CCHQ

CCライセンス・バージョン4.0 およびCC0イタリア語版の公開

このたび、クリエイティブ・コモンズでは、CCライセンス・バージョン4.0 およびCC0のイタリア語版を公開しました。
CCイタリアが中心となり、CCスイス、およびCC関連組織のNexa Center for Internet & Society の協力のもと、イタリア語版を完成させました。英語版4.0起案のときからクリエイティブ・コモンズ本部のリーガルチームと密接にディスカッションを行ってきたCCイタリアですが、その結果、今回の翻訳にあたっては齟齬を最小限に抑えられました。
翻訳のプロセスについての詳細は、Creative Commons wikiをご覧ください。

(2017年7月31日付記事https://creativecommons.org/2017/07/31/annuncia-la-traduzione-4-0-della-licenza-italiano/(by Sarah Pearson)より)

(担当:松丸)

バッセル・ハルタビル記念基金を設立

悲しいお知らせですが、私たちの友人でありCCシリアのプロジェクトリーダー、そしてオープンソースの開発者であるバッセル・ハルタビルが、先ごろ、シリア政府によって処刑されました。ご冥福をお祈りするとともに、バッセル・ハルタビル記念基金を設立したことをお知らせします。
同基金は、遺族の要望のもと、フリーカルチャーの熱心な推進者であったバッセルのスピリットを受け継ぐべく設立されました。CCも基金に賛同し、1万ドルを寄付しました。また皆さんからの寄付を広く歓迎します。
同基金への寄付は、アラブ世界におけるコミュニティ構築やリーダー養成プロジェクトなどに使われます。また、新しいクリエイションと歴史的文物のデジタル保存や共有、リミックスのサポートのためにも使われます。いずれもCCの、そしてバッセルが関わった他のコミュニティのミッションと深く関わるものです。
基金の詳細はBassel Khartabil Memorial Fundをご参照ください。
(担当:松丸)

2018年CCサミットはトロントで開催

来年4月13日から15日まで、昨年に引き続きカナダのトロントで2018年CCサミットを開催します。ボストン、リオデジャネイロ、ソウルなどでのCCサミット経験を踏まえ、より充実した内容でお送りします。500人以上の参加が見込まれ、Global Network Councilの初会合も開かれる予定です。追って準備委員会が始動しますが、2018CCサミット開催のためのアイディアがあればどうぞお寄せください。

(2017年7月21日付記事https://creativecommons.org/2017/07/21/summit-2018-announcement/より)

(担当:松丸)

Creative Commons Global Summit 2015開催のお知らせ

CCグローバル・サミットとは、2年に1度、専門家や研究者、クリエイターなど世界中のクリエイティブ・コモンズ(CC)関係者が一堂に会する国際会議です。入念な準備を経て、10月14日から4日間にわたり、 CCグローバル・サミット 2015をソウルで開催する運びとなりました。

今年のグローバル・サミットは、CCコミュニティのメンバーが集い、CCに関わる重要案件について活発な意見交換を行う場としたいと考えています。また、作品や成果物へのCCライセンス付与を通し、CCの理念であるフリーカルチャー、オープンデータの考えの普及に共に努めたいと考えている団体や個人の参加も広く歓迎いたします。

オープンコンテント、オープンデータの領域で既に活動されている方々、— たとえばフリーソフトウェアを推奨する団体や個人、ウィキペディアやオープンナレッジに携わる方、ギャラリー、図書館、博物館、美術館、資料館、政府機関、財団法人、法律家、活動家など — の参加をお待ちしています。グローバル・サミットに参加することで、より強力で活気に満ちたCCコミュニティを共に構築しませんか。

参加者、講演者、スポンサー、ボランティアなど、CCグローバル・サミット 2015に参加する方々は、事前にグローバル・サミットの行動規範(下記)をお読みいただき、すべてにおいて同意していただくことが必要です。主催者は、会期中、同規範を執行いたします。参加するすべての方々が安全・快適な環境で会議に臨めるよう、皆さまのご協力をお願いいたします.

