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非常事態時の教育とその先を考える:著作権の柔軟性を最大化するために

Brigitte Vézina
Brigitte Vézina
Cable Green
Cable Green

2020年3月31日

世界規模の健康危機により、教育リソースへの普遍的なアクセスを支えるポリシーの必要性がより明確になっている

COVID-19のパンデミックは学習者の生活に大きな混乱をもたらしている。世界の学生の半数に当たる10億人を超える学生がウイルスの拡散を防ぐための、学校や大学の休校に直面している。結果として多くの教育機関はオンライン教育にシフトしている。一部の教育者は既にある自身の教材をオンラインに載せることができるが、その他の教育者にとってオンラインへの移行は、他の人が作成した教材へのアクセスと、それを永続的に利用、翻案するための法律上の権利を必要とする。これは教育者と学生が著作物を教育目的で自由にかつ合法的に利用するために、オープン教育リソース(OER)へのアクセスと例外・制限規定(L&E)の両方が幅広く存在することが不可欠であることを示している。

オープン教育リソース(OER)とは、(a)パブリックドメインに存在する、または(b)すべての人が自由かつ永続的に5R(retain:保持、reuse:再利用、revise:改変、remix:リミックス、redistribute:再配布)を行えるようにライセンスされた教育用、学習用、研究用資料のことである。

教育のための例外・制限規定(L&E)は、教育目的であれば(対価支払いの有無にかかわらず)著作権者からの承諾を得ずに著作物を利用することを可能とする。L&Eは著作物を利用する際の、権利者と利用者双方の利益の適切なバランスを保つために存在する。教育関連のL&Eは地域によって異なり、一般的に、学習、指導、私的または個人的な利用、引用といった特定の利用方法を許可する。国によっては、これらの利用方法はフェアディーリングまたはフェアユースの法理のもとで許容されている。これらは通常、複製、出版、実演、および(オンライン上のものを含む)通信の権利について、そして技術的保護手段の実装について適用される。教育目的の複製と翻案については強制許諾の規定を設けている法律も存在する。教育目的の著作権の活用を目的とするL&Eの適用や政策は利用者にも作者にも有益をもたらすものである

より公平で、アクセスが容易で、イノベーティブな世の中を作るという使命に従い、クリエイティブ・コモンズはオープン教育を長らく支持しており、またOERの作成、共有、利用を支援するための法的な基盤を提供している。そして著作物の教育目的での利用に関する制限と例外の範囲を広げることも支持してきた。

教育へのアクセスが日々の課題である状況で

多くの学習者や教育者にとって、特に低所得国では、日頃から教育教材を入手することが困難である。高額な教材、複雑な著作権規定と例外など、数々の障壁により、多くの学習者が教育を受ける基本的人権を認められていない。

現在の伝染病による緊急事態とそれが学習機会にもたらす混乱は、この問題に注意を向ける機会となっている。図書館員はフェアユース規定の寛容な解釈を呼びかけており、教育者や教育機関は広くOERを共有しており、民間の出版社は一部の教材を期間限定で無料で提供している。

教員および学習者が効果的な教材にアクセスできるよう支援することは世界的な健康危機において確実に有益だ。そしてそれは危機が去った後も必要だ。オープン教育は一過性の問題に対する短期的な応急処置ではない。公平で、包括的で、効果的な教材と学習機会へのアクセスを保証するための長期的な解決策なのだ。

オープンサイエンスがより良い科学であるように(世界中でワクチン開発のためにCOVID-19に関する研究を共有している)、オープン教育はより良い教育である。これは今回の危機で始まったことではないが、世界の子どもたちが頼りにしている教育制度に一層の強靭さを与えるために、限られた資源の中でより賢く、より責任を持たなければならないことを再認識させてくれた。

今こそ政府はオープン教育ポリシーと教育目的の制限と例外規定を採用することが重要だ

今回の危機は、世界中で公的な教育制度に改善の余地があることを皆が気づく機会でもある。

オープン教育ポリシーは、教育資料の資金を提供した市民がその資料へアクセスできるように、公的資金により作成または調達されたコンテンツがCCライセンスのもと、またはパブリックドメインで公開されることを保証する。ユネスコのOER勧告では、政府が行うべき施策として以下の事柄を挙げている。

  • 公的資金により開発された教材をオープンライセンスとするか、適当な場合はパブリックドメインとすることを推奨し、また、ポリシーの導入と評価を行うため、資金や人材を財政割り当てられるよう、政策や規制の枠組みを作り、実施すること
  • 全てのステークホルダーが、ソースファイルやアクセス可能なOERをオープンファイルフォーマットを用いて公的なレポジトリで公開することを支援し、そのための動機づけの仕組みを開発すること
  • OERポリシーを国の政策枠組みに埋め込み、オープンアクセス、オープンデータ、オープンソースソフトウェア、オープンサイエンスといった、その他のオープンポリシーやガイドラインと連携させること

クリエイティブ・コモンズは、各国政府がこれらを含むオープン教育ポリシーを作成、採用、実施することを支援するために、Dynamic Coalition for the UNESCO OER Recommendation(UNESCO OER 勧告のためのダイナミックな連合)と、オープン教育NGOのネットワークに参加した。

幅広い制限と例外規定は、教育者および学習者が権利者からの許可を得ることなく、合法的に著作権のある資料へアクセスし利用することを可能とする。

国際的なレベルでは、WIPOの著作権と著作権に関連する権利の常設委員会(SCCR)著作権と著作権に関連する権利の内容に関する議論が行われるフォーラムである。L&EはSCCRのアジェンダに2004年から載っており、その議題は教育活動の他に、図書館とアーカイブ、障がい者、特に(2013年のマラケシュ条約で見られるように)視覚障がい者の分野にフォーカスしている。クリエイティブ・コモンズはWIPO関連の活動に積極的に関わっており、SCCRに対してL&Eについて公式の声明を出している。

クリエイティブ・コモンズでの政策系の活動を通じて、私達は時代遅れとなった著作権制度からデジタル環境に適応していくことを目標とした(世界的、地域的、国家的な)法的・政策的イニシアティブを支援する。これはユーザーがオンラインでの利用、特にオンライン教育の文脈での幅広く明確なL&Eの恩恵を受け、デジタルテクノロジーによって提供される可能性を活用できるよう保証することを含む。これにより教育者と学習者が、不当な、時代遅れな、あるいは不適切な著作権ルールによる不当な妨害を受けることない快適な学習体験を享受することができる。

オープン教育についてもっと知り、効果的な教材へのアクセスを増やすために何ができるか?

