FAQ オープンデータ

ご注意

  • 以下はライセンスの概要をわかりやすくお伝えするために書かれた案内資料です。内容の正確性には注意を払っていますが、わかりやすさのために省略した部分などもありますので十分ご注意下さい。
  • 実際にライセンスを扱う際には、ライセンスの本文をお読み頂き、また、弁護士などの法律の専門家にご相談の上、判断して下さい。
  • クリエイティブ・コモンズ及びクリエイティブ・コモンズ・ジャパンは法律事務所ではありません。
  • ここに提供する情報に関しいかなる保証も行いません。
  • クリエイティブ・コモンズ及びクリエイティブ・コモンズ・ジャパンは、いかなる法令に基づこうとも、あなた又はいかなる第三者の損害(この利用許諾に関連する通常損害、特別損害を含みますがこれらに限られません)について責任を負いません。
  1. なぜライセンスが必要なのですか?
  2. データは著作物なのですか?
  3. 著作物でないデータにはライセンスは不要ですか?
  4. 第三者の著作物が含まれているデータでも、ライセンスできるのですか?
  5. あるデータにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付けたいのですが、表示するべき情報は何ですか?
  6. 望ましくない改ざんが起きたらどうしたらいいでしょうか?
  7. 個人情報はどう扱ったらよいでしょうか?
  8. ライセンスのバージョンは最新のものを使うべきですか?
  9. 著作物でないデータはどのように利用しても構わないのですか?
  10. クリエイティブ・コモンズの表示ライセンスで提供されているデータを利用する際に、クレジット表示はどのようにすればよいのですか?

なぜライセンスが必要なのですか?

多くの人が著作権を侵害することなく手軽にデータを利用できるようにし、オープンデータを成功させるためです。

オープンデータは様々な人がデータを使えるようにする取り組み、政策です。一方著作権法により、データが著作物である場合には、権利者の許諾なしに無断でデータを複製するなどの利用行為は原則として違法な行為(著作権侵害)になってしまいます。そこで、多くの人が手軽にデータを使えるようにするためのツールとして、オープンデータの取り組みに際しては、ライセンスが用いられます。

 

データは著作物なのですか?

データは著作物になっている場合もあり、そうでない場合もあります。

著作物は一般に思想や感情の創作的な表現とされます。事実をそのまま記録しただけのデータであれば、それは思想や感情ではなく事実の表現であり、表現には創作性がない場合もあります。ですが、データセットに含まれる事実の取捨選択、配列、体系的な構成などに創作性がある場合には、そのデータセットが著作物になる場合もあると考えられます。

なお、裁判所は「創作性」についてはかなり低い基準で判断をする傾向にあり、表現が他に見られない独特のものであることや、前例を見たいような斬新なものであることなどは通常求められません。

なお、あるデータが著作物であるかどうかは、弁護士のような専門家のアドバイスを仰いでも判断が難しい場合もあります。

 

著作物でないデータにはライセンスは不要ですか?

著作権に関するライセンスは不要ですが、利用者のために説明をすることは有益かも知れません。

著作物であるデータと、著作物でないデータは必ずしも簡単に区別ができませんので、政府の判断により、あるデータが著作物ではないと扱う方針がある場合には、そのような方針があることを利用者に示すことで、そのデータが自由に使えるデータであるということを明示できるでしょう。

そのような表示がない場合には、ライセンスがない通常の著作物同様の扱いをしなければならないもの、と利用者が誤解することが考えられます。そうすると、本来は無断で複製し、あるいは加工してもよいデータであっても、利用者は、そのようなことをすると著作権侵害になると誤解するかも知れません。政府がそのデータは著作物ではないと判断しているのであれば、その旨を表示することでこうした誤解を避け、利用を促進することができるでしょう。

 

第三者の著作物が含まれているデータでも、ライセンスできるのですか?

