図書館

政府と図書館: クリエイティブ・コモンズを利用したデータのオープン化

ここ数か月、オープンデータを取り巻く状況は刻々と変化しています。その中でも、政府や図書館に関係したオープンデータの動きが顕著です。今回は、最近オープンデータを採用したオーストリア政府、イタリア文部省(教育・大学・研究機関担当)、イタリア下院議会、ハーバード図書館の事例をご紹介したいと思います。

Open data / opensourceway / CC BY-SA

Open data / opensourceway / CC BY-SA

オーストリア政府は、膨大なデータを公開するオープンデータ・ポータルを、CC BYライセンスで開始すると発表しました。このポータル利用規約においては、オープンデータを行う場合にCC BYライセンスの付与を推奨すること、そしてそのようなデータの詳細にはCC BYランセンスを付与した旨を記載することなどが述べられています。

イタリア文部省も、CC BYオープンデータ・ポータルを開始しました。このポータルには、イタリア国内の学校に関するデータ(住所・電話番号・ウェブサイト・管理番号など)、生徒の情報(学生数・性別・成績)、教員の情報(教員数・性別・退職の有無など)が含まれています。同省は、透明性を高めるため、ゆくゆくは全データを二次利用のために公開・オープン化することを目標としており、同時に、教育システムに対する理解を高め、生徒・教員・保護者のための新しいツールやサービスが作られていくことを助けたいと考えています。

また、イタリア下院議会は、CC BY-SAで関連オープンデータを公開するプラットフォームを開発しました。

続いて、米国ハーバード図書館の事例です。同図書館は、1200万点もの目録CC0を使ってパブリック・ドメインとして公開しました。CC0とは、作品をパブリック・ドメインに置くため“いかなる権利も保有しない”という意思表示をするためのツールです。この動きは、ハーバード図書館のオープン・メタデータに関する指針に従ったものであり、FAQでは以下のように述べられています。

CC0 パブリック・ドメイン表示によって、ハーバードは、メタデータにおけるいかなる著作権、それに付随する権利を放棄することになります。これにより、データの幅広い利用とその利用によって生じる発展が期待され、図書館コミュニティーと市民の双方にとって有益なものとなると信じています。

また、ハーバードのプレス・リリースには、オープンデータ化を進めた動機について、以下のように書いています。

DPLA(Digital Public Library of America)の議長であるJohn Palfrey氏は、「この素晴らしい提案によって、多くの開発者は、地方公共図書館や研究図書館・博物館・アーカイブや文化的コレクションを含む、重要な国のリソースを利用した革新的アプリケーション構築を試みることが可能になります。」と述べました。さらに、彼は、「今回の動きが、その他の機関においても、それぞれのコレクション・メタデータを公開するきっかけになれば嬉しい。」とも話しています。

オープンデータにCCツールが利用されることは、非常に喜ばしいことです。CCとデータに関する質問はこちらをご覧ください。このFAQには、データを公開している政府・図書館・組織へのリンクも掲載されています。

原文: Government and Library Open Data using Creative Commons tools
http://creativecommons.org/weblog/entry/31884
公開日時: 2012年4月24日
BY Jane Park (Communications Manager)

国立図書館・博物館がCC0ライセンスでデータを公開

Open Data Stickers” / Copyright and related rights waived via CC0 by jwyg

Open Data Stickers” / Copyright and related rights waived via CC0 by jwyg

ここ数ヶ月、CC0ライセンスはデータの分野、特にGLAMデータ(ギャラリー、図書館、アーカイブ、博物館の頭文字をとってGLAMと呼ばれます)においてますます評価が高まっています。スペインとドイツの国立図書館は、CC0パブリック・ドメイン・デディケーション・ツールを利用し、書誌データを公開しました。これがどれだけ意味のあることか、ここで少し説明したいと思います。CC0ライセンスでデータを公開するということは、データを効果的にパブリック・ドメインにし、そのデータが活用される可能性を広げるために、図書館が全ての著作権を放棄するということを意味します。さらに、それらのデータはLinked open dataとして公開されています。つまり、これらのデータはウェブ上で様々なソースからのデータをリンクでつなぐことを可能にするRDF(Resource Description Framework)として公開されているのです。

