I: Music, video and multimedia: the cultural commons
二日目のワークショップの中でも,実に多様な発表が重なったのがこの音楽,映像とマルチメディアに関するセッションでした.中でも注目を浴びていたのがアメリカの動画配信サービス「Revver」であり,実際にクリエイターと企業が収益を上げている実例に会場の関心も集中していた感があります.
最初にブラジルのTRAMA/TRAMA VIRTUALという大規模な音楽PV,楽曲配信サイトのプレゼンテーションがありました.CDアルバムをCCライセンス付きで販売し,サイト上でMP3の楽曲を公開しているという,ブラジル国内でも類を見ないビジネスモデルによって注目を浴びるこのレコードレーベルは13,000人以上のアーティストによって34,000曲を収蔵しており,ユーザー・コミュニティは300,000人を誇っています.
http://www.tramavirtual.com/
ブルガリアでは3Dモデリングのコミュニティに,CCライセンスとオープンソース・ソフトウェア(Blender / GIMP)を利用したCGのコンペティションを開催したり,voxxという楽曲制作のパブリック・ワークショップのレーベルがCCライセンスを利用したりといった個別のプロジェクトの他にも,OpenProjectsFoundationという現地のフリーソフトウェア財団とクリエイティブ・コモンズが提携して作られた団体が,C3 (Creative Commons Center)という,機材の利用は無償だが制作物はフリーで公開されるというようなルールで運営される文化施設の計画も展開しています.
www.graphilla.com
www.voxxlab.org
www.openprojectsfoundation.org/
アメリカの動画配信サービス「Revver」は「Super Distribution」(超流通),「Sustainable Creativity」(持続可能な制作環境)というキーワードを掲げ,ユーザー自身が作り上げるコンテンツ(Customer Generated Media)の流通に透明性を与えることを強調しています.そのために,配信する動画の最終1フレームを静的なハイパーリンク広告として挿入するシステムを実装し,企業とビデオ制作者に広告収入が50/50で配分することを可能にしています.また,アフィリエート・プログラムもあるため,ブログやSNS上で紹介するユーザーにも収益が入って来るシステムになっています(音楽でいうWeedshareライセンスと比較できるかもしれません).
実例として,EepyBirdというビデオ制作者は大人気を博した結果,$25,000以上を広告収入として稼ぎ,またビデオの中で利用された無名の音楽家は自身のプロモーションにも繋がり,1000枚以上のCDが売れたそうです.Revverに掲載されているビデオは全てCC:BY-ND(改変禁止,複製共有可能)でライセンスされており,映像コンテンツとアフィリエーションを交えたCC的ビジネスモデルの成功例としても脚光を浴びています.
www.revver.com
EepyBird.comの制作したビデオ
文責:[DC]