CCグローバル・サミット 2015  概要
日時 2015年10月14日 正午ー17日 午後5時
場所: 韓国 ソウル
登録料:
早割:50ドル
早割(学生・低所得者):30ドル
助成制度対象者、イベントスタッフ:0ドル

・参加ご希望の方は、Creative Commons Global Summit 2015 — Registration にお進みください。

・研究者の方々には旅費・滞在費を助成する制度があります。ご希望の方は、Global Summit 2015 Scholarship のフォームからお申し込みください。

 

グローバル・サミット行動規範(簡略版)
CCグローバル・サミットは、性別、性自認、性別表現、性的指向、障害、外見、体形・体格、人種、年齢、宗教の如何に関わらず、すべての人が迷惑行為や嫌がらせを受けることなく会議に臨めるよう尽力するものです。参加者に対するいかなる形の迷惑行為、嫌がらせも容認いたしません。性的な言葉や画像は、会期中のいかなる場においても不適切とみなされます。これら規則に反した場合、その参加者は制裁措置を受けるか、もしくは会議への参加停止処分を受けることになります。その場合、会議主催者の裁量により、登録料は返金されません。
CCの倫理行動規範全文は、以下のページをご参照ください。https://summit.creativecommons.org/anti-harassment-policy/

 

(こちらの投稿は、CC本部のブログを元にしております:https://donate.creativecommons.org/civicrm/event/info?reset=1&id=11)

2012年: 政府のオープン・イノベーション

今回は、相互性・共有性を確保することを目的に、オープンシステムと協調性のあるテクノロジーの採用を公的機関に促す取り組み“Civic Commons”についてご紹介したいと思います。Civic Commonsは政府構成にとっての基盤・知識・ツールセット、必要に応じて(データやプロジェクトホスティングのような)技術的な基盤を供給し、共通の “市民のためのテクノロジー” とプロトコルの発展を促しています。 オープンかつ共通のテクノロジーは経費を削減し、公的サービス・透明性・市民参加・運営効果の向上をもたらすことが期待されます。

Image by opensource.com

Image by opensource.com

2012年になり早5ヶ月。時間の流れと共に、Civic Commonが昨年行なった活動・学んだ事、そして次なるステップについて考えたいと思います。

昨年は多忙な1年でした。Code for AmericaOpenPlansの間の非公式パートナーシップとして、ゆっくりとスタートをきったCivic Commonsの取り組みですが、その開始にあたり、Omidyar NetworkMacArthur FoundationKnight Foundationからの寛容な支援に感謝しながら昨年5月より本腰を入れて活動開始しています。

この頃から、Civic Commonsは大きな目標に向かって加速してきました:

ここではCivic Commonsの行動中心域の活動に焦点をあてます。1) 政府に対しオープン・ソースの利用を活用するよう促す。テクノロジーへのお互いの投資は政府にとって有益なものとなります。2) Open311(注釈: 市民がより直接的に都市の情報を得ることができるオープンで相互利用性の高いシステムを構築し、その国際的な取り組みを推進している) のようなテクノロジーの発展への根本的に異なるアプローチ “オープンプラットフォーム” の発展をサポートする。3)これらの取り組み実行にあたり、その中に含まれる政策や業務に関わるオープンな知識のインフラ構築

では次に、それぞれの分野でCivic Commonsが昨年行なった活動を簡単にご紹介します。

政府のオープン・ソース活用を支援する

私たちはまず、政府は毎年多額の資金をソフトウェア開発に費やしており、オープン・ソースの提案採用が、経費削減とイノベーションが広まることを支援することができるかもしれないと仮定することから始めました。Civic Commonsは(ホワイトハウスとの)連邦ITダッシュボード・(Open Indicators Consortiumとの)WEAVE可視化ツール・(現在NYC会計監査事務局と共に開発中の)checkbook NYC 2.0・(Local ProjectsとCode for Americaとの)Change by Us・その他準備中のプロジェクトを含む、多くの政府ソフトウェア・プロジェトに直接協力することに多くの時間を投資しました。

これらの活動を通して、Civic Commonsは開発プロセス・コミュニティーとのやりとり・そしてライセンシングといった点をサポートする、政府ソフトウェア開発の第一線で活動しています(主にKarl Fogel氏が素晴らしい活躍をしてくれています)。

おそらくCivic Commonsにとって最も重要なことに、これらの活動から学んだこと(詳細は後述します)をCicvic Commons wikiに記録してきたことが挙げられますが、これは今後も続けていきます。

オープン・プラットフォームを構築する

Civic Commonsが推進している中心概念の1つに、政府は開発者と起業家に対し、政府からのサービスと直接融合するツール構築の機会を与えることで、より“プラットフォーム”としての役割を果たすという考えがあります(iPhoneのプラットフォームでアプリ制作が可能であるのとほぼ同じイメージです)。政府系のテクノロジーにおいて、このプラットフォームを基礎としたアプローチは多少なりとも新しいアイディアであり、そこで構築すべきものとその構築方法について再考を要するものでもあります。