スペイン国立図書館は、データ・ポータル: datos.bne.es.をつくり出すため、Ontology Engineering Group(OEG)と手を組みました。このデータ群へはhttp://www.bne.es/es/Catalogos/DatosEnlazados/DescargaFicheros で直接アクセス可能です。

そして、ドイツ国立図書館(別称:Deutsche Nationalbibliothek(DNB))はここでCC0を利用し、Linked open dataとして文書を保存しています。CCドイツでもこの動きを報じており、英語版はOpen GLAMに掲載されています。

関連して、NYのメジャーな博物館であるスミソニアン・クーパー・ヒューイット博物館も、文書化されたコレクションの60%を、CC0でパブリック・ドメインとして公開しています。このデータ群はGithubで公開されています。詳しくは http://www.cooperhewitt.org/collections/dataをご覧ください。

先日アップデートしたFAQを含め、クリエイティブ・コモンズとデータについて詳しく知りたい方は http://wiki.creativecommons.org/Dataで詳細をご確認いただけます。

原文: National Libraries and a Museum open up their data using CC0
http://creativecommons.org/weblog/entry/31853
公開日時: 2012年3月12日
BY Jane Park (Communications Manager)

カリフォルニア大学サンタクルーズ校図書館がCCを導入

カリフォルニア大学サンタクルーズ校図書館は、手引き・How to情報などのコンテンツを二次利用したいとのリクエストに応え、全てのコンテンツに対しクリエイティブ・コモンズ(CC-BY)ライセンスを採用することを決定しました。

同図書館の学術コミュニケーション役員であるKatie Fortney氏は言います。「私たちの多くは、書いたり教えたりする中でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのつけられた資料を利用したいと思っています。ですから、私たちにとって今回の決定は当然のことでした。」「また多くの図書館の中でも、私たちが著作権や技術的な問題に注意を払っているという事実を、人々に知ってもらいたいと考えています。」

図書館は、CCライセンスについて、CCライセンスがついたコンテンツと非ライセンスのコンテンツ、そして許諾を得たものや*フェアユースの範囲内で使用されるもののみをカバーするものであると言及しています。

規約:

表示 3.0 非移植(CC‐BY) — 原作品のクレジットを表記すれば、誰でも頒布・リミックス・微調整・追加・営利目的での利用さえも可能です。頒布する場合は“カリフォルニア大学サンタクルーズ校図書館”のクレジットを表記する必要があります。詳細はこちらクリエイティブ・コモンズのウェブサイトをご覧下さい。

対象となる事項: 図書館職員によって書かれたサイト(library.ucsc.edu)の文章も、ほとんどが上記にあてはまります。基本的に、CC-BYアイコンを右下隅に見つけた場合はそうと考えて下さい。いくつかの模範は、文献レビューの記述リサーチを始めるにあたっての手引きとなり、ユニークな所蔵品を説明する手引きとなるでしょう。

対象とならない事項: 図書館が保持していないコンテンツ(第三者によるライセンスがつけられたデータベース上の記事など)・写真、そして作品自体にライセンスを伴わない画像。また、CC-BYのアイコンを含まないデジタル特別コレクション作品。

*フェアユース: アメリカ合衆国の著作権法において規定されている、著作権者の許諾がなくても、公正な利用であれば、作品利用が可能であるとするもの。公正な利用かどうかは、「利用の目的・性質」「利用された作品の性質」「利用された作品の量と実質」「利用行為が利用された作品の潜在的市場や価値に与える影響」等を考慮して判断する。

原文:UC Santa Cruz library choose Creative Commons
http://opensource.com/life/12/2/uc-santa-cruz-library-chooses-creative-commons
公開日時:2012年2月6日
BY Ruth Suehle

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)