PSI Directive

PSI指令改正案に対するCOMMUNIAの反応

今回の投稿はCOMMUNIA International Association blogからの記事を翻案したものであり、Open Knowledge Foundation websiteにも同じものが掲載されています。クリエイティブ・コモンズとOpen Knowledge Foundation(OKF)はCOMMUNIAの組織メンバーです。COMMUNIAはデジタル時代に伴い、 政策立案者と共に社会におけるパブリック・ドメインに関する情報を提供し、これを支持し、専門知識や研究の提供をすることを目的としています。

欧州委員会の公共部門情報指令(public sector information Directive, PSI Directive)とは、国民による二次利用のために欧州の公共部門情報(PSI)を公開しなければならないという条件を表したもので、2003年に制定されました。PSIはデジタル・マップをはじめ天気に関するデータや交通統計をも含み、営利・非営利目的に関わらずPSIを二次利用のために公開することには多くの潜在価値(最高で1400億ユーロ)があると考えられています。欧州委員会(EC)はPSIの二次利用の増加は新たなビジネスと仕事を生み出すとして、その目的のために最終的には最初の制定から9年も経っている本指令を更新する予定です。COMMUNIA国際連合は今年1月末、ECからの提案に対する反応として 短い政策文書(PDF)を発表しました。この提案は、ブリュッセルで開催されたLAPSI会議において、OKFのDaniel Dietrich氏が熱心な聴衆に向けてプレゼンテーションしたものです。

これらの背景を少しご説明致します。2011年12月、ECはPSI指令のアップデートに関しての計画(PDF) を発行しました。Open Knowledge Foundationはすでに委員会発表の基本はカバー含してしたのですが、COMMUNIAの文書は、これらの計画は依然として改善を要すると考え、特に2つの分野に着目しました。1つ目は、指令の範囲内で公共部門情報の二次利用に対しての条件に関することで、2つ目は図書館・博物館・アーカイブで保持されているパブリック・ドメインのコンテンツに関することです。

The South Prospect of the Cathedral of St. Pauls / gallica.bnf.fr/Bibliotheque nationale de France / Public Domain

The South Prospect of the Cathedral of St. Pauls / gallica.bnf.fr/Bibliotheque nationale de France / Public Domain

公共部門情報(PSI)二次利用の条件

COMMUNIAの視点からですと、改正された指令において、公共部門コンテンツのライセンシングへの取り組み方法は不完全であって、その結果として参加各国間での不一致を生み出し、潜在的に互換性のない実装になる懸念があります。ライセンシングを扱う改正指令の条項は“基本ライセンス”について言及していますが、何が基本ライセンスと考えられるべきなのか十分に明確な説明がされているわけではなく、また何がオープン・ガバメント・ライセンスの発展を促すかということに至っているわけでもありません。ライセンスの一層の使用や制作を勧める代わりに、COMMUNIAでは、委員会が全ヨーロッパ連合をまたいで適応される1つのオープンライセンス利用を推奨するべきであると提案します。そのような(Open Knowledge Foundationとクリエイティブ・コモンズによって支持された)ライセンスは既に存在し、広範囲のデータおよびコンテンツのプロバイダーによって幅広く利用されています。

図書館・博物館・アーカイブで保持されたパブリック・ドメイン・コンテンツ

COMMUNIAは、文化遺産団体を改正指針の範囲内に含むという委員会が提案した変更事項を支持しています。PSIの二次利用そしてアクセスは、COMMUNIAの活動においても特に注目されてきた問題の1つでした。例えば、ECの指令改正案は COMMUNIA2011年1月の政策提案#13と連帯しています。 その内容は“PSI指令は、博物館やギャラリーなどの公共に設立された文化的記憶装置を含めることで、拡大される必要がある。同指令はまた、全てのPSIを万人による利用・二次利用のために制約なく自由に公開することを制定することによって強化される。”というものです。

PSI指令の範囲内に、このような内容を包含することは、市民の共有知識と文化へのアクセスを改善するでしょう。またそれと同時に、デジタル化されたオンラインの文化遺産の数も増加されるでしょう。しかし、改正指令では、 第三者が知的財産権を有さない、文化遺産団体によって保持された文書は営利・非営利のため再使用することは許可されるとする一方、文化遺産機関に保持される最も広いカテゴリー、つまり知的財産権が全く及ばないパブリック・ドメインに属する作品への取り組みはなされていません。COMMUNIAは改正PSI指令の二次利用を許諾する義務の範囲に、図書館・博物館・アーカイブによって保持されるパブリック・ドメイン・コンテンツを明確に含有することは、パブリック・ドメイン・コンテンツへのアクセスと二次利用に関して委員会の立場を強化すると考えています。

ECより提案された改正指令2003/98/に対するCOMMUNIA委員会の意見全文はこちら(PDF)からダウンロード可能です。

原文:COMMUNIA’s response to the proposed amendment to PSI Directive
http://creativecommons.org/weblog/entry/31466
公開日時:2012年2月2日
BY Timothy Vollmer (Policy Coodinator)