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オーストラリア放送協会が過去のニュース映像をCCライセンスで発表

ABC Mobile Studio Caravan provided by Australian Broadcasting Corporation / CC BY-SA

ABC Mobile Studio Caravan provided by Australian Broadcasting Corporation / CC BY-SA

アーカイブ、放送局、報道機関によるCCライセンスの利用に興味をもつ皆さんへ、参考になる事例のご紹介です。

先日、 CCオーストラリアは、国内最大の公共放送局・通信社であるオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation / ABC)がWikimedia Commonsを採用すると発表しました。これは、厳選した歴史的に重要なTVニュースCC BY-SAで公開するためのものです。

Wikimediaの資料の多くは、ウェブイサイト「80 days that changed our lives(私たちの生活を変える80日間)」の一部として、ABC開局80周年を記念する一環として、他の記録資料と共に公開されてきました。しかしながら、これは、CCライセンスのもと、二次利用を目的とする多くのニュースや時事報道放送を含む何百もの保存物、網羅的な音声の送受信、ビデオや写真材料を発表してきたABCによる、大掛かりなオープン・アーアカイブ計画のほんの一部です。これは、以前CCライセンスの採用についてご紹介させていただいたABCのソーシャル・メディア・サイトPool上で展開されます。

ABC以外の放送局もCCライセンスで資料を公開していますが、そのプロジェクトが他と違う重要なものになるか否かは、ニュースの質にかかっています。そこで必要なのが、不明瞭な記録資料でも編集前の映像でもなく、ABCのトップ時事報道番組に見られるような、オーストラリア史における大事件を取り上げた洗練されたストーリーなのです。アポロ11号の月面着陸アザリア・チェンバレン失踪事件豪ドルの変動がその例だといえます。異様なほど正確に、現在のインターネット環境を予測した1974年のアーサー・C・クラーク氏の映像も、言うまでもなくその一部です。

そして、Wikimedia Commonsを通した資料の公開は、Wikipediaにおける資料の二次利用を促します。例えば、クリケット・ワールドシリーズの紹介記事です。Wikimediaに記載することで、ABCのウェブサイトに留まらず、かなり広範囲に開けたオーディエンスに向けて情報の発信が可能になり、さらに頒布され広がっていくことが期待されます。ABCイノベーションのディレターであるAngela Clark氏は、プレス・リリースで「Wikimedia Commonsを利用したコンテンツの共有は、より多くの人々にABCのコンテンツを公開するだけでなく、映像の創造性や新規オーディエンス開拓の可能性を促進することに繋がる。」と述べています。

Wikimediaでは、この度の事例について「同ウェブサイトと同じフリー・ライセンスであるCC BY-SAのもと、Wikimedia Commonsで公開された、初の“包括的”放送映像コレクションである」と記載されています。私たちクリエイティブ・コモンズは、今後も今回のような事例をCase Studies wikiに追加していきたいと思います。

原文: Australian Broadcasting Corporation releases archival news footage under Creative Commons
http://creativecommons.org/weblog/entry/32102
公開日時: 2012年3月27日
BY Jessica Coates (Affiliate Network Coordinator)

Vimeoに新しくCCライセンス付の作品の表示・検索機能が追加されました

皆さんも1度はご利用になったことがあるであろう動画共有サイトVimeo。
Vimeoは映像制作者と利用者のため、これまでもプラットフォームを改良してきました。その中でも、今回ご紹介するのは、CCライセンス付の作品を表示したり、検索することができるクリエイティブ・コモンズ・ランディングページ(検索エンジンの結果などからジャンプした先のサイト内で、利用者が最初に訪れるページ)の作成についてです。

http://vimeo.com/newより:

Vimeoがクリエイティブ・コモンンズ・ライセンスで公開された映像検索のため、全く新しいセクションを構築した理由は、Vimeoメンバーが原作品を改変・リミックス・再編集するにあたり、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの利用を大変気に入っているからです。ライセンス形式で分類された何百万もの映像を表示・検索し、Vimeo上の元映像で何が可能か(不可能か)ご確認ください。

