CCポリシー・ワークショップの2つ目は、CCと著作権管理団体との関係についてのセッションだった。
ヨーロッパにおいて、CCと著作権管理団体との関係が注目されている。ヨーロッパでは著作権管理団体での管理が包括的かつ独占的であるが、著作権者には、楽曲によって、あるいは局面によってCCライセンスを選択する自由があるのではないか?という問題提起がなされている。米国では、音楽の演奏権の管理団体であるBMIやASCAPは、その管理が非独占的なので、音楽家は音楽を商業CDなどで出版しながら、同時にCCライセンスをつけて公表することもできる。しかし、ヨーロッパでは、そのような処理は許されていない。現在では、著作権管理団体に自分の作品を委任するか、またはCCライセンスをつけるかの二者択一を迫られており、著作権管理団体に委任しなければ、強制許諾料(放送などの強制許諾の利用料)を受け取ることもできないため、結果としてプロの音楽にCCライセンスをつけることが事実上極めて困難になっている。
CCライセンスと著作権管理団体における利用を両立させるためには、二つの方法がありうる。ひとつは、楽曲ごと、または権利ごとにCCライセンスを利用したいものについては著作権管理団体での管理から外す権利を権利者に与えること。しかし、それよりも望ましい解決として、商業利用に関する権利は管理団体に残し、非商業的利用に関してだけ自己管理によるCCライセンスを認める、という方法である。
これらの考えのもと、近年、欧州では著作権管理団体とCCとのミーティングも行われているという。そこで管理団体から表明された問題点としては、(1)音楽の自由利用を認めることが結果的に音楽の価値を下げるのではないか、 (2)CCライセンスにどれが対応しているのかを管理するための手間やデータベース改変の費用をどうするか、、(3)著作権管理団体を通じての放送局などへの包括ライセンスに影響が出るのではないか、(4)一度CCライセンスを採用すると、その期間に流通したコンテンツについてはCCライセンスを撤回できない、などの問題(悲観的な意見)などが指摘された、という。
これらについては、CC側では、いずれも誤解または解決できる問題として、今後も継続的に議論をしていく方針である。具体的には、(1)大前提として、作家には自分の作品をどのような条件で公表するかを決定する選択権を与えるべきである、(2)露出が増えることによって情報の供給源が増え、結果として需要が増える側面もある、(3)商業的な包括ライセンスについては、非商業部分だけのオプト・アウトを認めれば問題が出ないはず、(4)ライセンスの撤回については、CCだけでなく全てのオープン・ライセンス共通の特徴である、(5)効率的なデータ・ベースのアップデート・システムについては検討の余地がある、といった議論を継続していくとのことだった。具体的には、オーストラリア、フランス、オランダなどで、実際に公式または非公式の議論が始まっているということだったが、CCの仕組みそのものや、そのポテンシャルなどについて十分理解が得られていない面もあり、実務的な問題もあり、両者の合意点を見出すには時間がかかりそうだ。
[文責:のぐち]