ubuntu流・組織論

オープンな集団をどう統率するかについては、iCommonsにいるたくさんの人が熱く議論してきたことだ。どうやってコミュニティ、とりわけオープンで透明な組織は決断をくだすのか? どうやって、オープンで透明でグローバルなコミュニティは決定にいたるのか。そこで働いている人がすべてボランティアだったとして、どうやって、すぐれた成果は築かれているのか。
この手の疑問が話題にされるとき、明らかになすべきことは、他の組織がこれにどう対処しているのかを知るために、専門家におうかがいをたてることだ。Ubuntu(訳注1)、すなわちMark Shuttleworthによって設立されたLinuxのディストリビューション(訳注2)は、成功を収めたすばららしい例だ。オープンな集団、つまり成功するための自分たちだけのやり方をあみ出さなければならなかったコミュニティを、Ubuntuは育んでいた。


Ubuntuの創設について、組織を統べるための手法をつちかった手法について、成長していくためのコツについて、iCommonsはMark Shuttleworthに話を聞いてきた。
Ubuntuを支えてきた設立の理念とはどんなものだったのでしょうか?
はじめから一貫して、Ubuntuの目標は、みんながつねにフリーで利用できる質の高いディストリビューションを作ることだった。Linuxのディストリビューションを作っているどの既存の企業も、長期間にわたって自社の製品をフリーにしておくとは思えなかった。だから、Ubuntuは設立されたんだ。以前有名になったときより、もっとプロプライエタリな戦略に向けた変化があったはずだし、フリー・ソフトウェア・ムーブメント(訳注3)の驚くべき可能性から考えたら、それは機会の喪失ということだったと思う。フリー・ソフトウェアはうまくいっている戦略だったし、それなりに賢い投資でもあったと信じている。
Ubuntuのコミュニティについて、また、最初にスタートしたときにコミュニティはどのように築かれたのか、教えてください。
まさに初期の段階から、意味ある貢献をしようと思う人なら誰もが、Ubuntuのプロジェクト内のあらゆる役割をになうことが可能だったこと、われわれが築いた組織のすべてについて、つねに外部の参加者が入りこむ余地があったことは明らかだ。初期になされたこの決断が、たくさんの異なるやり方でプロジェクトを進めることをわれわれに強いた。
最初に発生したのは、われわれが世界中に散らばっているために、メーリングリストやIRCチャット(訳注4)における議論が、(可能性としては)だれもが聴き、内容に感じ入ることが可能である状況で行われたということだった。Ubuntuコミュニティの各組織への参加は、コミュニティのメンバーに開かれている。
Ubuntuの組織のシステムについてくわしく説明してください。
Ubuntuコミュニティは、新たなチームやプロジェクトの創始を承認し、チームリーダーを任命するUbuntuコミュニティ協議会によって指揮されている。加えてコミュニティ協議会は、運営規則に責任を持つ本体部分であり、保守にあたる人や他のコミュニティメンバーをガイドラインに確実にしたがわせることを任務としている。Ubuntuコミュニティの各組織への参加は、コミュニティのメンバーに開かれている。
世界中のたくさんの人々が、Ubuntuのトレードマークを自分たちのコミュニティ建設プロジェクトのために使いたがるのではないかと思います。トレードマークは、どのように管理しているのですか?
われわれは、相当にオープンなトレードマーク・ポリシーを持っている。ローカルに行っていることを宣伝するためにUbuntuのトレードマークを使いたいならば、Eメールを一通書いてくれるだけで、ライセンスを発行できる。
FLOSSワールドプロジェクト(訳注5)のRishab Goshによれば、企業は一般的に、フリー・ソフトウェア・プロジェクトに対しおよそ17%の寄付を行っていて、残りの金額は個人によって占められるといいます。Ubuntuはどのような立ち位置をとるのでしょうか?
われわれは15人からスタートした-うち10人は、Canonical社(訳注6)にて常勤で働いていた。今では、およそ250人のうち80人が開発者で、常勤としてCanonical社で働くのは20人ほどだ。
あるプロジェクトが成功するためには、この種の「スタートアップ」資金が必要だと思いますか?
そうだ-いくつかの事例にあっては、創始者の貢献が非常なものであるために、彼らは取りまとめのチームになるに違いない。けれどUbuntuの場合には、挑戦の規模がとても大きいために、プロジェクトに専念する実体のある常勤チームが必要とされるんだ。
どのようにLaunchpad(訳注7)を開発してきたのですか? iCommonsは、自分たちのプロジェクトのために、似たようなツールを開発することを考えています。あなたがたのツールがどのように作られたのか知りたいと思います。
これくらい大きな規模のプロジェクトを調和させるために、われわれは当時は存在しなかった協働ツールを必要としていた。たとえば、Debian(訳注8)のバグと一緒にUbuntuのバグを追跡し、たくさんの仲間と協働することができようになることを望んでいた。
そういうわけで、われわれは独自のツールを作ったんだ。Bazaar(訳注9)はコードを探知するツールで、きわめて大規模の協働を可能にした。また、Launchpadはバグを追跡するアプリケーションだ。
現在、Launchpadを使っているプロジェクトはおよそ1500にのぼる。うち400が、翻訳を探知するものであり、約300がバグを追跡するプロジェクトで、およそ100は未来を設計するプロジェクトだ。
なるほど、よくわかった! ついでに、おそらくiCommonsが正しい追跡だけをできていることって、とってもすごいなぁ!
写真:‘Mo-Shuttleworth’ by Phillipa Moore, CC BY-SA 2.0 SA

訳注1:Ubuntuとは、とても使いやすいLinuxベースのOSのこと。
訳注2:ディストリビューションとは、Linuxシステムが頒布される形態のこと。
訳注3:フリー・ソフトウェア・ムーブメントとは、ソフトウェアのよりフリーな使用を啓発しようとする社会運動のこと。かのRichard Stallman(Free Software Foundation創設者:FSF)によって提唱された。
訳注4:IRCチャットとは、インターネットの回線を利用するチャット専用ソフトのこと。
訳注5:FLOSSワールドプロジェクトとは、フリー(Free)で、リーブル(Libre)な、オープンソース(OpenSource)のソフトウェア(Software)文化を促進しようとする社会運動のこと。フランス語に由来する名称のとおり、ヨーロッパを活動の中心に据えようとしている。
訳注6:Canonical社は、Mark Shuttleworthが作った、フリーソフトウェア運動を促進しようとする会社。Ubuntuのほか、Bazaarのスポンサーにもなっている。
訳注7:Launchpadとは、前注のFLOSSをサポートするために作られたウェブサイトやウェブ・アプリケーションのこと。
訳注8:Debianとは、LinuxをベースとしたオープンなOSのひとつ。
訳注9:Bazaarとは、たくさんのプログラマーによる、同時的なコードの改訂作業を容易にするアプリケーションのこと。

翻訳:eboshilog
オリジナルポスト:Governance, Ubuntu-style by Rebecca Kahn, iCommons reporter(2006/11/07)

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