管理体制モデルを作成する

2. オープン化するデータの準備

  • カタログを制作する
  • オープン・データのための方針を定める (どのデータを公開し、どのように優先順位付け・形式の設定・内部プロセス・ビジネス所有権の決定を行なうか?など)
  • カタログに載せるデータの選択
  • プロジェクトの実施
  • ローリー市内オープン・データ・コミュニティーへの取り組み

3. オープン・ソース

  • オープン・ソース・ソフトウェアの評価・選択基準に関する内部調達政策を定める
  • 将来性のあるオープン・ソース・ソフトウェアとプロトコルの一覧を制作する
  • ローリー市がオープン・ソース・ソフトウェアのプロデューサーとして携わるための構造を作る(ライセンシング・モデルやコードリポジトリなど)

4. 住民参加ーより身近なものとして認知されることを目指す

  • 市民が先導に立つコミュニティー
  • 発展途中の新しいプログラムとオープン・ガバメント・コミュニティーとのコネクション
  • 起業家のコミュニティーとオープン・ガバメント・コミュニティーとのコネクション
  • それぞれが使いやすいブロードバンドアクセスの重要性

原文: How to get your city to pass an open government policy
http://opensource.com/government/12/2/how-get-your-city-pass-open-government-policy
公開日時: 2012年2月7日
BY Jason Hibbets

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ホノルルで新しいローカル・ツールとアプリケーション構築が行なわれています

Image credits: CityCamp Honolulu

Image credits: CityCamp Honolulu

今月20日午後5時から翌日21日までの24時間、プログラマーと起業家達がホノルル市とその周辺の公務員と協力し、広範囲な政府データを用いたアプリケーション開発を行なうイベントが開催されました。

イベントは既に終了していますが、ホノルル居住者の日常生活向上を目的に、行政・ITに従事する人々・そして市民との協力で行なわれた素晴らしい内容でした。

このフリーイベントはThe CityCampHNL ハッカソン(訳注:ハッキング+マラソンの造語で、24時間等の限られた時間内でひたすらプログラミングを行い、成果を表彰するイベント形式)と呼ばれ、市民と政府の情報・サービスをより良く結びつけるツール開発に共感すると共に、何かしらのアイディア・興味をもつ誰しもが参加可能なものでした。交通事情・ゴミ収集・地域イベント・近隣の統計データについてなど話題は多岐に渡り、その可能性は尽きることがありません。イベント開催中、最も革新的で便利なアプリケーションを開発したチームにはイベント・スポンサーから賞金も授与されました。

このハッカソンは先月ハワイ大学で開催され、ブレイン・ストーミング・セッションに150人を動員したイベントCityCamp Honoluluの成功に基づいています。どのようにテクノロジーは問題を解決してくれるのか?どのように私たちにとっての好機を生み出すのか?CityCamp Honoluluはこの質問の答えを探していました。

今回の第一回ホノルル・コンペティションは、別の都市で市民ハッカソンが開催され成功を収めたのを手本に、創造性と敏活さを強調したものでした。参加チームは24時間ですばやく実用レベルのアプリケーションをデザインし、開発しました。つまりイベントが開催されたわずか24時間以内で、いくつかの便利なツールがアイディアから現実のものとなったのです。

近い将来、これらのアプリケーションが一般利用できるようになると良いですね。このように、成功を収めたハッカソンは一般市民の生活をより良くし、ホノルルで急成長をとげているテクノロジー・コミュニティーのために有益な機会を提供してくれました。

また、市としてはウェブサイトを越え、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(APIs)を用いることで、自由利用可能な膨大な量のデータベース制作に取り組んでいます。今回ご紹介したイベントが開催される1週間前には、新しく発行される地理情報システム(GIS)マップ・データに添付する目的で、ホノルル・ハッカーのためのGISガイド(pdf)が発行されました。今回のイベントに間に合う絶妙のダイミングです。

イベントを通し、テクノロジーそして電子デモクラシーの主導者達は、政府がより良い役割を果たすよう尽力してくれました。ホノルルは2012年、*Code for America Fellowsを主催する8都市のうちの1つに選ばれていますが、この度のイベント成功でCode for Americaへの協力姿勢を確かなものにしたはずです。

*Code for America: 政府がインターネットで情報公開することで、市民に対してより有益な働きをすることを目的としたオープン・ガバメント・コミュニティ

原文:Honolulu looks to build new local tools and applications
公開日時: 2012年1月17日
BY Ryan
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オープン・ガバメント・コミュニティーのまとめ: どこから始めるか?