CC BYライセンスで公開されているCC認定OERで学んで、あるいは「CC認定証書」を獲得するためのオンラインコースに登録してオープンライセンスの知識を向上させましょう。

👋COVID-19の拡大を食い止めるためにWHOがまとめているとおり、20秒以上の手洗いや、密集・密接を避けることなどを実践しましょう。

このブログ投稿は Brigitte Vézina と Cable Green による“Education in Times of Crisis and Beyond: Maximizing Copyright Flexibilities″を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

Open COVID プレッジに大手テック企業が参加

Diane Peters
Diane Peters
Diane Peters
Eric Steuer

2020年4月20日

Open COVID プレッジへの支持は勢いを増している。Amazon、 Facebook、 Hewlett Packard Enterprise、 IBM、 Microsoft、 and Sandia National LaboratoriesもCOVID-19パンデミックの終息に向けた特許の無償提供を行うことを発表した。Intel、 Fabricatorz Foundation、 他多数の企業に続き、これらの企業はこの誓約の創設時採用者として参加し、研究、診断、予防、封じ込めを通じてこの病気を終息させ、影響を最小限に止めようと努力している世界中の研究者、科学者、その他の人々が使用できるように何十万もの特許を公開する。

クリエイティブ・コモンズはこのプロジェクトを正式に支持し、誓約とライセンスの作成に向けて法律の専門家、研究者、科学者とともに協力することを先月発表した。これは先週公開された2つの新たなライセンスを含む。これにより、これらのライセンスを採用する者は、すべての著作物及び特許をライセンスするか、特許のみをライセンスするかを選択することができる。これらのライセンスについてはウェブサイトでより詳細に知ることができる。

知識の拡散を進めるため、自由に知的財産を共有できるように支援、促進することがCCの目的であることから、CCがこの連合に参加することは自然なことだった。誓約への参加の発表以降、私達の役割は、新しい一連のFAQを含む情報リソースの作成、ライセンスのドラフトの作成と更新、誓約を採用し知的財産へのライセンス付与を考えている人たちとの連絡、最も効果的な結果を生み出すように、本プロジェクトがいかに許諾者と知的財産の利用者をうまく繋げられるかの戦略をこの連合のメンバーたちと考えることが中心となっている。私達は今後もこの仕事を続け、成功例を共有したいと考えている。

Open COVID プレッジを採用または支援したい会社、大学、団体、個人は https://opencovidpledge.org/ へアクセスするか、opencovidpledge@gmail.com へご連絡ください。

このブログ投稿は Diane PetersEric Steuer による“Tech Giants Join the CC-Supported Open COVID Pledge″を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

学術出版物を「改変禁止」ライセンスで共有することが不適切である理由

Brigitte Vézina
Brigitte Vézina

2020年4月21日

オープンアクセス(OA)の利点は疑いようがなく、すべての学術分野および科学研究においてさらに明白になっている。学術出版物(*1)を自由かつ開かれたかたちでアクセスし、再利用も可能にすることで著者が広く認知されやすくなり、資金提供者による投資の効果が大きくなり、他の研究者および社会全体がアクセスできる知識が増える。このようなオープンアクセスの明らかな利点にもかかわらず、研究者の中には、研究公正を保護するためという誤った信念から、自身の研究論文をより制限の強いライセンスで公開している者がいる。

不正行為、複製、盗用エッセイ・ミル(レポート作成会社)の利用などといった、学術におけるあらゆる不正は、世界中の学術コミュニティにおいて重大な問題であることは間違いない。しかしこの問題はデジタル技術や(CCライセンスなどの)オープンライセンスが登場する以前からあったものだ。オープンアクセスは明らかに学術における不正の原因でもなければ問題を悪化させているわけでもない。

このブログ記事で私達は、研究公正に取り組むアプローチとして学術出版物に制限のあるライセンスを付与することは不適切であることを説明する。特に、「改変禁止」(ND)ライセンスを使用することは、学術における不正を取り締まるための賢明な選択肢ではないだけでなく、研究、とりわけ公的資金による研究を広めることに役立たない。また(CC BYまたはCC BY-SAのような)真にオープンなライセンスに記載されている保護規定は、その他学術における不正および類似の悪用に対する防衛手段以上に、悪意のある学術行為を防ぐことに適していることを示す。

改変禁止ライセンスCC BY-NDCC BY-NC-ND)は作品を複製し、広めることを許可するが、いかなる方法でも、改良、リミックス、改変、翻訳、アップデートすることで派生物となるものを作成することを禁止する。簡単に言うと、人々はオリジナルから「派生した作品」や翻案を作成することができない。

研究者は究極のリミキサーだ

研究者は、出版物が読まれ、インパクトを与え、より良い世の中を作るために研究を公開する。これらの重要な目的を実現するために、研究者は自身の出版物およびデータの再利用と翻案が可能であるようにしなければならない。また、他の研究者の出版物およびデータの再利用と翻案が可能である必要もある。「私が先を見渡せたのであれば、それは私が巨人の肩の上に立っていたからだ」という歴史上最も影響力を持った科学者の一人であるアイザック・ニュートンの言葉は有名だ。仲間や先行者のアイデアと出版物を頼り、見直し、再利用し、改変し、その上に新しい発見を積み重ねていかない限り新しい知識は生まれないという意味だ。研究者は究極のリミキサーなのだ。そしてオープンアクセスはこのリミックスを可能とする究極の方法なのだ。

NDライセンスのついた出版物はオープンアクセスではない

ブダペスト・オープンアクセス・イニシアチブとその2012年の勧告で定義されているように、NDライセンスの下で出版される内容はオープンアクセスとは見なされない。NDライセンスは他の研究者によるコンテンツの再利用を過度に制限し、知識の発展に貢献する機会を奪っている。これがNDライセンスを学術出版物に付与することが推奨されない主な理由だ。公文書など、大幅に改変されてはならない一部の種類のコンテンツにはNDライセンスが使用されるが、このライセンスを、学術出版物の翻案を禁止するために使用することは、学術研究の精神に反する。それどころかNDは研究者にとって害にすらなる。

例えば、NDライセンスは翻訳することを禁止する。学術において英語が支配的であることから、NDライセンスは英語を話さない人々による情報へのアクセスにとっての障壁となり、英語圏を超えた研究の普及を制限する。学術記事に含まれるグラフ、画像、図は、アイデアをより広範囲に広めるために不可欠であるが、NDライセンスは(別途翻案を許可するライセンスが付与されていない限り)、これらの翻案も禁止する。

利用者は、異なる管轄での著作権法における「翻案」定義の違いや、例外・制限規定の適用の違いのために気力を無くすかもしれない。テキストマイニングとデータマイニング(TDM)を利用した新たな知識の生成はその良い例だ。TDMのプロセスの最中に翻案が行われていると主張できるような場合でも、生成されたアウトプットがインプットのいずれかの翻案に該当することはないとほぼ断言が不可能な場合でも、研究者がTDMを行うことを著作権法における例外として認めることを明確にしている法律も存在する。NDライセンスの利用は、このような完全に合法な行為への誤った解釈を生み、これらの行為全体を妨げる可能性がある。そしてこれは科学の発展の障害となる(*2)。

一部のリミックス行為はNDライセンスでも可能

NDライセンスは学術出版物の再利用と翻案を完全に阻止するわけではない。1つ目に、引用、レビュー、批評や、フェアディーリングフェアユースなどの一般原則といった例外・制限規定を通じて著作権法が利用者に対して認めている権利はライセンスによって制約を受けない。さらに、一般的に、アイデアや例を示すためにオリジナルから一部分を抜粋して別のより大きな作品の中に配することは派生作品に該当しないことを私達のFAQでは明確にしている。これは単なる複製行為であり、NDライセンス違反となるような、既存の創作物をもとに改良を加える行為ではない。すべてのCCライセンスは(最も制限が強いものでも)非営利目的での複製を許諾している。

これらに加え、NDライセンスのついた出版物を翻案したい場合、作者に対して個別にライセンスを申請することもできる。しかしこれは再利用する際の不要な取引費用を発生させ、再利用を考えている人は、許可を得るための煩わしい手続きを踏むよりは他のソースを当たるかもしれない。

他の研究者がNDライセンスのついた創作物を法律の範囲内で再利用する方法がいくつかあるものの、学術的な文脈においては不十分である。

すべてのCCライセンスは作者の表示を必要とする

全てのCCライセンスには、作者の評判と表示に関するリスクに対する複数の保護策が含まれており、ライセンスの規約に違反した再利用者への措置についてしっかりとした法的対応が取られてきた。これらの防衛手段は学術規範に付け足されるものであり、学術規範の代わりとなるものではない。これらはオリジナルの作者の評判の保護と、創作物の改変が誤って本人に紐付けられることへの懸念を軽減させ、オリジナルの作者にさらなる保護を提供するためにある。これらの防衛手段には、例えば以下のようなものがある。

  • 作者等へのクレジットの表示は6つあるCCライセンス全てで必須である。作者が自身の名前の非表示を求めない限り、再利用の目的、媒体、文脈に沿って合理的な範囲で作者の表示(学術ではcitation(引用)と多くの場合呼ばれている)を行う必要がある。(作者が、再利用された創作物から距離をおきたいと考え名前の非表示を求める場合、利用者は合理的な範囲でクレジット表示を削除する必要がある。)
  • 再利用者は、作者などへのクレジット表示にあたっては、作者が再利用者の見解の支持を表明していると示唆するいかなる形もとってはならない。
  • 再利用者は、もととなる作品に加えられた変更を示し、もとの作品へのリンクを提供しなければならない。変更された資料を利用しようとする人は、これにより何が変更されたかを確認できるようになる。そして、その利用者がどの部分が元の作者によるもので、どの部分がもとの作品の作者ではなくそれを改変した利用者によるものなのかの判断が可能となる。詳細については CC BY 4.0 ライセンス規約の 3.a で見ることができる。

著作権は研究公正を守る最善の枠組みはではない

概して、著作権法とCCライセンスは研究上の公正に関する課題を解決するための最も適した枠組みではない。関係のある、確立された、永続的な、制度的・社会的規範・倫理的方針・道徳的規範の順守と執行により、より良い結果を得ることは確実に可能だ。結局、NDライセンスで出版物を共有する場合、研究者は自身に対しても学術界にも恩恵を施しているとは言えない。これらの情報を広め、そしてより大きな社会的影響力を持たせるために、私達は学術出版物をもっともオープンな条件で共有すること、つまり記事にはCC BYライセンスを付与し、データにはCC0を付与することをおすすめする。

私達は、研究者の方でCCライセンスの解釈やオープンアクセスについて支援が必要な方々を喜んでお手伝いいたします。ご連絡はinfo@creativecommons.orgまでどうぞ。(日本ではCCJPも同様のお手伝いを致します。お問い合わせについてはhttps://creativecommons.jp/contact/を御覧ください。)
脚注
  1. 学術出版物は広く、学術的、学問的、科学的、そして研究に関する本、ジャーナル、記事、論文を含む。学術出版物は多くの場合公的援助を受けている。
  2. 全ての 4.0 NDライセンスは、テキストマイニングとデータマイニングを許可しているが、その過程で翻案物が作成さる場合も、成果物として生成される場合も、翻案物をさらに共有することはできず、内部あるいは私的な目的での利用に限られる。

このブログ投稿は Brigitte Vézina による“Why Sharing Academic Publications Under “No Derivatives” Licenses is Misguided″を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