私たちクリエイティブ・コモンズは、2010年7月にVimeoがCCライセンスの利用を全面的に採用してくれた際、非常に感激しました。そして今回、Vimeoチームが、CCライセンスのつけられた高クオリティー映像を、より簡単に見つけたいと望むコミュニティーからの要望に気づいたことに、いっそうの感動を覚えています。Vimeoのクリエイティブ開発副会長Blake Whitman氏は言います、

 

Vimeoスタッフは、共有という行為が創造力に対しプラスの影響を与えるための多くの方法を知っています。これを活かし、アイディアのやりとりを可能にすると同時に、創造性の共有に対するVimeoコミュニティーの高まる需要に応えることのできる将来を、構築し続けたいと思います。クリエイティブ・コモンズとの協力はこれらの取り組みに真剣に向かい合う上での重要要素なのです。

一連の活動は場所を選ぶことなく、今回の開発が全ての映像制作者と利用者の手助けとなり、ウェブ上のCCライセンスがつけられた作品の測定の向上、それらの効果を評価する助けとなるでしょう。

Vimeoの活躍には心よりエールを送りたいと思います。

ここでお知らせを1つ。Vimeoのアカウントをお持ちの方なら誰でも、新VimeoへアップグレードすることでCC Vimeoポータルhttp://vimeo.com/creativecommonへのアクセスが可能です。 http://vimeo.com/new を訪れ、Vimeoの全機能の特徴・従来のものとの違いを確認してみて下さい。

原文: Vimeo adds CC browse and search capabilities
http://creativecommons.org/weblog/entry/31415
公開日時: 2012年2月14日
BY Jane Park (Communications Manager)

ビデオダンス作品『Choreography filmed: 5days of movement』白井剛 x YCAM


2011年1月に、ダンサー・振付家の白井剛さんと山口県情報芸術センター(YCAM)が制作し、公開した映像(ビデオダンス)のプロジェクト『Choreography filmed: 5days of movement』の撮影素材が全てCC:表示–非営利–継承ライセンスで公開されています。

特設のWebサイト上で、白井さんが演出/振付/編集/出演を行った映像作品と、作品には使用されなかったものも含め、撮影素材がすべて公開されています。YCAMの竹下暁子さんによれば、このプロジェクトは「映像の視聴/発信の関係性や、観る側/作る側の存在が変化している現代を背景に、「オリジナル」の作品と、逆説的に「アーティスト」や「作品」という定義を問い直すような膨大なデータを、併置する試み」であるとのことです。

特設サイトでは、高精細な映像作品をブラウザ上で鑑賞できる他にも、120個の映像テイクがリスト画面で閲覧・ダウンロードできるようになっています。

このように芸術作品の貴重な創造のプロセスがオープンな形で公開され、創造的な介入や改変を促す試みは今後のアート界にとっても重要な布石となるでしょう。YCAMはinterLabというオープンソース・ソフトウェアの開発・管理・公開の取り組みも行っており、ソフトウェアとコンテンツの両方から日本発のメディア・アートの進化を支えています。

YouTubeがCC表示ライセンスをサポート!


少し前になりますが、2011年6月から、YouTubeの動画に、投稿したユーザーがCC表示ライセンスを簡単に付けられるようになりました。CC表示ライセンスのついた動画は、もとの動画のクレジットやリンクバックをつければ、営利目的も含め、自由に使えるので、著作権の心配なく、リミックスが楽しめるようになります。

また、YouTubeが提供している動画エディタには、CCライセンスで公開されている動画を検索したり、サンプル動画も準備されており、簡単にドラッグ・ドロップして編集ができる簡単な機能も準備されています。

YouTubeという世界で最大級の動画共有サイトでCCライセンスが使ってもらえるのは、素晴らしいことですよね!どんどん、CCライセンスの動画の輪が広がっていくことを願っています。

フォト蔵

フォト蔵は、写真や動画の投稿及び共有サービスを提供する日本のサイトです。
個人で撮った写真をウェブ上に投稿し、保存・展示したり、他のユーザーからのコメントを表示することができます。
投稿した写真を用いて日記を書くこともできます。

また、プリントサービスや名刺印刷サービスとの連携が充実しているのもポイントです。気に入った写真を集めて、プリントしてもらうのもいいかもしれませんね。

フォト蔵でもFlickrと同様、投稿する際にCCライセンスを選択することができます。
CCライセンスが付与された写真を集めたサイトもあります。一度ご覧になってみてください。

