2013年3月27日に開催された文化庁の第8回コンテンツ流通促進シンポジウム『著作物の公開利用ルールの未来』において、文化庁が2007年から検討を開始していた、文化庁独自の意思表示システム(ライセンスシステム)であるCLIPシステムの公開を中止し、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)の普及を支援することを表明しました。これは、2011年度に行われた「意思表示システムの在り方に関する調査研究」の結果を受けたものです。その理由としては、調査研究の報告書に記載されているとおり、(1)検討を始めた2007年頃と比較して、2012年時点で世界中で爆発的にCCライセンスの普及が進んだこと、(2)CLIPシステムの主な利用者として想定していた教育機関や公的機関においてもCCライセンスの採用が世界的に進んでいること、(3)完全ではないものの代替可能な優れた仕組みが普及したことで、必ずしも行政機関が自ら意思表示システムを構築することが不可欠とはいえない状況になったこと、などが挙げられています。
文化庁著作権課の山中弘美 著作物流通推進室長は、シンポジウム上で、「今後は、CCライセンスなどの民間の意思表示システム、パブリックライセンスの仕組みとの連携・協力を視野に入れ、引き続き検討を行っていく。」と述べ、今後は、政府や地方自治体などの公的セクターでのCCライセンスの採用や、民間における普及推進などの形で支援するとコメントしてくださいました。
このシンポジウムでは、CCライセンスの基本的な考え方から、世界における最先端事例まで、CCの現在を報告してほしい、とのことで、40分ほどいただいて、CCJPの常務理事の野口祐子が活動報告をさせていただきました。
そのときの発表資料はこちらです(Creative Commons Now 20130327(PDF), Creative Commons Now PPT 20130327(PPT))。
当日のシンポジウムの様子は、ニコニコ生放送の文部科学省チャンネルのシンポジウムページでご覧になれます。後日YouTubeにもUPされるとのことでした。
今からちょうど10年少し前にCCの活動が米国で始まり、日本でも多くのボランティアの方々や寄付を下さった多くの方々の熱意や善意に支えられて、CCJPは地道に活動をしてきましたが、こんな風に文化庁が後押ししてくださるときが来るとは思っていませんでした。最初の頃から関与してきた私としては、とても感慨深く思います。これはまさに、この日までいろんな形で活動を支えてくださったCCJPの仲間や支援者の皆様のおかげです。心から、本当に、どうもありがとうございます!
今年は、まさに、日本政府の持っている情報やデータの公開にCCライセンスが採用されるか?という局面でもCCライセンスが議論される年になると思います。このシンポジウムでの文化庁の意見表明が、日本政府のCCライセンスやCC0という著作権放棄宣言の採用の動きを後押ししてくれるといいなぁと思っています。
これからも、CCJPはがんばって活動を続けていきます。引き続き、応援をよろしくお願いいたします!
(文責:野口)