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オープンコースウェアについて

 大学の授業関係教材を全てインターネット上で公開し、幅広い知の流通を目指すOCW(オープンコースウェア)の取り組みにもCCライセンスが活用されています。OCWは2003年にアメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)でスタートして以来、米国内のみならず世界中の大学・研究機関に普及が進んでいます。MITのOCWについてはこちら。

 日本国内でも2006年にはJOCW(日本オープンコースウェアコンソーシアム)が設立され、東京大学や京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学をはじめとする十数大学・研究機関が参加し、中でも特に慶應義塾大学のOCWサイトは全面的にCCライセンス(表示-非営利-継承)を採用しています。非営利利用である限り改変しての利用も自由なことから、他の教育機関等がそれぞれの教育ニーズに適合した形で再編集を行なったり、あるいは途上国等の海外の教育機関が、MITの教材を自国語に翻訳して活用することなども可能となっています。

 日本国内の大学においては、2010年6月現在、京都大学・慶應義塾大学・女子栄養大学・東京工業大学・大阪大学・国連大学の6大学が現在CCライセンスを明示的に採用していることを確認しています。

  • (2010年6月6日 採用機関の記述内容を更新)

    Whitehouse.govがCCライセンスで情報提供

    アメリカのオバマ大統領は、大統領選挙にCCライセンスを活用してきました。キャンペーン写真はもちろん、Change.govという選挙活動のサイトにおける情報提供もCCライセンスを利用しています。

    ホワイトハウスのウェブサイト、Whitehouse.govにおいてもCCライセンスが採用されています。もともと、政府が作成したコンテンツは連邦法の下で著作権の保護が受けられないこととなっていますが、第三者が作り出してWhitehouse.govに投稿したコンテンツについて、クリエイティブ・コモンズ表示ライセンス(CC-BY)で公開されるようになっています。

    政府からの情報提供をより開放的にすること、日本においてもこのような動きが生じることを期待しています。

    Wikipediaのライセンスがクリエイティブ・コモンズに!

    Wikipediaが、CC-BY-SAライセンスを採用しました!

    オンライン百科事典Wikipediaは、6月15日からGNU Free Documentation License(GFDL)とクリエイティブ・コモンズの表示ー継承ライセンス(CC BY-SA)とのデュアルライセンス方式を採用しました。これにより、従来から利用されてきたGFDLに加え、CC BY-SAでも利用可能となりました。
    この変更は、Wikimedia財団の評議会での議決及びWikipediaコミュニティの投票によって賛成多数で決定されました。コミュニティでの投票では、75%の人々が賛成だったそうです。この変更によって、Wikipediaや全てのWikimediaのサイトは他のサイトやプロジェクトとの相互互換性をより高めることが可能です。

    Public Library of Science

    Public Library of Scienceは革新的な7つのジャーナル出版者で、科学ジャーナルをウェブ中心に再考するものです。特にPLoS BiologyやPLos Medicine、PLoS ONEなどが有名。全てのPLoS内のコンテンツはCCのBYライセンスで公開されています。

    PLoSに加え、現在では数百もの学術ジャーナルがCCライセンスの下で公開されており、学者や教育者、一般人の知識へのアクセスが増え、よりイノベーションを容易にしています。10月に行われたシンポジウム「科学における情報の上手な権利化と共有化」での議論や、Science Commonsにおける取り組みなど、学術分野におけるCCライセンスの活用が広がっていくことが望ましいのではないかと思います。

    会津若松市でOpenOfficeを採用

    会津若松市のウェブサイトにて、市の取り組みの一環としてのオープンオフィスの業務への導入が紹介されています。
    資料PDFはこちら

    ウェブサイト内では文書、「オープンオフィスにしませんか?」がCCライセンス下で公開されており、PDFで読むこともできます。
    会津若松市のこれまでの取り組みの説明と共に、オープンオフィスがどういったもので、どのような機能があるのか、入手方法やトラブルへの対処法について、これまで得られたノウハウを生かして分かりやすく書かれています。
    是非ご一読いただき、周りの方にもご紹介してみてください。