Open COVID プレッジ:COVID-19終息に向けた知的財産の共有

Diane Peters
Diane Peters

2020年4月7日

クリエイティブ・コモンズは、大学、企業、その他の知的財産保有者が、医療、検査キット、ワクチン、その他のCOVID-19に関連する科学的な発見をパンデミック発生の間支援するシンプルな方法を提供するために、法律専門家や優れた科学者と共に協力することを表明した。Open COVID プレッジはコロナ危機終息に貢献する知的財産権を一時的に無料でアクセス可能とすることで、命を救い、苦しみの軽減につながる知識と発明の普及を阻害する、不必要な障壁を取り除く。

この誓約は科学者、弁護士、起業家が合同で作成したものであり、この誓約がなければアクセスできない技術や情報を誰もが使えるための幅広い許可を与える。これは多くの場合、高額なライセンスや使用許諾契約に取って代わるものとなる。

Intel Unified Patents および Fabricatorz Foundation と共に初期から公約した企業としてこの取組に参加した。

ここ数週間私はこれらの専門家とともに、この病気の蔓延を止める診断ツール、療法、予防策、—場合によって治療法やワクチン—の開発を促進させるツールを作ることを目標に協力している。緊急事態のため、早急に進んだものであるが、クリエイティブ・コモンズはこの誓約をインパクトのある形で実現するための次のステップについてCCグローバルネットワークに在籍する多くの国際的な法律や政策の専門家と協力していきたいと考えている。

「知的財産権は最終的に人類の利益となる創造性と発明を促進するためにある。オンライン教育リソースから、防護具のデザイン、医薬品特許にいたるまで、今現在かき集められるすべての知的財産を人類が必要としているということに、多くの知的財産所有者が気づいたことは適切であるし感激する。」Molly Shaffer Van Houweling; Chair, CC Board of Directors(クリエイティブ・コモンズ理事長)

世界中の組織がこの誓約の支持を表明しており、その中にはCreative Commons、Mozilla、Unified Patents、Idea Laboratory for Intellectual Property in Bogota, Colombia、Universities Allied for Essential Medicines、The Neuro (Montreal Neurological Institute-Hospital)、Program on Information Justice and Intellectual Property at American University Washington College of Law、その他複数の組織が含まれる。

クリエイティブ・コモンズはOpen COVID プレッジや、パンデミック禍中とその後の展開を加速させるような取り組み、特に公的資金による研究のオープンアクセスポリシーを推進する取り組みなど、多くの取り組みを誇りを持って支持する。

あなたの会社、大学、研究チームにもこの誓約を支持することを促し、本取組を支持していただきたい。貢献する方法、プレスリリース全文など詳細を見たい方はopencovidpledge.orgにアクセスしていただきたい。

このブログ投稿は Diane Peters による“Open COVID Pledge: Removing Obstacles to Sharing IP in the Fight Against COVID-19″を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

今こそオープンアクセスポリシーが重要なときだ

CC-now-0

オープンアクセスに強く懐疑的な人たちさえも困惑させたニュースが出た。「トランプ対ベルリン」という見出しのもと、ドイツのWelt am Sonntag新聞は、トランプ大統領が「アメリカ合衆国のためだけに」COVID-19ワクチンを確保するべく、ドイツの製薬会社CureVacに対し10億ドルの支払いを提案したことを報道したのだ。

これに対し、ドイツの保健相のJens Spahnは、そのような取引は「ありえない」と述べ、ドイツの経済相のPeter Altmaierは「ドイツは売り物ではない」と話した。特に憤慨したのがオープンサイエンスを推進している人々だ。Trinity College DublinのLorraine Leeson教授は、「今はこのような行動を起こすようなときではない。これは有意義な対応をするために今やっている #OpenScience の活動に逆行する行為だ。今は排他的な行動ではなく連帯のときだ。」とツイートした。ホワイトハウスとCureVacは報道を否定している。

今私達は、共に効果的に協力し前例のない世界的な健康危機に対応しなければならない、歴史的な転換点にいる。「when we share, everyone wins(共有するとき、皆が利する)」という標語が今ほどあてはまるときはない。これを念頭に、我々は危機的状況下におけるオープンアクセスの重要性、とりわけオープンサイエンスの重要性を強調する必要があると感じた。

世界的な健康危機の状況下でなぜオープンアクセスが重要なのか

特に脅威が迫っている状況下で世界の健康状態を維持するためには、科学者のみならず、市民、政府関係者、医療関係者に対して、信頼できる最新の科学に基づいた情報を作成し広めることが重要だ。CC-now-1

Gates FoundationHewlett FoundationWellcome Trustといった科学研究の資金を提供する団体は長きにわたってオープンアクセスポリシーを維持しており、COVID-19の流行を抑えるために、関連する研究を迅速に、開かれたかたちで共有するさらなる努力を呼びかけているところもある。世界保健機関(WHO)の資料はCC BY-NC-SA(表示 – 非営利 – 継承)がつけられている。この保守的なアプローチは科学コミュニティが今まさに必要としている、重要な情報にアクセスし利用するための水準には達していない。

公的資金を受けているすべての組織は以下の2点を実施すべきである。1) オープンアクセスポリシーを導入し、公的資金を受けて行われた研究をオープンライセンス(例えばCC BY 4.0)のもとで公開する、あるいはパブリックドメインに置く。これは、研究論文や研究データが自由に再利用可能なことで、科学者同士のコラボレーションが促進され、新たな発見が加速されることを意味する。2) 信頼できる実用的な情報を市民に広めるために、動画、図解、その他のメディアツールなどの教育リソースにもオープンライセンスを確実に導入する。

現在急がれているCOVID-19のワクチン開発は、科学研究と教育資料への迅速で自由なアクセスが、あらゆる意味で、最も開かれたかたちで提供されることが極めて重要であることを示す良い例だ。大流行するまで科学者もこの病気を全く知らなかったという事実、今では世界的になっているという事実を含め、この病気の性質それ自体からして、一つの組織、機関、政府がこの危機に単体で取り組むことは不可能だ。実際に、中国の衛生当局者や研究者が2020年1月にウイルスの性質に関する重要な情報を共有していなければ、現在のCOVID-19のワクチンを開発する世界的な努力は実現していなかっただろう。

