【開催主旨】
生成AIの開発にあたり、他人のイラストやニュース記事などの著作物を生成AIの学習データとして無断で利用してもよいかについて、問題があるとしてどう対処すべきかについて、さまざまな意見や動きがあります。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンでは、年次イベントのテーマとしてこの点を取り上げて議論する機会を設けます。また、米国に本部をおくクリエイティブ・コモンズ(*1)が対処策として最近提案したCCシグナルの特徴やその背景にある考え方について紹介します。
法律的な観点からは、日本にはAI天国と称されることもある著作権法上の規定が存在し、生成AIの学習に他人の著作物を無断で利用することが幅広く認められています。ただし、規定が適用されない「著作権者の利益を不当に害することになる場合」がどこまでを指すかについての法解釈は専門家の間でも意見の相違があります。また、そのような規定から「オプトアウト」するべくAI学習への利用を禁止する意思表明をする動きもあります。無断利用を違法化することを求める意見も存在しています。
倫理的観点からの批判も様々に存在しています。また、主要なAI開発企業の中にはデータ提供者に対して対価を支払う仕組みを用意し、無断利用や経済的搾取についての批判へ対処する動きもあります。検索エンジンなどの行動を制御するためのrobots.txt への記載など、一定の仕組みを通じて学習データ利用への諾否を表明していればそれをデータ収集時等に反映する場合もあります。CCシグナルもまた、このようなAI利用に関する意向表明の手段の一種として提唱されており、現在世界中から意見を募集しています。
立場、意見や専門領域に関わらず建設的な議論に参加したい方の幅広いご参加をお待ちしています。
なお、本イベントはクリエイティブ・コモンズ・ジャパンの2024年の活動成果報告として実施するものです。イベントの最後には、本テーマに限らないクリエイティブ・コモンズ・ジャパンの活動の紹介があります。
*1 クリエイティブ・コモンズは米国に本拠をおく非営利法人で、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンやその母体であるNPO法人コモンスフィアとは別の法人です。
【開催概要】
CCJPシンポジウム「生成AIの学習における著作物の無断利用をめぐって」
主催:クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
後援:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)、オープン・ナレッジ・ジャパン
日時:9月21日(日) 16:00-18:10
場所:オンライン(WebEx)、および対面(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)
参加料:無料
参加申し込み:Googleフォームからお申し込みをお願いします。
登壇者:
・小沢高広(二人組漫画家「うめ」原作担当/日本漫画家協会 常務理事)
・庄司昌彦(武蔵大学社会学部メディア社会学科 教授)
・豊倉幹人(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン事務局)
・渡辺智暁(クリエイティブ・コモンズ・ジャパン/コモンスフィア理事長)(モデレーター兼)
【プログラム(暫定版)】
※当日までに変更になる可能性があることをご了承ください。
・挨拶と話題設定(10分)
・冒頭発表(15分x2名)
・CCシグナルの紹介(10分)
・パネル討論および質疑(60分)
・まとめ(10分)
・クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの2024年度活動報告(10分)
お問合せ・ご連絡先:
お申し込み期限後のキャンセルなどのご連絡は info at creativecommons.jp までメールでのご連絡をお願いします。( at は@マークに変換してください)