第三者の同意も得てライセンスすることをお勧めしています。これは、利用者がその第三者の同意なしにそのデータに含まれている第三者の著作物を利用してしまい、権利侵害を起こしてしまうことを防ぐためです。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを政府なら政府が自らの著作物に適用した場合、そこで許諾の対象になる権利は、通常、政府の権利のみです。他の者の権利については許諾の対象にならないため、データを利用する人は、利用の仕方によっては別途許諾を得る必要があるかも知れません。

なお、許諾を得なくても問題のない場合もあります。例えば、政府の報告書の中に第三者の文章の引用が含まれているものを、引用箇所も、その前後の報告書の文章もあわせて転載する場合を考えてみると、利用者はが第三者の文章について執筆者から許諾をもらわなくても、著作権法上認められた引用として著作権侵害が起こらないことも十分考えられます。

 

あるデータにクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付けたいのですが、表示するべき情報は何ですか?

そのライセンスでデータを提供している旨の記述が最低限必要になります。他にも掲載しておいた方がよい情報や、場合によって掲載が必要な情報などがあります。

クリエイティブ・コモンズの表示2.1日本ライセンスの場合には、以下のような情報を提供することが必要、または望ましいでしょう。

  1. 「このデータセットはCC BY 2.1 JPで提供されています」「このデータセットはクリエイティブ・コモンズ表示2.1JPで提供されています」など、ライセンスに関する注意書き
  2. ライセンスのURL
  3. 免責条項に関する注意書きの有無と、ある場合はその記載箇所
  4. データセットに関する著作権表示の有無と、ある場合はその記載されている箇所
  5. 著作者などの名前(ない場合はその旨の告知)*1
  6. データセットのタイトル(ない場合はその旨の告知)
  7. 特にデータに添付するべきURLがあればそのURL(ない場合はその旨の告知)*2
  8. 第三者の権利が含まれている場合はその箇所と権利

*1 実演家が存在する場合は実演家の名前も。
*2 そのURLに当該データセットの著作権表示かライセンス情報が提供されている場合に限ります。

これらの情報の内、1, 2, 3, 8は利用者がデータをどのような条件で利用できるかを知るために必要になります。1, 2, 3, 4, 5, 6, 7はクレジット表示などの形でデータの利用者が記載する必要がある情報です。情報が見つからない場合にはそれを探さなければならないため、記載すべき情報がない場合はないことを告知しておくと利用者にとっては助かります。

これらを総合すると、例えば以下のような表示をすることになります。

  • このデータセットはCC BY 2.1 JP(http://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/)で提供されています。
  • 著作者:Y市
  • データセットのタイトル:2020年度X調査データ
  • 免責条項に関する注意書きと著作権表示は本データセットの掲載されているウェブページの最下部にあります。
  • データに添付するべきURLは特にありません。第三者の権利は特に含まれていません。

クリエイティブ・コモンズの4.0ライセンスの場合には

  1. 「このデータセットはCC BY 4.0で提供されています」「このデータセットはクリエイティブ・コモンズ表示4.0で提供されています」など、ライセンスに関する注意書き
  2. ライセンスのURL
  3. 免責条項に関する注意書きの有無と、ある場合はその記載箇所
  4. データセットに関する著作権表示の有無と、ある場合はその記載されている箇所
  5. 著作者などの名前(ない場合はその旨の告知)*1
  6. データセットのタイトル(ない場合はその旨の告知)
  7. 特にデータに添付するべきURLがあればそのURL(ない場合はその旨の告知)*2
  8. 政府以外の者の作成した著作物など、第三者の権利物が含まれている場合はその箇所と権利

 

望ましくない改ざんが起きたらどうしたらいいでしょうか?