“プラットフォームとしての政府”を実現するための重要要素は、ガバメント・サービス同士の接続、そして外部ツールとの接続のための優れた標準化された方法を導きだす事です。インターネットは数々のオープン・スタンダード上(HTTPやHTMLなど)で構築されていますが、その手法のほとんどにおける“市民ウェブ”の基盤は、簡単にテクノロジーを相互運用させることができる標準データ形式とAPIです。

そうした点を考慮して作られてきたのが、地方自治体で発生する問題(道路に空いた穴や壊れた街頭など)を報告するAPIのためのオープンなウェブ標準であるOpen311 standardであり、Civic Commonsの中心プロジェクトになっています。このサービスは異なる都市をまたいでも十分な一貫性をもち、政府と市民の関係性の中核に位置付けられるので、Civic Commonsが最初に力を注ぐ理想的なプロジェクトでもあります。(注釈:Open311プロジェクトはOpenPlansによって2009年に発足され、現在はCivic Commonsが運営しています。)

今年はOpen 311にとって安定した成長がうかがえました: ブルーミントン(イリノイ州)やマイアミ・デイド(フロリダ州)に見受けられる組織内の規約制定の発展に加え、ConnectedBitsSeeClickFixMotorolaKana Laganのような業者関与を通して獲得したOpen311に準拠する都市は現在24を越えます。そしてCode for Americaは、自身のオープン・ソースOpen311ダッシュボードを開始しました。Civic Commonsはこのダッシュボードの活躍によって、2012年加盟都市の多くが翌年それぞれの道を切り開くことを願っています。

Open311の開始当初より、テクニカル・コーディネーター兼コミュニティ・マネージャーを務めているPhil Ashlock氏は、1年の締めくくりとして素晴らしい記事をOpen311のブログに投稿しました。この内容には、Open311コミュニティーに向けた2012年の要求リストが書かれています。

知識を広める

これまでに対話を行ってきたほぼ全ての都市で、オープンデータ・API・標準・オープンソース・発展プロセス・テクノロジー政策といった問題に向き合う際に、同じ様な質問と懸念をかかえています。しかし個々の都市がそれぞれの問題に初めて対処する場面であっても、集合として見た時には多くの経験が積み重なり、多くの教訓が得られています。Civic Commonsの仕事は同じ問題に立ち向かう人々の繋がりを作り、時間をかけて意思決定をサポートする情報リソースを構築し、そして時間を節約するために内部での議論を回避することです。

この知識基盤を形成し、そこからの利益を促すために、誰もが接点を持つ事ができる進行中の取り組みをいくつかご紹介したいと思います。

  • 一般的に、Civic Common Wikiは政策・プロセス・実践において先例となる素晴らしいリソースです。今年、Civic Commonsの2011年Code for Americaの仲間であるMichelle Koeth氏が、およそ20都市からの法定代理人とインタビューした結果、法律上の調達問題指針を開始することで大きな1歩を踏み出しました。今年2月3日には、ある都市が発表しようといていた規約の一部に向けたライセンシング・オプションについての質問に回答しました。これをゼロから書き上げたわけではなく、単純にオープン・ソース・ライセンス・オプションに関するwikiページを参照したのです。また、オープン・データ政策データ規格のようなトピックに関する、素晴らしい参考文献を得ています。
  • 去年暮れ、Civic Commonsは市民のためのテクノロジー・スペースをトラックする、wikiデータベースCivic Commons Marketplaceを開始しました。このアイディアは“市民向けテクノロジーのためのCrunchBase(テクノロジー関連企業・人物・投資家の自由データベース)”とでも呼べるものです。来年はその内容とツール、両方の改善に尽力することになるでしょう。
いつものようにディスカッションに参加したい方は、Civic Commonsディスカッションを訪れてみてください。専門家の方も気軽にirc.freenode.netの#civiccommonsでディスカッションに参加していただけます。以上を念頭に置いて、ここからは今年取り組む事項について述べたいと思います。

マーケットプレイスの形成

Civic Commonsは最近になってMarketplaceのα版を立ち上げ、 どのツールがどこで利用されているかという記録をとる目的で利用を開始しました。これを使い始めるのはとてもシンプルですが、「それぞれの政府団体が目標を達成するのにどのツールを使っているのか?」ということを示す基本のデータセットでさえ、当時は着想するのが非常に難しかったのです。そのため、この状況を変えようという構想から取り組みは始まりました。また、Civic Commonsの目標はこれをオープン化されたデータセットにすることです。CrunchBaseが初期のコミュニティーとなったように、Marketlpaceが時間とともに市民のためのテクノロジー・コミュニティーになることを願っています。

もしあなたが(政府IT職員・政府に関わる場所の業者職員・市民部門に焦点をあてた新規事業に携わるなど)市民のためのテクノロジーの利用者・プロデューサー・購入者であるなら、すぐにでもMarketplaceを訪れプロフィール登録してみて下さい。Civic Commonsは、あなたが何のアプリケーションを構築・購入・使用しているかという情報を必要としています。例えばこちらにご紹介するAzavea社の企業ページは、New York City Dep of ITに向けられたものです。

Civic Commonsは、市民のためのテクノロジー・スペースで活動しているその他全ての組織・企業・政府団体と同じように、 MarketplaceがCode for Americaの新しい事業Brigadeのような新興プログラムにとって使いやすいリソースの役割を果たすよう望んでいます。さらに時間とともに、Civic Commonが構築可能なその他の有益なサービスとツール上で、 Marketplace自体がプラットフォームになれば良いと考えています(ワンクリックのサンドボックス・アプリケーション機能や業界データ分析など)。もし皆さんの中にどなたか開発者であり、最高のマーケットプレイス構築に興味がある方いらっしゃるなら、developers centerこちらのページをチェックしてみて下さい。

オープン構造とプラットフォームの力

多くの都市がアプリをオープンソース化し、二次利用の例も実体化し始めてきた一方で、最も興味深く、広範囲に広がる活動はOpen311のようなプラットフォームの周囲で起こってきました。それはプラットフォームが単体アプリケーションよりも大きいからです。プラットフォームは多くのツールにとって共通の核のまわりで構築される機会を与えます。さらに、ツールがプラットフォームのまわりで構築されるにつれ、プラットフォームの影響力はより大きなものとなり、プラットフォームの採用率が高まり、更に多くのアプリケーションの開発を促します。このことの利点は容易に想像して頂けると思います。

つまり、個々のアプリケーションよりもプラットフォームに着目することで、多くのことが起こるチャンスを作り出すのです。Civic CommonsはOpen311のコミュニティー内でこの展開を続け、同時にプラットフォームとしての公共輸送サービスはどうなっているのか、などといった事例を観察することができます。

そして、来年Civic Commonsがどの分野に尽力したいかを考えるにあたり、都市が個別にオープンソース的に開発を行い続けるだけでなく、相互に拡張可能なプラットフォーム構造を行ったオープンなインフラの開発も促す予定です。全てはオープンなイノベーションの基礎を固めるためにあるといえます。

全体的な連携:オープン化改革

ハーバード大学法学部教授John Palfrey氏は、最近発行された自身の著書『知的財産戦略』でオープン・イノベーション改革について以下のように表しています。:

オープン・イノベーションの裏にある実にシンプルで強力な考えとは、「新しいアイデアの創造者はあなたの組織にいなくても有用たりえる」 ということである。

これはつまり異なる人同士の努力を結合する可能性を実現するということであり、まさにシンプルで力強いものですね。

オープン・プラットフォームによって、政府が提供するテクノロジーの上に誰でもイノベーションを進めることを可能にします。オープン・ソースは複数の都市がお互いのイノベーションから利益を得ることを可能にし、オープンな知識は1カ所で得られた教訓や経験を他の決定の場へ活かす鍵となります。つまり、Civic Commonsの本当の意味での中心的活動とは、政府に対し、オープンなイノベーションのための潜在的な可能性を解き放つよう働きかけることです。

2012年、Civic Commonsはこれらの実現に向け突き進んで行きたいと思います。

原文: 2012: Open innovation for government
http://opensource.com/government/12/2/2012-open-innovation-government
公開日時: 2012年2月3日
BY Nick Grossman

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

政府と図書館: クリエイティブ・コモンズを利用したデータのオープン化

ここ数か月、オープンデータを取り巻く状況は刻々と変化しています。その中でも、政府や図書館に関係したオープンデータの動きが顕著です。今回は、最近オープンデータを採用したオーストリア政府、イタリア文部省(教育・大学・研究機関担当)、イタリア下院議会、ハーバード図書館の事例をご紹介したいと思います。

Open data / opensourceway / CC BY-SA

Open data / opensourceway / CC BY-SA

オーストリア政府は、膨大なデータを公開するオープンデータ・ポータルを、CC BYライセンスで開始すると発表しました。このポータル利用規約においては、オープンデータを行う場合にCC BYライセンスの付与を推奨すること、そしてそのようなデータの詳細にはCC BYランセンスを付与した旨を記載することなどが述べられています。