    Creative Commons

    言わずと知れた本家アメリカのクリエイティブ・コモンズです。
    ライセンスはBYが適用されており、コンテンツもCCJPのウェブサイトとかなりの程度共通ですが、特にいくつかお勧めページをご紹介します。

    Planet Creative Commons
    世界40カ国以上に広がるクリエイティブ・コモンズの支部から届けられた情報が英語で掲載されており、世界中のフリーカルチャー・著作権に関する情報が随時更新されています。CCJPウェブサイトでも時折こちらの記事を翻訳して掲載したりもしています。

    Press Room
    プレス関係者向けのページですが、特にLogo Downloadsがお勧めです。CCに関するあらゆるロゴやアイコンを、svg/eps/pngの各フォーマットでダウンロードすることができます。

    Store
    Tシャツやステッカー、バッジなどを購入できるページです。日本から購入してもちゃんと国際便で届けてくれます。

    Creative Commons Wiki
    アカウント制のwikiで、多数の人々によって世界中のCCに関する情報が蓄積・整理され続けています。

    FTEXT

    FTEXTとは、「教育のオープンソース化」を理念に掲げるNPO法人です。数学を中心としたオリジナルの学習教材を作成しており、その成果物をCC-BYライセンスで公開しています。

    現在公開されている教材は主に下記の通りです。

    高校数学(数学I・II・A・B)「FTEXT教科書」
    高校数学の演習・入試問題を約800問収録した「演習問題データベース」
    毎年実施される大学入試センター試験の詳細な解説
    ウェブ上での入手の他、ハードコピー版は書店やアマゾン等でも購入できます。

    openDemocracy

    openDemocracyとは、2001年にロンドンで設立された、グローバルな政治問題を議論するウェブマガジンです。

    記事毎にライセンスが付けられており、かなりの割合でCCライセンスが選ばれているようです。 記事の質も非常に質が高く、過去にもTodd Gitlin(コロンビア大学)、Siva Vaidhyanathan(ヴァージニア大学)等多数の著名研究者が投稿しています。

    アンサイクロペディア

    「可能な限りもっとも無駄な形で、もっともきつい皮肉とユーモラスな方法でもって、世界に嘘情報を広めること」をその使命とする「Uncyclopedia(アンサイクロペディア)」の記事は「表示ー非営利ー継承」のCCライセンスで公開されています。

    「Encyclopedia(百科事典)」をもじったこの辞典は、「嘘と偽りでいっぱいの百科事典」「百科事典に『サイケ』を持ち込んだもの」などの説明がなされています。アンサイクロペディアに載せられている記事がCCライセンスで公開されています。

    「秀逸な記事」のカテゴリを読んでみると、思わず突っ込みを入れたくなったり、あるいは大笑いしたくなること請け合いです。

    Google Book Search

    書籍の内容を検索することができるサービス、googleブック検索に新機能が追加され、パートナー・プログラムの参加者がCCライセンス下で作品を公開できるようになりました。 現在は「Googleブックス」という名前でベータ版サービスの提供が開始されています。

    今回は基本の6種類に加え、CC0という著作権の放棄を意味するCCライセンスが対応しました。このことにより、パートナーになっている出版社や著者の正式な認可のもとでCC下での自由な利用、例えば複製やリミックスをすることができ、利用の幅がひろがることが期待できます。
    こちらの記事で示されているように、すでに以下の著作がCCで公開されています。

    55 Ways to Have Fun with Google 著者:Philipp Lenssen
    Blown to Bits 著者:Harold Abelson, Ken Ledeen, Harry R. Lewis
    Bound by Law? 著者:Keith Aoki, James Boyle, Jennifer Jenkins
    Code: Version 2 著者:Lawrence Lessig
    Democratizing Innovation 著者:Eric von Hippel
    Federal Budget Deficits: America’s great consumption binge 著者:Paul Courant, Edward Gramlich
    The Future of the Internet — And How to Stop It 著者:Jonathan Zittrain
    Little Brother 著者:Cory Doctorow
    A World’s Fair for the Global Village 著者:Carl Malamud