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UNESCO OER 勧告の導入をサポートするNGOネットワークが設立された

Cable GreenCable Green

Jennryn WetzlerJennryn Wetzler

2019年11月28日

The New UNESCO House in Paris
New UNESCO House in Paris. United Nations. 1958-September-01 / CC BY-NC-ND

第40回ユネスコ総会にて、UNESCO OER 勧告が11月25日に193の加盟国の全会一致で採択された。この決定は、世界的にオープン教育を促進するためのまたとない機会だ。

なぜ重要なのか?この勧告はUNESCOの公式ツールで、各国政府が自国でオープン教育を支援し、他国と協力するための勧告のリストを提供する。

クリエイティブ・コモンズはこの重要な節目に非常に感激している。私達は15年以上の間、UNESCO、Commonwealth of Learning、そして複数の国の政府・関係機関のパートナーと共にオープン教育に取り組んできた。クリエイティブ・コモンズは2012年UNESCO OER宣言、2019年UNESCO OER勧告の両方で草案作成委員会の一員であった。2015年には、クリエイティブ・コモンズはUNESCOと共に、UNESCOのオープン アクセス レポジトリに取り組んだ。また、クリエイティブ・コモンズは2017年に行われたUNESCO OER Global Congressに参加し、基調講演を行った。

オープン教育を世界的に推進することに活発な複数の組織は、UNESCOオープン教育勧告の重要性を認識し、その導入を支持するための連合に参加した。連合に参加した組織は以下のとおりである(アルファベット順)。

この連合では、OER勧告の導入を全てのUNESCO加盟国で支援するために、それぞれの組織の強みや専門性を活かし、一体となって包括的なリソースとサービスを作成・提供する。また、2020年上旬に会合を開き、各国の政府をサポートするためのサービス、資料、アクティビティ、コミュニケーションプランのリストを作成する予定でいる。導入のためのサポートはOER勧告の支援に焦点を当てたものとなる。

5つの活動分野:
  • ステークホルダーがOERを作成、アクセス、利用、翻案、再配布することを可能にする
  • 支援ポリシーの策定
  • 包括的で公平な質の高いOERの促進
  • OERの持続可能なモデルの育成
  • 国際的な協調の促進
観察と報告:
  • 効果を測定するための適切な研究プログラム、ツール、指標の展開
  • 進捗状況、グッドプラクティスとなるイノベーションおよび研究レポートの、収集、発表、普及
  • OERの効果と長期的な財務効率性を観察、評価するための戦略
詳しくはこちらへご連絡を:

Dr. Cable Green
Interim CEO & Director of Open Education
Creative Commons
cable@ creativecommons dot org

Jennryn Wetzler
Assistant Director of Open Education
Creative Commons
jennryn@ creativecommons dot org

こちらのフォームを通じた質問、要望、提案も歓迎します。

CCは世界中のステークホルダーと共に、オープン教育の実行能力の増強と効果創出に取り組むことを楽しみにしている。協力することで、UNESCO OER勧告の目標と目的を達成し、質の高い教育にすべての人がアクセスできるようにすることが可能だ。早速動き出そう。

このブログ投稿は Cable Green と Jennryn Wetzler による“NGO Network to Support Implementation of the UNESCO OER Recommendation”を翻訳したものです。

(担当:豊倉)

パブリックドメイン作品の複製はパブリックドメインとすべきだ

Claudio RuizClaudio Ruiz 

ScannScann

2019年11月20日

文化遺産に関わる施設において、世界中でパブリックドメインであることが明白である彫刻、胸像、版画、碑文などの作品の、写真による複製や3DスキャンへのCCライセンスの利用が増えていることがクリエイティブ・コモンズの注意を引いている。最近の例ではベルリンのNeues Museumが、そこで展示されている3000年前のネフェルティティの胸像にCC BY-NC-SAライセンスを適用した例がある。CCライセンスを付与する際に採用されるのは、CC BYから、最も制限の強いCC BY-NC-NDまで幅広い。

対象物のほとんどは長らくパブリックドメインであり、そもそも著作権の対象でなかったものも多い。作品に対しCCライセンスを付与できるのは著作権者のみである。もし作品がパブリックドメインである場合、著作権ライセンスは一切適用されるべきではない。CCライセンスは著作権が存在する場合にのみ機能するよう設計されているため、著作権が存在しないこのような場合は効力を持たない。この場合、もし何かを適用するのであれば、世界的にパブリックドメインであることを示すために、パブリックドメインマークあるいはCC0マークを適用するのがふさわしい。