イタリア文部省も、CC BYオープンデータ・ポータルを開始しました。このポータルには、イタリア国内の学校に関するデータ(住所・電話番号・ウェブサイト・管理番号など)、生徒の情報(学生数・性別・成績)、教員の情報(教員数・性別・退職の有無など)が含まれています。同省は、透明性を高めるため、ゆくゆくは全データを二次利用のために公開・オープン化することを目標としており、同時に、教育システムに対する理解を高め、生徒・教員・保護者のための新しいツールやサービスが作られていくことを助けたいと考えています。

また、イタリア下院議会は、CC BY-SAで関連オープンデータを公開するプラットフォームを開発しました。

続いて、米国ハーバード図書館の事例です。同図書館は、1200万点もの目録CC0を使ってパブリック・ドメインとして公開しました。CC0とは、作品をパブリック・ドメインに置くため“いかなる権利も保有しない”という意思表示をするためのツールです。この動きは、ハーバード図書館のオープン・メタデータに関する指針に従ったものであり、FAQでは以下のように述べられています。

CC0 パブリック・ドメイン表示によって、ハーバードは、メタデータにおけるいかなる著作権、それに付随する権利を放棄することになります。これにより、データの幅広い利用とその利用によって生じる発展が期待され、図書館コミュニティーと市民の双方にとって有益なものとなると信じています。

また、ハーバードのプレス・リリースには、オープンデータ化を進めた動機について、以下のように書いています。

DPLA(Digital Public Library of America)の議長であるJohn Palfrey氏は、「この素晴らしい提案によって、多くの開発者は、地方公共図書館や研究図書館・博物館・アーカイブや文化的コレクションを含む、重要な国のリソースを利用した革新的アプリケーション構築を試みることが可能になります。」と述べました。さらに、彼は、「今回の動きが、その他の機関においても、それぞれのコレクション・メタデータを公開するきっかけになれば嬉しい。」とも話しています。

オープンデータにCCツールが利用されることは、非常に喜ばしいことです。CCとデータに関する質問はこちらをご覧ください。このFAQには、データを公開している政府・図書館・組織へのリンクも掲載されています。

原文: Government and Library Open Data using Creative Commons tools
http://creativecommons.org/weblog/entry/31884
公開日時: 2012年4月24日
BY Jane Park (Communications Manager)

最先端をゆくオーストラリア: グローバルなデジタル化、そしてオープン教育改革

Image by opensource.com

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オーストラリアは英語圏の中はトップ、そして全世界では2番目にグローバルなデジタル化とオープン教育改革を率先している国です。これは、2015年までに、全ての教科書と教育カリキュラムのデジタル化を目指すという大胆な政策を定めた韓国に次ぐ順位です。2012年2月、オーストラリア政府は、My School websiteの最新版を発表しました。これにより、My School websiteのユーザーは、オーストラリア国内の約1万校もの学校の中から、特定の学校の統計資料をはじめとする、さまざまな情報を検索し、複数の学校を比較することができるようになりました。読み書きや数学の能力に関する国家評価プログラムを含む、広範囲の評価基準を提供することで、学校選びに悩む保護者を支援しています。

また、全ての国民がデジタル経済の恩恵を受けられるよう、オーストラリア政府はここ数年、デジタル化に向けた国際レベルのインフラを構築することに力を入れてきました。これにはNational Broadband Network (NBN) とDigital Education Revolution (DER) という主要2団体のほか、さまざまな出版社、著作権、デジタルコンテンツ関連事業者、クリエイティブ産業が共に取り組んでいます。オーストラリア政府は、これらの政策に豪ドルで24億ドル(日本円で約2005億円)以上を投資してきました。

DERの目的は、学生たちが今後のデジタル化社会に対応できるよう、知識と経験を身につけることです。そして今年2月、オーストラリアの教育大臣Peter Garrett氏は、国の目標として、高校生1人1人にパソコンを提供することを発表しました。このプログラムでは、連邦政府・州・地方の政府関係機関と教育機関が連携してオンライン学習や高速ブロードバンド環境づくりをサポートしています。 その他にも、オーストラリア国内の全学校で利用可能な、12,000以上もの無料デジタル・カリキュラムの提供などもあります。