私達は、共に効果的に協力し、前例のない世界的な健康危機に対応しなければならない、歴史的な転換点にいる。標語である「when we share, everyone wins(共有するとき、皆が利する)」は今ほどあてはまるときはない。

COVID-19の感染者数は世界で20万人を超えており、科学コミュニティ全体と世界中の衛生当局者が協力し、治療法とワクチンを開発し共有することが緊急の課題となっている。3月13日には、12カ国の政府の科学アドバイザーが、出版社に対し、COVID−19に関する科学研究とそのデータをオープンアクセスにすることを求める公開書簡を発表した。そこには「現状の緊急性を考慮すると、科学者と市民が可能な限り早く研究結果にアクセスできることが特に重要である」と書かれている。これらに加え、WHOなどの政府間組織によって作成された教育資料も制限なしに開かれたかたちで利用可能とするべきだ。これは現在の世界的な危機において必要であるだけでなく、こうした機関の公的使命および義務にも合致している。CC-now-2

この公開書簡が発表される前に、すでに多くの科学者がbioRxivArXivGisaidといったプレプリントを掲載するプラットフォームを通じて、研究結果とデータをオープンアクセスで公開し始めていた。非営利団体であるFree Readは「unlock coronavirus research(コロナウイルス研究を開放する)」ための請願で、1週間で3万2千もの署名を集めた。これを受け、Elsevier、Oxford University Press、Springer Nature、The Lancetなどの出版社はCOVID-19関連の論文の購読料を撤廃しはじめた。New York Times、Bloomberg、The Atlantic、Clarin、Publico、Globo、Folhaといった世界中のメディアもCOVID-19関連の記事を無料で読めるようにしている。個々の科学者も、メディアと共同で、複雑な科学的コンセプトを解説する図をオープンライセンスのもと公開し始めている。たとえば感染症の専門家であるSiouxsie Wiles博士が、どうすれば「感染のピークを抑えられるか」を説明したこのGIF画像はクリエイティブ・コモンズ 表示 – 継承 4.0 国際(CC BY-SA 4.0)のもと公開された。

CC-now-3

オープンサイエンス支持者の多くがCOVID-19に関する科学研究をオープンアクセスにするこれらの取り組みを称賛しているが、これらは今までもずっとやるべきことであったとも主張している。カリフォルニア大学バークレー校の生物学者であり、オープンアクセスジャーナルのeLifeの編集者であるMichael Eisenは、WIREDにて「もちろんオープンアクセスとすることはCOVID-19だけでなく、すべての科学研究についてのデフォルトであるべきで、過去25年のあいだもそれがデフォルトであるべきだった。しかし、今そうなりつつあるのを見れて嬉しい。」と語った

Plan Sは自身のウェブサイトで、購読料を課すことは「科学コミュニティの大きな部分および社会全体から、多くの研究結果へのアクセス」を保留していると主張している。これは「共同体としての科学研究の基礎部分を妨害し、社会による科学への理解を妨げる」ことになる。例えば2014年に西アフリカで起きたエボラの流行について研究している研究者は、ウイルスとそのリスク要因に関する必要な知識が、出版社による購読料の設定により必要なところに伝わらなかったことを明らかにした。彼らは「知識へのアクセスそのものはエボラの流行を防ぐことはなかったかもしれないが、衛生当局者たちがより情報を持つことで、時宜にかなった予防策や、より準備の行き届いた状態で、流行時および流行後の対策を行えたかもしれない。」と記している。

今こそオープンアクセスポリシーを導入し、改善するときだ。

これらの理由から、クリエイティブ・コモンズ(CC)は英国研究・イノベーション機構(UKRI)などの組織や政府に対してオープンアクセスポリシーを導入することを呼びかけている。CCは現在UKRIが提示したオープンアクセスポリシーに対するパブリックコメントプロセスへのコメントを準備しており、アメリカ連邦官報の「政府資金による研究の、査読付き学術出版物、データ、コードへの公的なアクセス」の情報提供依頼書へも同様のコメントを共有する予定でいる。

CCライセンスはオープンライセンスの世界標準となった。様々な政府と組織におけるオープンアクセスポリシーの作成、導入、実施の取り組みの支援をしてきた今、私達は引き続き、研究者、産業、そして公衆の利益のためのオープンアクセスを強く支持し続ける。これは、国際組織または政府の資金提供によって作成されたすべての情報を、最大限に再利用できるようにすることを含む。加えてCCは、「Public Statement of Library Copyright Specialists: Fair Use & Emergency Remote Teaching & Research(図書館著作権専門家による公的ステートメント:フェアユースと緊急時の遠隔授業と研究)」のような、現在のような例外的な状況においてフェアユースがどのように適用されるかを明確にしようとする取り組みを支持する。上記の資料はアメリカ合衆国の、マサチューセッツ工科大学を含めた複数の大学の、著作権に詳しい専門家の図書館員のグループによって公開されたものである。

オープンアクセスポリシーの導入やCCライセンスの付与についてのお問い合わせはinfo@creativecommons.orgまでどうぞ。(日本ではCCJPも同様のお手伝いを致します。お問い合わせについてはhttps://creativecommons.jp/contact/を御覧ください。)

👋COVID-19の蔓延を食い止めるためにWHOがまとめているとおり、20秒以上の手洗いや、密集・密接を避けることなどを実践しましょう。

このブログ投稿はVictoria Heath と Brigitte Vézina による“Now Is the Time for Open Access Policies—Here’s Why (March 19, 2020)”を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

CCJPオープンミーティング2019レポート

2019/12/14(土)に東京会場を六本木GLOCOM、福岡サテライト会場を天神Engineer Cafeとして、「CCJPオープンミーティング2019」を開催しました。

このイベントはCCをこれまで以上に多くの人に開かれた活動にしようという動きを背景に、CCJPのメンバーとCCJPに興味を持っていただける方々とで集まり、CCの活動を紹介すると共にCCライセンスやオープン化の動きなどについて考えてみようという趣旨のもとに開催したものです。