いくつかの対処法を検討してみてください。ライセンス違反として対処できる場合があるほか、クレジット表示の削除を求めることも可能です。

クリエイティブ・コモンズ・表示2.1日本ライセンスを採用している場合には、著作者の名誉・声望を害するような改変をした場合、それがライセンス違反になることがあります。これは著作者の名誉・声望を害するような二次的著作物を創作したり、複製することが、許諾の範囲に含まれていないためです。

また、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの多くのバージョンにある規定により、許諾者は、利用者に対して、許諾者や著作者への言及を除去するように通知することができます。利用者は通知があれば、実行可能な範囲ですべての言及を除去する義務を負います。

ほかに、ライセンス上の文言には直接関係がありませんが、改変される前の状態のデータをオンラインで発見・比較・参照しやすくしておくことで、改変されたデータを受け取った人が改ざんがないかどうかを確かめやすくしておくというのもひとつの工夫でしょう。

 

個人情報はどう扱ったらよいでしょうか?

個人情報は、多くの場合、第三者に対して本人の同意なく提供したり、目的の限定なく利用させることができません。そこで、オープンデータは個人情報を除外することになると考えられます。

 

ライセンスのバージョンは最新のものを使うべきですか?

クリエイティブ・コモンズ・ジャパンでは基本的に最新のライセンスの利用をお勧めしています。これはライセンスの改訂に伴ってライセンスの法的効力や機能などが改善されることが多いためです。

 

著作物でないデータはどのように利用しても構わないのですか?

著作物ではないデータは、著作権法上は利用に制限がないというだけで、他の法律に反する利用が認められるわけではありません。

著作物ではないデータを、政府が作成し、保有している場合、そのデータを政府に無断で利用しても著作権侵害になることはありません。たとえばある地点の温度を一時間毎に測定したデータが公開されている場合、そのデータの作成は政府が行っているとしても、そのデータを使ってグラフを作成しても著作権侵害にはなりにくいでしょう。データの使い方によっては他の法律に違反することになる場合はあります。(例えば気象予報の提供に関しては気象業務法に定めがあるため、気温データを活用して勝手に気象予報を発表すると、法律違反になることなどが考えられます。)

 

クリエイティブ・コモンズの表示ライセンスで提供されているデータを利用する際に、クレジット表示はどのようにすればよいのですか?

クリエイティブ・コモンズの表示2.1日本ライセンスを例にとると、データを利用する場合には、データに関して以下のような情報を収集し・表示や添付をすることが必要になります。

  1. 「このデータセットはCC BY 2.1 JPで提供されています」「このデータセットはクリエイティブ・コモンズ表示2.1JPで提供されています」など、ライセンスに関する注意書きがあれば、それを「内容を変更せず、見やすい態様でそのまま掲載」すること。
  2. ライセンスの本文またはURLを添付または表示すること。
  3. 免責条項に関する注意書きがある場合は、それを「内容を変更せず、見やすい態様でそのまま掲載」すること。
  4. データセットに関する著作権表示がある場合は、「すべての著作権表示をそのままにして」おくこと。
  5. 著作者などの名前がある場合は表示すること。
  6. データセットのタイトルがある場合は表示すること。
  7. 特にデータに添付するべきURLがあればそのURLを添付すること。*2
  8. データを加工して、二次的著作物に相当するようなものを作成した場合には、その二次的著作物中で、データを利用していることを示すクレジットを合理的な方法で表示すること。

4)-8) については、合理的であればどのような方式でも行うことができますが、二次的著作物や編集著作物に相当するようなものを作成した場合には、「少なくとも他の同様の著作者のクレジットが表示される箇所で当該クレジットを表示し、少なくとも他の同様の著作者のクレジットと同程度に目立つ方法で」行うことが必要になります。

 



本資料は、クリエイティブ・コモンズ・表示ライセンス4.0(http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)で提供されています。著作権表示、免責事項に関わる表示は特にありません。

本FAQの作成はクリエイティブ・コモンズの助成金によって一部サポートされました。
Production of this FAQ was supported in part by a grant from the Creative Commons Corporation.


(2023/03/25 にページタイトルを変更しました)