この中でも、グローバルなデジタル教育を行っているオーストラリアの評判に貢献しているのが、Moodleです。オーストラリアでは現在もなお、著作権・商標制度や特許制度が従来的なものですが、政府はこの政策を改正し、政府関係機関がオープンソース・ソフトウェアを使うことが認められるようになりました。その結果、Moodleがオーストラリア国内で広く利用されるようになったのです。Moodleは、オーストラリア中心部から遠く離れた西部に住むMartin Dougiamas氏によって制作・開発されました。彼自身がdistance learner(学校と家の距離が離れている学習者)であったこともあり、Moodleは家と最も近い学校との距離が1000kmもある学習者のために制作されました。西オーストラリア州パースにあるベルモント市立大学は、いかに短期間でMoodleを実装し、教師・スタッフ・学生にプラスの効果をもたらすことができるかを表した、よい事例となっています。

また、オープンソース・ソフトウェアに関する知識を提供する事業、Australian Service for knowledge of Open Source Software (ASK-OSS) の取り組みも、グローバルなデジタル教育におけるオーストラリアのリーダー的地位を支えています。この事業は、オープンソース・ソフトウェアに関するアドバイス、マネージメント、管理、ストレージ、そして普及活動を行うための情報を提供しています。2004年、南オーストラリア州マウントガンビアにあるグラント高校は、中等教育にオープンソースを取り入れることの効果を調べるため、ASK-OSSの調査に参加しました。調査に踏み切ったのは、コスト削減という大きな動機となる要素があっただけでなく、オープンソース化の活動を支持する考え方そのものが、学校で育まれる指導と学習に適合するものであったからです。この考え方が、上記調査におけるもう1つの要素であり、学校側は所有権のある製品の利用をやめる決断をするようになりました。それ以来、グラント高校は、どうのように学校はオープンソースを採用し、教育的目標を達成することができるか、ということを示す良い事例となっています。また、この調査以降、グラント高校の生徒はLightworksでビデオ編集を行い、従来の手書きのアニメーションはPencilで制作するようになりました。

原文: Australia is leading a global, digital, open education revolution
http://opensource.com/education/12/3/australia-leading-global-digital-open-education-revolution
公開日時: 2012年3月14日
BY Carolyn Fox

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

SPARKcon: オープンソース・プロセスを利用したアート、音楽、そしてその成功例

Image credits: h0tgrits

Image credits: h0tgrits

“Process over content(コンテンツよりプロセスを)。Gamil DesignとDesignboxのオーナー、Aly Khalifa氏は、SPARKconでオープンソースの本質を吹き込むため、これを合い言葉のようにしています。SPARKconとは、元々ノースカロライナ州の三角地帯(注釈: 有名なデューク大学のあるダーラム、ノースカロライナ州立大学のあるローリー、そしてノースカロライナ大学のあるチャペルヒルの学術都市3つを称して、米国南部研究都市の“三角地帯”とよばれている) で設立され、(アートや音楽など)クリエイティブなムーブメントを紹介し・歓迎し・影響を与えていくことを目的に、1年に1度開催されるイベントです。

Khanlifa氏は次のように話しています。「Process over contentへの取り組みは、 初めのうちは人々の理解を得るのが難しく、説明するのも大変で、厄介なこともありました。」また、現在のオープンソースとコミュニティーについて、「オープンソースは素晴らしいものです。最終的にどのようなコンテンツを取り入れるかは、コミュニティーの取捨選択によって決まっていくという構図があるからです。そこにあるのは私たちが打ち込んできたことと同じ精神です。現在、いろいろな人が様々な層で活動していることも素晴らしいことですし、私たちがプロセスに重点を置いて活動していることに、徐々に周りが理解を示し始めているのだと感じています。」と語ってくれました。

一方で、世の中には、プロセスを越えた共同作業や相互作用が存在します。それぞれの人が、それぞれの興味・専門分野でコンテンツを生成してくこと(SPARKsと呼ばれます)を後押しすることで、殊更に大きなものを生み出すことにつながっていきます。

Visual Arts ExchangeのSara Powers氏は言います。「確かに、SPARKconはオープンソース・プラットフォームのほんの一部にすぎません。なぜなら、自分たちでプログラミング・プランニングをすることで、どのような専門家であっても関われるようにしていて、そこからさらに大きなものを作れるようにしているからです。」

今皆さんが取り組んでいるものや、情熱を注げるようなプロジェクトの中に、オープンソース化のプロセスを必要とするものはありますか?学校や仕事、ビジネス的なものや、個人的なもの、どんなものでもかまいません。おそらく、それはSPARKconのようなクリエイティブに富んだものであるはずです。もしくは、周りにイベントを主催しようとしている人がいるのであれば、オープンソースに頼る方法でそのイベントをさらによくできるかもしれません。

