オープン・サイエンス(開かれた科学)のためのリオ・フレームワーク

iCommonsサミットの数週間前のことだ。開かれた科学と自由な文化の連結のために、そのサミットがある役割を果たしえることが、Heather FordとJohn Wibanksの目には明らかだった。iCommonsScience Commons、それぞれのエグゼクティブ・ディレクターをつとめる2人は、両者の隔たりを橋渡しする方法を発見できるという期待から、リオでの会議が討議を始めるきっかけとして役立つと同意していた。その産物、それこそオープン・サイエンスのためのリオ・フレームワーク(Rio Framework for Open Science)である。


「自由な文化のための運動への参加者が、オープン・サイエンスを実現する運動と十分なつながりを持たないのは明らかだった。」と語るのは、Science Commonsのエグゼクティブ・ディレクターで枠組み案の共同制作者でもあるJohn Wilbanksだ。「私がScience Commonsで知ったことはクリエイティブ・コモンズに浸透していないし、その逆も同じである。クリエイティブ・コモンズ・インターナショナルには、ライセンスについては知っていてもテクノロジーについては知らない人たちもいる。」
サミット初の実質的な成果であるオープン・サイエンスは、リンクの集積場として役目をはたすために、そのコンセプトが生まれてから2ヶ月以内に創設された。FordとWilbanksにより展開・調整された、リオ・フレームワークの最初の設計図は8月19日に公開された。その枠組みはiCommons wiki上にある。
現時点では、オープン・サイエンスは単なる骨格に過ぎない。それは大学やその他の機関のための最低限のツールを提供する場であり、多くのユーザーがその資源を活用すればするほど急激に拡大するだろうと期待されている。その基盤をwiki上に置くことにより、コミュニティのメンバーは活発に既存のベースを編集したり、コメントや注釈を与えたり、書き足したりできる。
「重要なのは、水晶が結晶するのを待つようにほったらかしておくことだった。人々が書き加え、注釈をつけることでそれは成長していく。目的はそのすべてを1か所にまとめて掲載することだ。そうすることで、一部を知っている人がその他のことも学べることになる。」とWilbanksはいう。
現在では、オープン・サイエンスは基盤の発展や文書フォーマット、オペレーティングシステムに関して、オープンアクセスとソフトウェア、テクノロジーへと、訪問者を案内する。また生産性のためのソフトウェアとウェブツールへのリンクもある。リオ・フレームワークは運営方針についての情報を含み、巨大な研究機関から個人的に熱中している人にいたるまでのさまざまな視聴者と契約しており、その人々を補助するためのその他のガイドからなっている。
オープン・サイエンスの可能性は、開かれた科学コミュニティ、特にそのユーザーの想像力と同じく限度を知らない。Fordが望むのは各国と連携したiCommonsの仕事を通して、ユーザーがこのリンクの集積場を、人々が助けをえることで自ら局所的なレベルにおいて進んでオープンアクセスを利用することを助けるための方法点として見ることだ。
Wilbanksはオープン・サイエンスを、将来的には議論を局所化するための手段とみなしている。Wikiにもとづいたサイトはさらに発展して、特定の分野や視聴者を対象としたパワーポイントによるプレゼンテーション、証明文書、マーケティング文書をユーザーに提供できるものになるかもしれない。とはいえ、フレームワークがそのような方向性へと向かうのは、人々によるサイトの使用とコミュニティの発展を通してのみだ。
彼はこう結論している。「国際的なコミュニティがリオ・フレームワークを用いて何をするかを見るのが待ち遠しい。それはリオ・フレームワークを特定の分野で実施し、現状よりもさらに拡大していくことになるだろう。」
これはScience Commonsの進歩と仕事に関する多くの報告で初めての記事だ。Science Commonsチームによって始動、実行される胸の躍るようなプロジェクトについて、つねにコミュニティを更新するために、Kaitlin ThaneyはiCommons.orgへと毎月記事を送ることになっている。

翻訳:TakatomoAbe
オリジナルポスト:Rio Framework for Open Science(200/9/1)

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