プログラムは
・クリエイティブ・コモンズから考えるアーカイブ・シェア・リーガルコミュニケーション
(渡辺智暁:CCJP コモンスフィア理事長)
・Globalの活動について/State of The CommonsとGlobal Summitの紹介を交えて
(前川充:CCJP事務局)
・最近の日本でのCC活用事例及びオープン化事例の紹介
(森靖弘、豊倉幹人:CCJP事務局)
・ アンケートを基に参加者を交えてのディスカッション
といったもので、約3時間半にわたり適宜質疑応答を交え、東京と福岡を繋ぎながら発表とディスカッションを行いました。

まず、渡辺より「クリエイティブ・コモンズから考えるアーカイブ・シェア・リーガルコミュニケーション」の発表がありました。
・アーカイブは利用されてはじめて価値がでる。
・利用されやすくするためにできる工夫がある。
・その工夫の一つとしてCCライセンスを利用することも挙げられる。
・CCライセンスには、ライセンスの種類を少なくしたり、ライセンスの概要を分かりやすく伝えるツールを整備したりと、ライセンスを利用しやすいような工夫がなされている。
・ただし、ライセンスの種類に関するトレードオフや、分かりやすくすることと厳密さのトレードオフなど残る課題はある。
といった内容でした。

発表のスライドはこちら↓
クリエイティブ・コモンズから考えるアーカイブ、シェア、リーガル・コミュニケーション

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次に前川より「Globalの活動について/State of The CommonsとGlobal Summitの紹介を交えて」の発表がありました。
・Global CCの組織/活動の紹介。
・CC Global Summit(2019/5にリスボンで開催)の紹介:教育研究者、ミュージアム職員、NPO職員など400名ほど参加者がおり、3日間にわたり様々な分野に関する多くのセッションが開催された。
・Global Summitでのセッションの中からOpen Music Network, Tribe of Noiseといったプロジェクトの紹介。
・State of The Commons 年次活動報告の紹介:2017年時点でも14億以上のCCライセンスを付けた作品が様々なプラットフォームで投稿されており、またCC searchがリニューアルされた。
といった内容でした。

発表のスライドはこちら↓
global CC 活動紹介

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そして、休憩を挟み、森と豊倉より「最近の日本でのCC活用事例及びオープン化事例の紹介」の発表がありました。

・日本でも広く利用されているプラットフォームでの採用例
・アーツ&カルチャーの分野でのCCライセンスの活用例(ジャパン・サーチ、森美術館、FIND/47、縄文オープンソースプロジェクトなど)
・日本におけるオープンアクセスの状況、主な出来事、開催されているイベント
・日本における研究におけるオープンデータの状況、行政におけるオープンデータの状況
といった内容でした。

発表のスライドはこちら↓
最近の日本での活用事例紹介

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最後に参加者を交えて、CCライセンスやCCJPに関する質問や改善点などについてディスカッションを行いました。

・まだまだ利用する際にどう利用したらよいか分かりにくい場合が多い。(複数の画像を組み合わせて2次利用する場合のクレジット表記、二次利用されたオープンデータをさらに二次利用する際の表記など)。
・CCJPのサイトで、コンテンツの権利を持っている人向けの説明は比較的充実しているように思うが、CCで公開されているコンテンツを利用したい人向けの解説をもっと充実させてほしい。
といった内容の意見が寄せられました。
CCJP内でも議論をしていきたいと思います。

また機会があればみなさまにお会いできるのを楽しみにしております!

12/14(土) オープンミーティング & オープン忘年会2019 開催のお知らせ

2019/12/14(土)に、「オープンミーティング & オープン忘年会2019」と題して、クリエイティブ・コモンズ(CC)の活動紹介と情報交換等を行うミーティング&忘年会を開催いたします。

2019年9月に、クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)は、CCのコミュニティの中で「チャプター」と呼ばれるグループを設立しました。これはCCをグローバルなムーブメントとしてこれまで以上に多くの人に開かれたものにしよう、という動きに沿ったものです。
これを機にCCJPのメンバーとCCJPに興味を持っていただける方々とで集まり、CCの活動を紹介させていただくと共に、今後のオープン化などについて考える場を設けさせていただきたいと考えました。

ミーティング後には忘年会も予定していますので、情報交換などしつつ、色々なお話ができたらと思っております。両方とも参加していただけたら嬉しいですが、ミーティングのみや忘年会のみの参加も歓迎です。CCの活動に興味を持っていただいている方々はもちろん、著作権、デジタル・アーカイブ、オープンデータ等にご関心のある方々などなど、ぜひともお気軽にご参加くださいませ。

なお、会場は東京と福岡を予定しています。

参加人数の把握のためご参加いただける場合はお手数ですがフォームへのご記入をお願いいたします。

東京会場へのご参加申込フォーム:
https://forms.gle/oDYTjuRRvTTFbd5x7
東京会場については、期間が短く恐縮ですが一旦11/24()までを期限としてご記入をお願いできますでしょうか。12/8(日)までにご記入をお願いできますでしょうか。
※会場に余裕がありましたので、期間を延長しました。

福岡サテライト会場へのご参加申込フォーム:
https://connpass.com/event/157078/

【オープンミーティング&オープン忘年会 概要】

日時:2019年12月14日(土)
・オープンミーティング 15:00~18:30
・オープン忘年会    19:00~

場所:
東京会場 国際大学GLOCOM
(東京都港区六本木6-15-21 ハークス六本木ビル2階)
アクセス:http://www.glocom.ac.jp/access

福岡サテライト会場 エンジニアカフェ
(福岡市中央区天神1丁目15番30号 赤煉瓦文化館)
アクセス:https://engineercafe.jp/ja/#access

参加費:
オープンミーティング (東京会場・福岡会場とも)無料
オープン忘年会 (東京会場)5,000円程度 (福岡会場)調整中

プログラム(予定)

・オープンミーティング
14:30 開場
15:00 開場挨拶、趣旨説明
15:10  クリエイティブ・コモンズから考えるアーカイブ・シェア・リーガルコミュニケーション(渡辺智暁:CCJP コモンスフィア理事長)
15:55 Globalの活動について/State of CommonsとGlobal Summitの紹介を交えて(前川充:CCJP事務局)
16:40 休憩
17:00 最近の日本でのCC活用事例及びオープン化事例の紹介(CCJP事務局)
17:30 アンケートを基に参加者を交えてのディスカッション(モデレーター 森靖弘:CCJP事務局)
18:20 閉会挨拶(渡辺智暁:CCJP コモンスフィア理事長)
18:30 閉会