原文: SPARKcon: Art, Music, and success with open source process
http://opensource.com/life/12/3/sparkcon-art-music-and-success-open-source-process
公開日時: 2012年3月13日
BY Jason Hibbets (Red Hat)

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

自由なゲーム制作環境を目指す大規模なコンテスト“Liberated Pixel Cup”が開催決定

今回はクリエイティブ・コモンズフリーソフトウェア財団、そしてOpenGameArtの協力によるゲーム・オーサリング・コンペティションLiberated Pixel Cupの立ちあげについてお知らせします。

Liberated Pixel Cupは2つ部門からなるコンテストです。まず、フリーカルチャーライセンスのつけられたアートワーク(イラスト)の作成。そしてもう1つは、これらのアートワークを使った、フリーソフトウェア・ゲームのプログラミングです。今回のコンテストから、多くの素晴らしいプロジェクトが生まれることが期待されますが、そのためには皆さんの参加が必要です。

Liberated Pixel Cup example outdoor artwork / Lanea Zimmerman / CC BY-SA 3.0

Liberated Pixel Cup example outdoor artwork / Lanea Zimmerman / CC BY-SA 3.0

このプロジェクトは、技術的には、3つのフェーズに分かれています。このプロジェクトの主要な目標の1つは、統合性のあるコンテンツを制作することです。そのため、本プロジェクトの“最初の段階”は、Tangoスタイルガイドがアイコンについてマニュアル化しているような感じに、問題なく互いに調和するコンテンツを制作することができるマニュアルを作成することです。私たちは、このマニュアルを作成するために、基本的な事例を構築することをお願いしている優秀なアーティストたちと共に取り組んでおり、今後の成果に大きな期待を寄せています。

ここからは、コンテストについて具体的に説明していきたいと思います。コンテストの“第1フェーズ”では、参加者はOpenGameArtにアップロードされるガイドに従って、CC BY-SA 3.0GPLv3の互換性のあるライセンスがつけられたアートワークを制作します。このプロジェクトは、今年6月1日から7月30日の期間に開催される予定です。そして“第2フェーズ”では、構築段階で作成したアートワークを組み込んだGPLv3またはそれ以降のライセンスをつけて制作します。ここでは、参加者はチームまたは個人で取り組むことになります。このコンテンストは今年7月1日から同月31日まで開催予定です。

その後、エントリー作品を評価し、受賞者を決定します。現在の予定では、コンテンツ構築のフェーズと、ゲーム・プログラミングのフェーズの両方において、複数の賞を準備することになっています。詳細はこちらでご確認下さい。

私たちにとって、今回、OpenGameArtとコラボレーションするできたことは非常に光栄なことです。そして、あらゆるドメインにおいて、利用者の自由を実現するという共通の目標を目指すフリーソフトウェア財団は、私たちの真の協力者であるといえます。

FSFは、仲間と共に今回のコンテストに参加し、支援できることを非常に嬉しく思っています。同時に、コンテストから生まれる新しいフリーソフトウェア・ゲームに期待しています。それは、私たちがゲーム好きだという理由だけでなく、今回着手した分野は、利益を上げることが目的のソフトウェア会社が、ずるい手段としてDRM(Digital Restrictions Management)を利用し、ほぼ独占しているところであり、フリーソフトウェアを使おうとするユーザーの妨げになっているからです。
-John Sullivan (フリーソフトウェア財団 事務局長)

Liberated Pixel Cup example indoor artwork / Lanea Zimmerman / CC BY-SA 3.0

Liberated Pixel Cup example indoor artwork / Lanea Zimmerman / CC BY-SA 3.0

私たちは、Liberated Pixel Cupが、様々な方法による共有化にとって、素晴らしい機会となると考えています。現在は統一された形式に沿ってたゲームを自作するフリーカルチャー・コンテンツを見つけることは難しく、同様にアーティストもコラボレーションするのが難しい状況です。私たちはフリーソフトウェアとフリーカルチャーが直接交わる分野にも非常に興味を持っています。その分野は、必ずしも目に見える分かりやすいものではありませんが(時に少し複雑でさえあります。ですから、今回は行動を起こすことができるタイミングについて考えるよい機会です)、ゲームはこれにあてはまる良い事例なのです。皆さん、是非ご参加してみてください。

