7月31日17:00-基調講演

2日目の午後のKeynoteではCCそしてフリーカルチャーと市民運動、非営利活動の関係について議論が行われました。


■Free Culture and Free Speech Robecca Mackinnon
ジャーナリストのRobecca Mackinnon氏はインターネット上の表現の自由について、多くの非民主的な国家において情報の検閲が行われているだけでなく、民主的な国家においてすらもシリコンバレーの寛容な「独裁者」によって自由が奪われている側面があるとして、インターネットは必ずしも自由の制約や情報の不均衡といったグローバルな問題を解決していないと警鐘を鳴らしました。例えば、それぞれのユーザーが関心のある事柄を発信しているだけでは、世界各国で起きている問題が必ずしも世界に広く発信されていくことは困難だし、多くのユーザーが1つの企業のプラットフォームだけを使っているのでは、そのプラットフォームを通じた政府の規制が行ないやすくなるといった問題が存在しているというのです。最後に、このような問題を解決する上で重要になってくるのが、WikipediaやCCをはじめとする市民社会に支えられたフリーカルチャーのプラットフォームであると締めくくっていました。

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iSummit'08_0731key2_01 posted by (C)dreamcat

■Enclosing the Commons – for Dummies: Creativity, citizenship and media ownership  Adam Haupt
ケープタウン大学のAdam Haupt氏は、知的財産権と市民の活動の自由とのバランスが問われた2つの訴訟を題材に、特定の企業によるコモンズの囲い込みが市民の自由を不当に制約する危険性を指摘しました。そしてHaupt氏は、著作権や商標権の囲い込みが、市民が政治的、社会的な問題意識からメディアの情報や企業のブランドをパロディしたり批判したりすることを困難にしてしまうという問題を指摘しました。最後に、情報を一部のメディアや大企業に独占させることなく、市民が世界が直面する問題を自由に話し合うことを可能にする上で、オープンなスタンダードやコンテンツが果たす役割の重要性を強調されていました。

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iSummit'08_0731key2_02 posted by (C)dreamcat

■Building connections in the Literacy Community  Jessica Powell
Jessica Powell 氏はGoogleが支援しているグローバルな識字教育のためのプロジェクトを紹介しました。Powell氏はまず、世界には発展途上国のみならず先進国にも文字を読めない人々が数多くいるという現実を示した上で、インターネットはたしかにグローバルなコミュニケーションを可能にしたが、文字が読めない人にとってはインターネットもほとんど意義をもつことができないという基本的な問題の存在を指摘しました。その上で、Powell氏は、インターネット上でオープン・コンテンツの教材を活用してリテラシー教育を行う試みの成果と今後の課題をピックアップし、フリーカルチャーを基盤にしたリテラシー教育の今後の進むべき道を提示していました。 (S.N)

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