iSummit’08 Day2 、15時半より始まったビジネスセッションでは、CCを利用したビジネスを行っている企業の方をお呼びして、「ビジネス:オープンビジネスの可能性」というテーマでパネルディスカッションを行いました。
はじめに、CCJP理事であるドミニク・チェン氏が、実際にCCライセンスをビジネスに利用したときの企業側の感触やCCライセンスの課題などを提示してほしい、という本セッションの目的を明らかにしました。
まず、2008年6月〜7月に行われた5社合同企画の動画共有・配信サービス「音景」の活動内容と成果について、nifty、NTT、SONYの3社からお話をいただきました。
niftyの黒田氏によると、「Neom republic」「@niftyビデオ共有」の2つの事例で出た「CCライセンスが分かりづらい」などのユーザーの意見を踏まえ、「音景」ではあらかじめCCライセンスを組み込んだオンライン動画編集機能サービスを提供し一定の成果を得たそうです。今後は、CGMの興隆に伴いライセンス整備と二次創作を支援する必要があり、CCに大きな役割を果たす事を期待すると述べました。
NTTの段野氏からは「ClipLife」のご紹介と「音景」についての感想を頂きました。今後の課題として、CCの導入に際し制度面では名誉的な意味と共に今後は金銭的なインセンティブを考慮する必要があると述べました。また技術面では、ライセンストレーサビリティのシステム構築の必要性を指摘されました。
SONYの向後氏は、「eyeVio」を利用した「音景」での取り組みを紹介されました。一般ユーザー創作コンテンツの利用促進と「クリエイターマインド」の喚起を目標に、今後に向けた様々なサービス展開を紹介し、デバイスを起点としたCCライセンスの活用に向けて抱負を語られました。
次に、CCと共同企画を立てた企業やCCライセンスを実際に利用したアーティスト活動やシステム開発をされている企業にお話を伺いました。
クリプトンの西尾氏は、CCライセンスの認知度向上/キャラクターを利用した啓蒙活動/実際のCCライセンス利用による議論・課題の蓄積を目的とした、CCJPとの共同企画である「CCJP公認キャラクター募集」の感想を述べられました。また、CC類似のライセンスを用いて二次創作を促進する「ピアプロ」というウェブサービスのご紹介もされました。
バグ・コーポレーションの山口氏からは、自身がプロデュースする新人アーティストであり、myspace上でCCライセンスを用いて楽曲を提供し、先日メジャーデビューが決定した「sweet vacation」のご紹介をされました。CCライセンス利用で想定するユーザーはアマチュア限定でなくプロも対象とすること、音楽コンテンツによるビジネスとCCライセンスをとの接合/協力地点を模索する事の必要性を述べられました。
最後に、bccksの安藤氏がCCライセンスを利用し、web上で本のようなコンテンツを作成可能な「bccks」という新しいwebサービスを紹介されました。本のような外観、イメージとwebの強みを利用し、1つの作品を作り上げる、というコンテンツ創作を支援するプラットフォームとしての役割の中で、今後の展望を語りました。
時間の都合上、最後にパネルディスカッションおよび来場のみなさまとの質疑応答ができなかったことは大変残念であり、またお詫び申し上げます。
執筆:酒井麻千子