それから、今回のプロジェクトへの資金援助についてお話します。まず、私たちは上述したマニュアルを任せているアーティストに対し、現金で謝礼を支払いたいと考えています。アートワークに関する基本的なルール設定をすることは大変な作業だったからです。次に、コンテストの各フェーズにおける受賞者には、賞金または賞品を与えることも可能にしたいと考えています。

最後に、Liberated Pixel Cupへの資金援助のお願いです。上記で述べたことを実現させるため、皆さんの協力が必要です。私たちの考えに共感してくださった方は是非こちらから寄付をお願います。
また、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンでもこちらから随時寄付を受け付けております。

【フリーソフトウェア財団 概要】

1985年設立。米国ボストン(マサチューセッツ州)に本部を置く。コンピュータ利用者のプログラムの使用、学習、複製、修正、そして再頒布する権利の推奨に取り組んでいます。また、フリーソフトウェアの開発と利用を促しています。特に、GNU(FSFが進めているUNIX互換ソフトウェア群の開発プロジェクトの総称)オペレーティングシステムとGNU/Linuxの改良型や、フリーソフトウェアのためのフリードキュメンテーションに力を注げ、ソフトウェアやウェブサイトの利用については、 倫理的かつ政治的な視点から、自由に関する問題に対する意識を広めようとしています。Fsf.orggnu.orgはGNU/Linuxについての重要な情報資源です。FSFの活動支援はこちらからお願いします。

【OpenGameArt 概要】

2009年設立。自由でオープンソース化されたゲーム制作に使われるアートワークを、アーカイブに保存することを目的としています。設立以来、OGAはゲームとフリーカルチャーへの情熱をもつアーティストや開発者の活気あるコミュニティーへと成長してきました。OGAについての詳細や、組織への参加は http://opengameart.org/ をご覧ください。

原文: Announcing the Liberated Pixel Cup: an epic contest for gaming freedom
http://creativecommons.org/weblog/entry/32322
公開日時:2012年4月11日
BY Christopher Webber (Software Engineer)

Nature Publishing GroupがCC0で45万点以上の出版データを公開

Ideal Knot final rendering / Matt Biddulph / CC BY-SA

Ideal Knot final rendering / Matt Biddulph / CC BY-SA

2012月4月4日、Nature Publishing Groupは、新しいLinked data(データをオープン化するためのデータの共有方法)のプラットフォームを始めることを発表しました。 これにより、2000万点ものリソース・ディスクリプション・フレームワーク(RDF)のステートメント へのアクセスが可能になります。この中には、NPGが1869年の創刊以来発行してきた45万点以上もの記事の主要なメタデータも含まれています。また、これらのデータは、NPG特有のオントロジー(メタデータを各文書に加え、それを記述する用語を定義する構造)と同様に、基本的な引用情報(タイトル・著者名・発行日など)も含有しています。そして全てのデータは、記事をパブリックドメイン化するために、CC0のライセンスの下で公開されています。CC0はライセンスではありませんが、作品に生じる(存在する)著作権とデータベースに関する権利の放棄を永久的に望むなら、誰でも利用できる法的手段です。つまり、CC0の利用によって、可能な限り作品をパブリックドメインに近いものにできるのです。

今回の動きは、NPGが2009年に発行した数ある記事の中でも、特にこの意見記事「データとツールを取り巻く今後の出版物の共有について」で述べられている内容を実行に移した、非常に素晴らしいものです。その記事内容は、オープン共有とデータをパブリックドメインとする際のCC0の利用を、明確に推奨したものでした。

データへの自由なアクセスと利用を目的に、大規模な公共データベースがデータを公開するというのは、ごく自然なことです。しかし、この場合、利用に対する制限は非常に少なくなければなりません。そこで、私たちが支持するのは、曖昧な部分のないオープンな共有の仕方を推進することです。データをパブリックドメインとするため、いかなる権利も保持しないとするクリエイティブ・コモンズのCC0がその1つの解答です。

NPGの他にも、多くの組織や機関がデータ公開のためにCC0を利用しています。私たちのwikiページ、データとデータベースに関するCC0の利用で詳細が述べられていますので、興味ある方は是非ご覧ください。また、データに対するCCライセンスについては、http://wiki.creatibecommon.org/Data 内の記事とCCのFAQをお読み下さい。

原文: Nature Publishing Group releases publication data for more than 450,000 articles via CC0
http://creativecommons.org/weblog/entry/32283
公開日時:2012年4月5日
BY Jane Park (Communications Manager)