先日開催されたFOSS4Gにてクリエイティブ・コモンズ・ジャパン(以下、CCJP)理事であるドミニク・チェンが講演を行いました。
主催団体のOSGeoとはオープンソースによる地理空間ソフトウェアの支援を行っている組織であり、ソースだけでなく集めた地理情報をもオープンにしようという動きがあります。そのときのライセンスとして着目されているのがクリエイティブ・コモンズ・ライセンスです。本講演において、ドミニクはクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの基礎理念と、CCJPの活動方針を説明し、今後ともOSGeoと活発な情報交換を行うことを述べました。以下はドミニクによるセルフレポートです:
地理情報を活用したITサービスは昨今の位置ゲー(携帯電話でユーザーの位置と連動したコンテンツを展開するゲームサービス)の隆盛にも見られるように非常に活発化しています。Science Commonsの見解としては純粋な位置情報そのものは事実情報であり創作性を見いだすことは難しく、よってCCライセンスを付与するのは適さないということを表明していますが、OpenGeoのChris Holmesさんからは地理情報は個人情報とも結びついてるため単純に事実情報として見なすべきではないという話を伺いました。
確かに移動履歴がライフログの一部であることが考えれば、位置情報も立派な「表現」として見なすことができます。GPSロガーを持ち歩いて地図上に絵を描く「GPS Drawing」のような創造的な「歩き方」だったり、TwitterやWassrのようなミニブログで「どこでつぶやいてるのか」という付加情報も表現のうちだと考えることができます(そのような判例はまだ無いとは思いますが)。国土地理院の鎌田さんからは編集著作物の可能性もあるのではというご指摘を頂きましたが、現行法では地図情報を編集著作物とみなせるかどうかは不透明だそうです。
いずれにせよ、位置情報を活かした教育、文化、ビジネスのプロジェクトが多く立ち上がってきていることをこのカンファレンスで目の当たりにして、クリエイティブ・コモンズもライセンスの観点からその発展に協力していければと思いました。多くの実践が登場することによって、その活動のなかで地理情報の創作性も自ずと形を表してくるでしょう。