電子出版

出版社の新しい著作隣接権を考えるシンポジウムのアンケート結果

2012111日にクリエイティブ・コモンズ・ジャパンが主催しインターネット・ユーザー協会(MIAU)が後援して行われた出版社の新しい著作隣接権を考えるシンポジウムでは、100名近い参加者が集まり、予定時間を30分超過して、熱心な議論が展開されました。

会場で配布したアンケートには34名の方が回答してくださいました。その回答結果の詳細はこちらからご覧いただけます。

プログラム中では、パネルディスカッションが面白かったと回答した人が75%以上を占め、その理由としては、赤松先生のご貢献もあり、本音ベースの議論が聞けたことがよかったとする回答が多く見られました。たとえば、パネルディスカッションでは、出版物への隣接権付与を求める動機として、海賊版対策という課題もさることながら、出版社の出版に対する貢献を認知し、その貢献に対して権利を付与して欲しいというのが本音である、とのコメントもあり、その貢献を認知する形として隣接権付与が最善の方法かについて、より深く検討すべきだ、との議論があました。また、74%の人がこのシンポジウムから多くのものを得たと回答しています。

出版物にかかる隣接権の付与についての意見は、

1) 強く賛成である ……………….. 0 (0%)

2) どちらかといえば賛成である ……5 (15%)

3) 中立である …………………….5 (15%)

4) どちらかといえば反対である ……8 (23%)

5) 強く反対である ………………..12(35%)

6) なんともいえない、分からない …..3 (9%)

7) 無回答 …………………………1 (3%)

と多様であり、回答者の中ではどちらかというと反対・強く反対の合計が58%となっています。コメントとしては、賛成の方からは「何らかの権利が出版者にあるべきと思う。契約書で行うOR譲渡権etcは理想で現実的に無理」「隣接権であれば運用していくことは可能だと思う」などの意見が出されました。反対の方からは「効果として期待される点と問題点として想定される点を比較すると新たな権利を創設すべきとは考えにくい。契約整備で対処可能では」「自助努力なく、お上依存のような気がする(対、権利付与推進者に対して)。著者の立場ですので、やはり不安感が強いです。」などの意見が出されました。

ただし、すべての立場の人が、この出版物にかかる隣接権の付与について、公の議論は必要である、ということで一致しています。コメントとしては、「事前に資料、情報が十分に開示され、それに基づいて議論すべきである」「法改正にあたっては利害関係人の摺合せが必要である」といった意見が出されました。

クリエイティブ・コモンズ・ジャパンでは、このようにインパクトの大きい法改正について、多様な意見があることを受け、拙速に結論を出すことなく、より広く代替案を含めた検討がなされていくことが望ましいと考えます。

この点を継続して検討する機会として、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンでは、1125日に明治大学で開催されるシンポジウムも共催していますので、是非そちらへもご参加ください。