7月30日9:00-基調講演

本日よりiSummitが始まりました!
トップイベントは、国内/海外からクリエイティブ・コモンズに関わっていただいている方による基調講演です。
朝9時から、という早い時間にもかかわらず大勢の方がいらっしゃっていました。
ありがとうございます。
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iSummit'08_0730key1_07 posted by (C)ユメねこ


トップバッターはiCommons事務局長Heather Fordさんによる「グローバルなコモンズの将来について」。
コモンズと言えば、共有地のような土地を思い浮かべると思いますが、今日では特に情報や知識に関するコモンズの概念が注目されています。
クリエイティブ・コモンズ、iCommonsは、この情報や知識のコモンズを推進しています。しかしまだクリエイティブ・コモンズを導入していない国をどのように巻き込み、よりオープンな形で利用者に提示し、よりグローバルに展開していくかという問題があります。組織の活動内容の説明必要性と組織の持続可能性にについて、CCは環境運動とよく似ている、という指摘はうなずけるものがありました。
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iSummit'08_0730key1_02 posted by (C)ユメねこ

次は、wikipedia創始者として有名なJimmy Walesさんがサンフランシスコからオンラインで講演を行いました。テーマはオープンソースを利用した検索エンジンについて。
現在検索エンジンとして有名なのはGoogleやYahoo!です。しかし、検索結果の順番などのノウハウについては各社ともブラックボックスとなっていて、欲しい情報を上の方へ表示できないなど自分で結果をコントロールする事ができず、またプライバシーに関しても問題があると考えています。
このような点を解消するものとして、「wikia」というオープンソースを利用した検索しやすい検索エンジンを実際に開発しています。開発においては、透明性/コミュニティ(誰でも参加でき、開発結果から利益を得る事ができる)/クオリティ(人の心を動かす技術)/プライバシーの4点を確保することが重要であるとWalesさんは述べていました。
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iSummit'08_0730key1_03 posted by (C)ユメねこ

3番目は、クリエイティブ・コモンズCEOであるJoi Itoさん、伊藤穣一さんです。クリエイティブ・コモンズについてお話いただきました。
インターネットの発達により、コンテンツをネット上で「つなげる」ことが容易になりました。そしてクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの利用により、従来困難だったコンテンツの権利処理を少なくする事もできるようになりました。その結果、コンテンツの配信からコンテンツの発掘に重点が置かれるようになっています。このような変化の中で、中間団体ではなく、コンテンツの創作者であるアーティストを最優先に考え、アーティストにとっての最善は何かを探る事が重要であるとJoiさんは述べています。
また、学術論文の著作権処理を考えるサイエンスコモンズや教育目的の情報ポータルを構築するCCLearnなどの取り組みもご紹介されました。
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iSummit'08_0730key1_04 posted by (C)ユメねこ

最後は、一大メディア企業であるアルジャジーラのチームリーダーMohamed Nanabhayさんです。アルジャジーラなかで起こっている問題と、それへの対策について講演されました。
現在、コンテンツを無料で(再)配信するような、Youtubeなどの新たなメディアの創出により、従来の送り手—受け手として固定されたコンテンツの消費方法が変化しています。これにより、これまで支配的であった放送業者というメディアの役割が問われています。
この問題への対応として、アルジャジーラではCCライセンスを用いつつ、フリーなコンテンツを組織の中にビジネスとして取り込むしくみを、YouTubeなどの新たなメディアを用いつつ実践しています。最後に、CCと共にユニークな組織として次のステップに進みたいという抱負をいただきました。
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iSummit'08_0730key1_05 posted by (C)ユメねこ