もし作品がパブリックドメインである場合、著作権ライセンスは一切適用されるべきではない。CCライセンスは著作権が存在する場合にのみ機能するよう設計されているため、著作権が存在しないこのような場合は効力を持たない。

これらの主張は、作品そのものではなく作品の3Dスキャンや写真による複製について述べられている場合もある。しかし、デジタル化それ自体で著作権や類似の権利が発生することはない。なぜなら大多数の法的管轄域では、創作物を忠実にデジタル複製することに創作性があると認められないからである。多くの場合これらの複製は、作品の保存のための確立された業界標準に従う。これらのスキャンが高度な技能に基づくものだとしても、ほぼ世界的に、これらの複製は著作権の保護を受けるには創作性が不十分である。

他にも、文化的な管理と所有が法的、政治的、外交上の議論の対象となっている作品にCCライセンスが適用されたケースもある。クリエイティブ・コモンズはこの問題について掘り下げており、これらの問題に対処するためには、CCライセンスは十分でないことを認識している。しかしこれらの事例では、起源となるコミュニティが有する、デジタル化とアクセスの制限と条件に関する決定を含む文化的権限に意識を向けることは非常に意味のあることだ。(*1)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは、オリジナルの作品の創作者が公衆に対してどのような許可を与えているかを利用者によりよく理解できるようにするためのツールである。CCライセンスが誤用されると、CCライセンスの著作権許諾の意思疎通を行うためのスタンダードとしての能力が損なわれてしまう。作品へのCCライセンスの誤用は作品の再利用者の混乱を招き、世界中のコモンズから恩恵を被る公衆の権利を制限することになる。

いくつかの事例では、文化遺産所蔵施設が自らが行った作業の功績のため、あるいはデジタル複製の出どころを示すためにCCライセンスを用いていることを私達は認識している。しかしこれらの目的については、メタデータや機械可読性標準などのより適切な技術的ツールが存在する。

最後に、オープンアクセスポリシーを評価する際、時に文化遺産所蔵施設が示す収益と利益に関する懸念について私達は理解している。しかし、パブリックドメインである作品の著作権を主張することと、成功する収益化の戦略を考えることは、異なる話題であり、一緒にされるべきものではない。さらには、画像をライセンスすることに関わるコストが、画像から得られるであろう潜在的な利益または収益源を縮小させることを示すエビデンスが増えている。(*2)

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスはパブリックドメイン作品の発見、共有、再利用の可能性を制限するためのツールではない。文化遺産所蔵施設は、公衆に文化と情報へのアクセスを与えることを、機関の任務の一部と考え、オープンアクセスポリシーを採用することが望ましい。

クリエイティブ・コモンズは文化遺産所蔵施設向けに、オープンアクセスに関する研修・教育活動をより多く提供することに努めている。また、Wikimedia Foundationと連携し、2020年5月のGlobal Summitで公開予定のDeclaration on Open Access for Cultural Heritage(文化遺産のオープンアクセス宣言)の作成を行っている。この活動に参加したい方は@openglamまでご連絡を。

レファレンス

1. Pavis, Mathilde and Wallace, Andrea, Response to the 2018 Sarr-Savoy Report: Statement on Intellectual Property Rights and Open Access Relevant to the Digitization and Restitution of African Cultural Heritage and Associated Materials (March 25, 2019). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3378200 or http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.3378200

2. Crews, Kenneth D., Museum Policies and Art Images: Conflicting Objectives and Copyright Overreaching. Fordham Intellectual Property, Media & Entertainment Law Journal, Vol. 22, p. 795, 2012; Tanner S. Reproduction charging models & rights policy for digital images in American art museums: A Mellon Foundation funded study. Online: King’s College London, 2004. 57 p.; Foteini Valeonti, Andrew Hudson-Smith, Melissa Terras & Chrysanthi Zarkali, Reaping the Benefits of Digitisation: Pilot study exploring revenue generation from digitised collections through technological innovation, Proceedings of EVA London 2018, UK.

このブログ投稿は Claudio Ruiz と Scann による“Reproductions of Public Domain Works Should Remain in the Public Domain”を翻訳したものです。

(担当:豊倉)