・オープン忘年会
19:00 〜

東京会場:参加費5,000円程度 六本木WoodSpoon(https://retty.me/area/PRE13/ARE14/SUB1401/100000711730/ )を予定しています。

福岡会場:参加費・場所については当日参加していただける皆さまのご都合などをみて決めさせていただきたいと考えています。

※プログラムは一部変わる可能性がありますので予めご承知おきください。

CCJPチャプター設立のお知らせ

クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(CCJP)は、クリエイティブ・コモンズ(CC)のコミュニティの中で「チャプター」と呼ばれているグループを設立します。これは2017年に打ち出されたCCのグローバルなムーブメントの中で各国の活動の取りまとめを担うことを期待されているグループであり、オープン性やコラボレーションを原則として活動するものです。

チャプター設立の背景とCCJPの関わり

CCの本部組織は、2014年にRyan MerkleyをCEOとして迎えて以来、改革のための議論をグローバルに重ね、2017年にはその議論をネットワークとして展開するための新しい戦略としてまとめました。その一つの特徴は、CCをグローバルなムーブメントとしてこれまで以上に多くの人に開かれたものにしよう、という点にあります。

CCJPのメンバーも、グローバル・サミットでの議論への参加、戦略文書草案へのコメント等の形でこの作成に関与して来ました。また、戦略文書がまとまってからも、アジア地域を中心とする他国のメンバーと共に議論を重ね、あるいはこれまでの各国ごとの「アフィリエイトチーム」からの移行を支援するTransition Advisory Groupや、国際的にアクティブなメンバーが参加することを想定している国際的なネットワークのメンバー承認プロセスを暫定的に担当するInterim Membership Council のメンバーとしても、その実現を後押しして来ました。CCJPの組織的な母体であるNPO法人コモンスフィアも、グローバルネットワークの組織メンバーとなりました。

なおチャプターはこれまで40近い国で設立されています。アジア地域ではこれまでに存在したアフィリエイトの数に比べるとまだ設立数が限られていますが、アフリカのように勢いのよい地域もあります。日本同様、体制変更などの検討に時間がかかっている国もありうるものと思います。

チャプターの特徴
新しい戦略における特徴は、組織面に着目すると以下のようなものです。

  • 各国のとりまとめを担ってきた「アフィリエイト」は廃止する
  • 国際的に活動し、CCのムーブメントに参加したい人は、アフィリエイトチームのような国ごとのチームに参加することなく「CCグローバル・ネットワーク」に直接参加することができる
  • (アフィリエイトチームに代えて)各国にチャプターを作る
  • チャプターはCCグローバル・ネットワークのメンバーを原則として拒んではならない
  • チャプターはコンセンサスを原則として運営する
  • グローバルな自治に参加する(Global Network Councilに代表メンバーを選出する)

CCJPもこれまでアフィリエイトとして活動してきた経緯から、改めてチャプターを設立することがCCの本部スタッフなどからも期待されて来ましたが、今回のチャプター設立はその期待に応えるものです。

設立時には、会合を開き、広くチャプターの設立会合についてお知らせすることが期待されているため、ここにお知らせいたします。ご興味があれば、設立会合であれ、後の時点であれ、どうぞご参加をご検討ください。

チャプターはとりわけCCグローバル・ネットワークのメンバーで当該国のチャプターに興味を持っている人をメンバーとして迎え入れることが期待されています。他に、グローバルネットワークのメンバーではないが、その国を拠点に活動している人などが参加することも想定されています。

チャプター設立後のCCJP
CCJPはこれまで、CCの本部スタッフや、他国のチャプターのメンバーなどからも情報を得つつ、新しいグローバル戦略やチャプター設立の受け止め方について議論をして来ました。そこで得られた結論には、法とライセンス以外の活動領域にも注力していくことなど、特に今回のチャプター設立を待たずに実施しているものもあります。

CCJPは新規メンバーに常に門戸を開いており、既存メンバーからの紹介やメンバーによる面談の上、国際的に活躍する人であるかどうかを問わず、法、クリエイティビティ、教育、情報等に関連する多くの業界のプロフェッショナルや様々な分野の学生をこれまでも迎え入れて来ました。この方針はチャプター設立後も継続する予定です。

ただし、これまでCCJPの活動は東京やその近郊に拠点をおくメンバーが中心になりがちであり、過去にはそれ以外の地域にお住いの方の参加を断念して頂いた例も過去10年で少なくとも2件はありました。これはチャプター設立を期に解消したいと考えており、関東以外の地域の方々にお声がけをさせて頂くことも予定しています。

現在のCCJPには、アクティブなメンバーが常時15名程度、そうでない者も含めると100名近くのメンバーがいますが、これらのメンバーはチャプター設立後も引き続きCCJPの(チャプターの)メンバーとして参加できるようにする予定です。

CCJPの運営・活動はこれまでにも事務局スタッフが主導して議論・提案・実施し、組織的な母体である特定非営利活動法人コモンスフィア(の理事会)はスタッフと共に活動するか、その活動に必要な承認は概ね与える、という形をとって来ました。このような体制についても継続を予定しています。

チャプター設立会合の予定
チャプター設立にあたって必要となる手続きの一環として、設立会合の開催を予定しています。

  • 日時:9月18日19時~ (予定)
  • 場所:東京都内(TBD)(遠隔参加のオプションも検討中)
  • 参加予定者:CCグローバル・ネットワーク・メンバーで日本チャプターに参加予定の3名、他、現CCJPのアクティブなメンバー

これを機にCCJPに参加をご希望の方がいらっしゃいましたら、是非事務局 (info at creativecommons.jp) までご一報くださいませ。( at の部分は@マークに置き換えて下さい。)

また、メンバーとしてではなく、コラボレーションのパートナーとして連携して下さるみなさまや、ご寄付等を通じて支えて下さっているみなさまにも、この場を借りて引き続きご愛顧をお願い申し上げます。

