The Research Works Act

先日ご紹介したSOPA/PIPA議案に続き、現在アメリカでは H.R.3699“The Research Works Act (RWA)”とよばれる、またしてもオープン化の流れの脅威となる法案が審議中です。強い反対意見やストライキ(ブラックアウト)を受け、SOPA/PIPAの採決は延期されることになりましたが、この度のRWAも大きな議論を巻き起こしています。インターネットを中心としたメディアでは、読者にRWAへの反対意見を議会に届けるよう促すものが多く見受けられ、今後もオープン・アクセスをめぐる議論は白熱していくでしょう。

The Research Works Act (RWA)とは、昨年12月16日にアメリカ合衆国下院議員ダレル・アイサ(共和党-CA)とキャロリン・マロニー(民主党-NY)によって提案された現在審議中の法案です。内容として、民間からの出版物に掲載された研究成果の公開に関して連邦政府関係機関が関与することを禁止する他、研究成果の公開についても政府機関が著者に同意を求めるのを制限することが含まれています。米国出版者協会(AAP)とそのProfessional Scholarly Publishing(PSP)部門およびCopyright Alliance(著作権連合)はこれまでの*NIH方針を覆すとしてこの法案に賛成の意を示していますが、研究結果のオープン・アクセスを推奨するその他多くの団体からは次々と否定の声があがっています。

大きな理由は2つ。1つ目は政府に対し納税している国民が研究結果にアクセスする権限を与えられないのはおかしいということ、2つ目は知識の普及手段であるオープン化の流れを妨げるという理由です。納税者のオープン・アクセスを推奨する団体Alliance for Taxpayer Accessでも、納税者にRWA反対を議会へ伝えるよう促すページが作られました。

私たちクリエイティブ•コモンズも、全米図書館協会(ALA)や北米研究図書館協会(ARL)をはじめ10以上の団体と共にRWAに反対しています。先日にはARLのウェブサイト上で、RWAに反対する団体の声明文(pdf)が掲載されました。

クリエイティブ・コモンズは今後ともオープン化の流れを妨げる法案や関連動向を注視していきたいと思います。

*NIH方針- アメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金援助された研究結果に対し、NIHが運営するPubMed Centralとよばれるオープン・アクセス・データベ−スに登録することを義務づける法律。RWAに賛成している団体は、NIH方針が商業出版社を脅かすものとしてこれを否定している。

参考: