いまやCCライセンスを作品へ適用することは、全世界の何千ものクリエーターにとってはおなじみの習慣となっている。しかし多くの著者・芸術家・研究者にとって、自分が著作者であることや、いつ作品がライセンスされたか、といったことを証明するのは簡単だとはいえない。初めて利用する場合や、まだ不慣れなCCユーザーの場合は特にそうだ。インターネットの中でも未開のフロンティアにおいては、1個の作品が自分のものだと主張することはまだ比較的簡単だ。そして「手を挙げろ、さもなければ撃つぞ」式の拘束的な著作権へ回帰することは誰も望んではいないが、規定をどうするかという問題はまだ残っている。
新人をRegisteredCommonsの町に入れなければならない。オーストラリアのフォアアールベルクにある応用科学大学に拠点を置くRegisteredCommonsは、クリエーターが自らの作品にそのライセンス日時を特定するスタンプをつける機会を提供している。重要なのは、これによってCCでライセンスされている作品にさらなる法的保護が加わるということだ。こうして法的論争の際には作品のライセンスの有無についてはいかなる疑いもかからないことになる。
2006年9月、ベルリンにおけるWizards of OS会議で始まったRegisteredCommonsは、すでに音楽・ケーキレシピ・Lawrence Lessigの著作『Free Culture』のドイツ語版を含むいくつかの作品を有している。
●CCライセンスはもう取っちゃったのに、なぜRCライセンスも必要なのか?
「さまざまの利用についてはCCライセンスの摘要で十分だ。だが事が権利侵害の場合には正確なライセンス日時という証拠が不可欠になるだろう。」と語るのは、応用科学大学出身のRoland Alton-Scheidl博士だ。彼によれば、RegisteredCommonsは、最大限の保護を必要とするプロのリミキサーや、ライセンス侵害から自分の作品を守ろうとする慎重なクリエーター、そして自分の作品がどこで使用可能でどこで使用不可能かをはっきりと指定したいライセンス取得者のためのサービスだ。
この最後の点がRegisterCommonsの最大の売りだ。道徳的権利は自分の作品にCCライセンスを使うようにいわれた著作者たちが特に気にする点だ、とAlton-Scheidlはいう。
「たとえば、ファシストの雑誌といった特定の文脈で自らの作品が提示されることは望まない、というのが彼らの答えだ。」
RegisterCommonsが著作者たちの道徳的権利に異なる段階の透明性と保護を加えることができるようにと、Alton-Scheidlは望んでいる。
●で、それはどうやって機能するの?
本当にごくごく単純だ。必要なのはRegisterCommonsに自分の作品を登録することだけ。それはその作品の作者がやってもいいし、出版者あるいはネットレーベルがやってもいい。いったん登録してしまえば、その作品はRegisteredCommonsのウェブサイト上に掲示され、いつ・どこで作品が登録されたのかを正確に記すために、作品には日時を示す消印が付記されるだろう。そしてそれは最高で7年間保持されることになっている。RegisteredCommonsはまた、必要ならば物理的に日付を証明する印紙を郵送してくれるだろう。
●じゃあ、登録者が正当だってどうやってわかるの?
もちろん、RegisteredCommonsに自分の作品を登録する人たちの信頼性を立証することはとても大切だ。そこで登録者の相対的な安全性を測るために「信頼ポイント」というシステムが用いられるのだが、Roland Alton-Scheidlはこれについて次のように説明している。
「登録のレベルに応じて登録者は1から5までの間の信頼ポイントのどれかで登録することになる。もしEメールアドレスしか確認させないならば、とても安全だとはいえないので1ポイントしか与えられないだろう。ユーザーにはCAcert[http://www.cacert.org/]に登録して、RegisteredCommonsが自動的に認識するウェブ-クライアント証明書を得ることを勧める。」
●そして、彼らは実際に民主主義者でもある
RegisteredCommonsは協同組合として経営されているが、それは組織がそのメンバーに所有されていることを意味している。
「組織のイニシアチブと門戸はそのユーザーが所有し舵を取るべきだ。」とAlton-Scheidlはいう。「協同組合は3つの委員会と総会によりコントロールされ、最高レベルの透明性を提供する。」
とはいえ、本当の朗報はこの協同組合のメンバーになれることだ。RegisteredCommonsの株を買うことによって、ユーザーは毎年開かれる委員会メンバーの選挙に関わることができる。RegisteredCommonsについての更なる情報や、作品の登録はそのウェブサイトで。
翻訳:Takatomo Abe
オリジナルポスト:Copy It Right(2006/9/25)