今後ともクリエイティブ・コモンズ・ジャパンをどうぞよろしくお願い致します。

Mike Winkelmann (別名: beeple)のアートとEvery Dayについて

Jennie Rose HalperinJennie Rose Halperin

January 18, 2018

Beeple(Mike Winkelmann)は、ビデオアートやデザインワークの作品をCCライセンスの下で無料で提供しているグラフィックデザイナー、アーティスト、映像作家です。Winkelmannは過去10年間、毎日「Everydays」シリーズとして作品をリリースしており、現在では3000を超えるCGIの絵と映像作品のアーカイブとなっています。彼の作品は他のジャンルでも人気で、CCライセンスで提供されている彼の数百に及ぶVJループは、マッシュアップを求める電子音楽の作曲者やアーティストに人気です。

Winkelmannのショートフィルムは様々なフェスで上映され、彼のCCライセンス付きのイラストや絵はSkrillex、Amon Tobin、Tiëstoといったアーティストにも使用されています。彼は現在Flying LotusのBrainfeederレーベルで作品をリリースしています。

Winkelmannの作品はBeeple-CrapInstagramTumblrVimeoで見ることができます。

あなたは人気のあるレーベルの、多様なジャンルにおいて成功したアーティストですが、VJループや他の素材をCCライセンスのもとでリリースし続けています。どのように2つの創作のモードのバランスをとっているのでしょうか?なぜ作品をコモンズへリリースするのでしょうか?そもそもCCライセンスを利用しはじめたきっかけはなんだったのでしょうか?

作品を作って無償で提供することは、なぜかはわかりませんが私にとって自然なことなのです。力を注いで作り上げたものは、できるだけ多くの人に見てもらいたいので、それを実現するためには無償で提供することが最も簡単な方法なのです。

もちろん、私もみんなと同じように家族がいて払わないといけない請求書もあり、制作した作品に対してお金を請求したい気持ちもよくわかります。しかし私の場合は、フリーランス(個別契約)の制作と、純粋に個人的な制作作品を無料でリリースすることとの区別ができています。


ANGULAR (loop) by beeple ライセンス:CC BY 3.0 非移植版

懐疑的な人がCCライセンスに関して話すときに、「無料で同じものが手に入るのにお金を払う人がいるのか?」という疑問が投げかけられることがあります。あなたはこれに対してどのように返答しますか。CCライセンスを使い続ける理由はなんですか?個人アーティストとして、どのようにして無償/アトリビューションモデルと有償モデルのバランスを保っているのでしょうか?

アート作品を金銭的に評価することは大変興味深いテーマだと思います。需要と供給の問題に収束する側面もあると思いますが、コストをかけずにコピー可能なデジタル作品においてはより複雑です。正直、「正しい」答えというのはないと思いますが、個人的には両方の立場が成立するでしょう。ほとんどの人が、無料で手に入れられるものに対してお金を払わないというのは明らかにそうなのですが、そうではない事実が存在するのも確かです。例えばPatreonのように、自分が気に入った作品の作者にお金をあげるサイトなども存在します。人々は作品にもっと集中すべきなのに、ビジネス化することに集中しすぎていることも時にあると思います。

私のデジタル作品については有料モデルといったものはありません。お金を受け取って行う制作は、わたしの場合は全て個別契約(フリーランス)の仕事です。今はそのように割り切ることを好んでいます。


“Miami” From Everydays by Mike Winkelmann

「Everydays」が11ラウンド目に入り、毎日ひとつの作品を完成させてきた結果、オリジナル作品が3500を超えました。このプロジェクトの原動力は何で、11年間でどのように変わりましたか?これまでに学んだこと、そしてこれから変えていきたいことは何ですか?

10年間のeverydays は、去年の5月に、一日たりとも欠かすことなく10年目が終わりました。このプロジェクトの主な目標は絵の上達でした。最初に始めた時は、絵をもっと上手く描きたかったのです。1年間描いたら、かなり上達したのです(間違いなくまだ下手でしたが)。同時に、このプロジェクトが、新しいテクニックを学んで継続的に上達していくための強力な方法であると感じました。

正直なところ、この10年間であまり何かが変わったということはありません。このプロジェクトから、絵が著しく上達し、多くの恩恵を得ましたが、私の技術は求めているものとはまだかけ離れています。まだまだフォーカスしたい領域がたくさんあるので、やめることは当分ないでしょう。


“VICEMOON” from Everydays by Mike Winkelmann

InstagramやFacebookといった、より視覚的でバイラルな(拡散する)ソーシャルメディアは、あなたの活動をどのように変えましたか?個人アーティストとして成長する過程で、ほかのプラットフォームをどのように活用してきましたか?

これらのプラットフォームは、特に私が作るような作品を多くの人々に届けることに大いに役立っています。小さ目で利用しやすい絵や短いVJクリップを一日に一作品投稿していますが、媒体がそれらにとても適していることを、とても幸運に感じています。これらのプラットフォームを活用して、それぞれの利用者のニュアンスを理解することが大切です。一方、のめり込み過ぎて時間を奪われてしまう可能性もありますから、これらのプラットフォームでプレゼンスを保ちつつ、時間をかけすぎないバランスを維持する必要があると思います。


CLEANROOM (loop) by beeple (video) and Justice (audio) ライセンス:CC BY 3.0 非移植版

現在取り掛かっているプロジェクトで最も刺激的なものはなんですか?どのようなプロジェクトがお好きですか?

最近はVRとARの作品に取り掛かっており、とてもワクワクしています。これらは当然新しいフォーマットで、決まり事も少ないので、創作しながら、いろいろな発見があります。everdays、VJクリップ、ショートフィルムの制作も継続しています。私は同じことをしているとすぐに飽きてしまうので、幅広いメディアを用いて制作することで、とても楽しんでいます。

このブログ投稿はJennie Rose Halperinによる”Art and the Every Day with Mike Winkelmann (AKA beeple)” を一部変更し、翻訳したものです。

元のブログ投稿のライセンス表示:” Except where otherwise noted, content on this site is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International license.”

文中に挿入した作品例のライセンスがわかっている場合は、作品に付記してあります。

(担当:豊倉)