Image by opensource.com

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最近オープン・ガバメントの動きについて興味を持った人は、何から始めたらよいのでしょうか?そして、すでに活発な活動を行っているコミュニティーのどれに参加すれば、興味と情熱を注ぐことができるでしょうか?今回はこのような疑問の答えとなるopen source.comからの記事をご紹介したいと思います。

現在、Code for AmericaからThe Sunlight Foundation、GovLoopからCityCampのようなものまで、多種多様なオープン・ガバメント・コミュニティーが存在します。では、具体的に政府の透明性・協力・関与・オープン・データに取り組んでいる組織一覧はどこで見つけることができるのでしょう?これまで最適なものが存在しなかったと思います。

そこで、Online TownhallsのCEOであるLucas Cioffi氏はオープン・ガバメント・コミュニティーの情報をまとめる取組みを始めました。まず彼は以下2つの質問を投げかけ、オープン・ガバメント・コミュニティーのオンライン収集に取りかかりました。

  • アメリカの主なオープン・ガバメント・コミュニティーは何か?
  • オープン・ガバメントの様々なコンセプトの理想的な関係をどのように可視化するか?
この議題についてはGovLoopで意見交換ができます。以下のチャートに記載されていない組織があった場合、Cioffiへ連絡するかGovLoopウェブサイトへのコメントをお願い致します。

また、簡潔かつ相互的な型でありながら、チャート上それぞれの組織ロゴを短い推薦文とリンクによって表す良い方法をお考えの開発者の方がいらっしゃいましたら、アイディアを共有しコメントを残していただきたいと思います。

原文:“Calling all open government communities: Where do you start?” http://opensource.com/government/12/1/calling-all-open-government-communities
公開日時: 2012年1月20日
BY Jason Hibbets (Red Hat)
(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

オーストラレーシアでのオープン・ガバメント・ポリシーの発展

3D Globe at Seattle Central Library by brewbooks/ CC BY-NC-SA

3D Globe at Seattle Central Library by brewbooks/ CC BY-NC-SA

ここ数ヶ月、オーストラレーシア(オーストラリア+アジア)の地域で、オープン・ガバメントの取り組みで幾つかの進展が行われてきました。(訳注:オープン・ガバメントとは政府がクリエイティブ・コモンズやパブリックドメインで情報公開をし、一般市民の参加や対話を促すことを指しています)

ニュージーランドでは8月下旬、財務・総務大臣が政府の透明化を図る新しい取り組みについての詳細を記した宣言(“Declaration on Open and Transparent Government”)を採択しました。この内閣によって承認された宣言は、ニュージーランド全ての公官庁、警察、国防、参与、そして安全情報局を対象としており、その他の公共事業局に対してもこの流れを促しています。さらには宣言の原則とNZGOALのReview and Releaseプロセスに従い、国家部門機関に対して二次利用のための高い価値のある公共データを精力的に公開するよう促しています。声明に関するその他の情報はCC Aotearoa New Zealand blogで確認することができます。

これは6月7月に行われた、ニュージーランド政府とオーストラリア政府によるオープン・アクセスとライセンシングの枠組みのためのウエブサイトの公開に続く流れとなっています。

NZGOAL(the New Zealand Government Open Access and Licensing Framework)とはクリエイティブ・コモンズ・アオテアロア・ニュージーランドによって管理されている、政府のオープンアクセスとライセンシングの枠組みに関する指針であり、“二次利用のために政府が保有するデータを公開する際のデフォルトのライセンスとしてCC:BYライセンスを推奨”しています。NZGOALはCC:BYライセンスを基本とし、この枠組みを通してのライセンシングの実績はopendatastories.orgに記載されています。

一方、AusGOAL(the Australian Government Open Access and Licensing Framework)は、「管轄区域を越えたCIOの委員会」(the Cross-Juriadictional Chief Information Officers Committee)によって国家的に支援そして管理されており、“政府とそれに付随する各部門に対して、公的資金によって作成された情報のオープン・アクセスを用意するためのサポートとガイダンスを提供”しています。AusGOALもNZGOALと同様にデフォルトのライセンスとしてCC:BYライセンスを採用していますが、著作権で保護されたコンテンツにはCCライセンス、著作権で保護されていないコンテンツにはCCパブリックドメインマークを付与することを推奨してます。

こうした動きの多くは既に我々のウィキページ Government use of Creative Commonsに記載されていますので、以後記載されていない事例や詳細がありましたらこのページに加えて下さい。

最後にCCニュージーランドによる、「Creatie Commons Kiwi」と題したCCライセンスの解説アニメーションをご紹介します。Creative Commons Kiwi.

(原文:http://creativecommons.org/weblog/entry/28813