このデジタル化時代において、“メディア・リテラシー”というものをどう定義づけるべきだろうか? 伝統的なメディア・リテラシーの考え方はメディア・テクノロジーを利用したり、さまざまなメディア活動を通して私たち自身を表現したりといった、私たちが日々圧倒されるようなメッセージの評価に基づいていたものであった。しかし、デジタルメディア環境の中で、“共有”という新たな現象にも注目することが私たちに求められている。共有されたメディア環境の中で、創造と交流の範囲は共有という行為に密接かつ決定的に関連してきている。この拡大するネットワーク社会の中で私たちは共有という概念をメディア・リテラシーの中に組み込むべきだろう。
Youthvoiceは若者のためのメディア・リテラシーの事業であり、共有という概念を奨励しているDaum Foundationと呼ばれる、韓国にあるNPOによって運営されている。毎年、Youthvoiceはメディアアートに興味のある14歳から18歳の若者達を招待し、そして彼らが彼ら自身の観点でより創造的でより決定的な芸術作品を作ることを応援している。インスピレーションやイマジネーションに溢れた若い意欲的なクリエイターに対し、Youthvoiceは道具や、支援、プロの芸術家からの教え、メディアでのワークショップ、そしてさらに多くのことを提供している。
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(以下CCライセンス)の教育もそのカリキュラムの中に取り入れられ、学習者たちの中で積極的に議論されている。この行程は、教育的というよりはむしろ支援的もしくは相談的なものであるといえる。参加した子供たちは創作の中で経験を得て、異なった活動を通して自分自身にとっての答えを見つけるよう促される。
2002年から、170以上のチームから来る800以上の若者たちがこの企画を通して創作を完成させた。参加者はショートムービーから、ドキュメンタリーフィルム、粘土アニメ、ウェブサイトデザイン、オンラインゲームのデザイン、ビデオアート、フラッシュアニメーションなどさまざまなメディアを使い、作品を生み出した。こういった若いメディアアーティストによって生み出された作品は、コンセプトや表現においてこれ以上ないほどクリエイティブかつ新鮮なものとなった。
毎年、プログラムはオフラインとオンラインの両方での公的な場での展覧会で終わる。若いメディアアーティストたちは、CCライセンスのもとでYouthvoiceのウェブサイトで行われるオンラインの展覧会に彼らの作品をアップロードすることを奨められる。参加者はそうしないという選択もあるにもかかわらず、彼らの作品をCCライセンスのもとでアップすることが促進されている。もし、彼らが普通のライセンスのもとで行ったとしてもそれは彼らの選択に応じた決定なのである。
2005年の映画製作チームの若い参加者は、彼の作品のライセンス状態を決定するのは難しいということを告白した。「私たちの作品を共有可能という形のライセンスのもとに置くという考えは非常に困惑します。著作権法は現在でも社会的な議論の渦中にあり、決着がついていません。状況が変わっていくのは明白ですが、私は誰もその変化の方向を言うことはできないと思います。そして私たちもどのように私たちの作品が扱われるのか、わからなかったのです。共有ライセンスが将来よくない効果を生み出したらどうするのか? 誰が私たちのフィルムがより人気を持つかどうかや、莫大なお金を稼ぐ機会が失われるのかもしれないのか否かを知っているでしょう? 誰が、どのように私たちのフィルムがコピーされ乱用されるか知っているでしょう?」と彼女は言った。
それへの反応として、YouthvoiceのプロジェクトマネージャーであるNanshil Kwanは「若いメディア活動家に彼らの製作物の権利を決めさせるということが重要である」と言った。どのライセンスを選ぶかを決める際に、彼らは芸術作品の社会的な意味や、どのライセンスが彼らの芸術作品を人々に伝え広げると思うのかを議論する。そういった過程を通して、若者たちはライセンスというものが創作活動の決定的な要素であるということと、またそれと同様に、彼らのいくつかの権利を保持していく一方で彼らの作品を分配や共有していくという、著作権への代替案があるという事実を認識していくように思われる。
翻訳:大西正悟
オリジナルポスト:Youthvoice: Teaching Korean kids how to share