Flickr

Flickrは、写真や動画の投稿及び共有サービスを提供するコミュニティサイトです。
個人で撮った写真をウェブ上で整理・分類・展示したり、他のユーザーからのコメントを表示することができます。

また、写真にタグをつけてタグごとの分類が可能です。
例えば山の写真、スープの写真、特定のカメラの機種で撮影した写真などでコミュニティを作成することもできることで、全く知らない人との写真を通じたコミュニケーションを促進し、写真投稿サイトとしては世界的に最も有名なサイトになりました。

FlickrではCCライセンスの付与を積極的に推進しており、投稿の際にCCライセンスの選択が可能になっています。
これまでCCライセンスで投稿された写真の数は2009年3月の時点で1億点を突破しました。今はもっと多くなっていると推測されます。

各種CCライセンスが付与された写真を一覧できるページもあります。そこから「”see more”」と書かれたリンクをたどると、それぞれのライセンスがついた写真だけを検索できます。
他に、検索オプションを指定するページを利用すれば、商業利用が可能な写真のみの検索や、改変して利用してもよい写真などのみを検索することもできます。

統合TVで動画にCCライセンス付与を推奨

統合TVとは、科学データベースやツール等の使い方を動画で説明するサイトで、ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS)が発信しています。

例えば、PubMedという医学・看護学・歯学・獣医学・ヘルスケア・臨床科学の分野での文献データベースの利用方法からCamtasia Studioを用いた動画の撮影・編集方法まで、オンライン上でアカデミックな作業をする際に役立ちそうなTipsが集まっています。これらの動画はCC-BY-SAライセンスで公開されています。

この中で、CCライセンスの付け方についても動画を掲載していただきました!是非ご覧下さい。

http://togotv.dbcls.jp/movie/100218cc_f.html

バークリー音楽院で音楽レッスンの動画などをCCライセンスで公開

米国の有名な音楽大学であるバークリー音楽院では、様々な音楽レッスンのmp3や動画、PDFの教材などを2003年よりインターネットで公開しています。

Berklee Sharesのサイトでは、例えばギターの弾き方講座から、作曲の仕方、音楽の録音や出版の仕方、さらには著作権侵害に関する講座まで、多岐にわたる教材が公開されており、全ての素材はBY-NC-NDライセンスで提供されています。

オープンコースウェアについて

 大学の授業関係教材を全てインターネット上で公開し、幅広い知の流通を目指すOCW(オープンコースウェア)の取り組みにもCCライセンスが活用されています。OCWは2003年にアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)でスタートして以来、米国内のみならず世界中の大学・研究機関に普及が進んでいます。MITのOCWについてはこちら。

 日本国内でも2006年にはJOCW(日本オープンコースウェアコンソーシアム)が設立され、東京大学や京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学をはじめとする十数大学・研究機関が参加し、中でも特に慶應義塾大学のOCWサイトは全面的にCCライセンス(表示-非営利-継承)を採用しています。非営利利用である限り改変しての利用も自由なことから、他の教育機関等がそれぞれの教育ニーズに適合した形で再編集を行なったり、あるいは途上国等の海外の教育機関が、MITの教材を自国語に翻訳して活用することなども可能となっています。

 日本国内の大学においては、2010年6月現在、京都大学・慶應義塾大学・女子栄養大学・東京工業大学・大阪大学・国連大学の6大学が現在CCライセンスを明示的に採用していることを確認しています。

  • (2010年6月6日 採用機関の記述内容を更新)

    Whitehouse.govがCCライセンスで情報提供

    アメリカのオバマ大統領は、大統領選挙にCCライセンスを活用してきました。キャンペーン写真はもちろん、Change.govという選挙活動のサイトにおける情報提供もCCライセンスを利用しています。

    ホワイトハウスのウェブサイト、Whitehouse.govにおいてもCCライセンスが採用されています。もともと、政府が作成したコンテンツは連邦法の下で著作権の保護が受けられないこととなっていますが、第三者が作り出してWhitehouse.govに投稿したコンテンツについて、クリエイティブ・コモンズ表示ライセンス(CC-BY)で公開されるようになっています。

    政府からの情報提供をより開放的にすること、日本においてもこのような動きが生じることを期待しています。