iSummit 第一日目の基調講演2番手はジミー・ウェールズでした。サンフランシスコから中継での基調講演でした。テーマはオープン検索。彼が最近取り組んでいるWikia Searchの紹介をしつつ、現在の検索エンジンに欠けている「オープン性」を説くものでした。
Wikia Searchの検索エンジンの検索エンジンのコードはBSDライセンスで、インデックスデータはCC-BY 3.0で提供されているということです。アメリカの調査結果によると検索エンジン市場は上位3社が市場の90%以上を占めている状況にあるということですが、これら主要検索エンジンがどのように各サイトの順位付けをしているのか、何か不正などがないのか、疑問を持っても詳細が公開されていないことをジミー・ウェールズ氏は問題にしていました。これに対して、ウィキア・サーチはソースコードやインデックスが公開されているため、どのようなアルゴリズムで、どのようなデータを分析して、検索結果を決定しているかがわかるようになっている点に特徴があるということになります。
GoogleにはPageRankというサイトの評価指標がありますが、昨年の10月に多くのサイトのPageRankに変動があり、Googleに対する批判も含め大きな議論を巻き起こしました。Googleの検索結果画面でもそれらブログの位置づけが下がり、訪問者数が減る、広告収入などの減収につながるといったことになるため、不当な被害を受けたと感じた人もいたようです。
また、SEO(Search Engine Optimization 検索エンジンへの最適化)と呼ばれるような工夫・細工をしなければならないこと、そのために専門家にお金を払わなければならないことがしばしばあることも、ジミー・ウェールズ氏は問題として指摘していました。ウィキア検索では参加者が検索結果に変更を加えることができる仕組みがあることが、この問題への答えになっているようです。ホテルやパソコンなどを検索すると、そのホテルの公式サイトや、商品の製造元のページではなく、宿泊予約サイトやパソコンの小売店のサイトが検索結果の画面に多数登場するといったことがありますが、検索結果が直接修正できるようになっていれば、違った結果が期待できるかも知れません。
「オープン」言葉の意味が文脈によってかなり異なっているという指摘を目にすることが、最近は増えてきたように思います。ウィキア検索は、ソースコードと検索エンジンが公開されているという意味でのオープン性、(透明性の意味でのオープン性)があるほか、ウィキア検索のサービスが多くの人々の参加に開かれているという意味でのオープン性もあります。ソースコードの改良、インデックスデータの拡張、検索結果の編集などが参加型になっています。
執筆:渡辺