2012年: 政府のオープン・イノベーション

今回は、相互性・共有性を確保することを目的に、オープンシステムと協調性のあるテクノロジーの採用を公的機関に促す取り組み“Civic Commons”についてご紹介したいと思います。Civic Commonsは政府構成にとっての基盤・知識・ツールセット、必要に応じて(データやプロジェクトホスティングのような)技術的な基盤を供給し、共通の “市民のためのテクノロジー” とプロトコルの発展を促しています。 オープンかつ共通のテクノロジーは経費を削減し、公的サービス・透明性・市民参加・運営効果の向上をもたらすことが期待されます。

Image by opensource.com

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2012年になり早5ヶ月。時間の流れと共に、Civic Commonが昨年行なった活動・学んだ事、そして次なるステップについて考えたいと思います。

昨年は多忙な1年でした。Code for AmericaOpenPlansの間の非公式パートナーシップとして、ゆっくりとスタートをきったCivic Commonsの取り組みですが、その開始にあたり、Omidyar NetworkMacArthur FoundationKnight Foundationからの寛容な支援に感謝しながら昨年5月より本腰を入れて活動開始しています。

この頃から、Civic Commonsは大きな目標に向かって加速してきました:

ここではCivic Commonsの行動中心域の活動に焦点をあてます。1) 政府に対しオープン・ソースの利用を活用するよう促す。テクノロジーへのお互いの投資は政府にとって有益なものとなります。2) Open311(注釈: 市民がより直接的に都市の情報を得ることができるオープンで相互利用性の高いシステムを構築し、その国際的な取り組みを推進している) のようなテクノロジーの発展への根本的に異なるアプローチ “オープンプラットフォーム” の発展をサポートする。3)これらの取り組み実行にあたり、その中に含まれる政策や業務に関わるオープンな知識のインフラ構築

では次に、それぞれの分野でCivic Commonsが昨年行なった活動を簡単にご紹介します。

政府のオープン・ソース活用を支援する

私たちはまず、政府は毎年多額の資金をソフトウェア開発に費やしており、オープン・ソースの提案採用が、経費削減とイノベーションが広まることを支援することができるかもしれないと仮定することから始めました。Civic Commonsは(ホワイトハウスとの)連邦ITダッシュボード・(Open Indicators Consortiumとの)WEAVE可視化ツール・(現在NYC会計監査事務局と共に開発中の)checkbook NYC 2.0・(Local ProjectsとCode for Americaとの)Change by Us・その他準備中のプロジェクトを含む、多くの政府ソフトウェア・プロジェトに直接協力することに多くの時間を投資しました。

これらの活動を通して、Civic Commonsは開発プロセス・コミュニティーとのやりとり・そしてライセンシングといった点をサポートする、政府ソフトウェア開発の第一線で活動しています(主にKarl Fogel氏が素晴らしい活躍をしてくれています)。

おそらくCivic Commonsにとって最も重要なことに、これらの活動から学んだこと(詳細は後述します)をCicvic Commons wikiに記録してきたことが挙げられますが、これは今後も続けていきます。

オープン・プラットフォームを構築する

Civic Commonsが推進している中心概念の1つに、政府は開発者と起業家に対し、政府からのサービスと直接融合するツール構築の機会を与えることで、より“プラットフォーム”としての役割を果たすという考えがあります(iPhoneのプラットフォームでアプリ制作が可能であるのとほぼ同じイメージです)。政府系のテクノロジーにおいて、このプラットフォームを基礎としたアプローチは多少なりとも新しいアイディアであり、そこで構築すべきものとその構築方法について再考を要するものでもあります。

“プラットフォームとしての政府”を実現するための重要要素は、ガバメント・サービス同士の接続、そして外部ツールとの接続のための優れた標準化された方法を導きだす事です。インターネットは数々のオープン・スタンダード上(HTTPやHTMLなど)で構築されていますが、その手法のほとんどにおける“市民ウェブ”の基盤は、簡単にテクノロジーを相互運用させることができる標準データ形式とAPIです。

そうした点を考慮して作られてきたのが、地方自治体で発生する問題(道路に空いた穴や壊れた街頭など)を報告するAPIのためのオープンなウェブ標準であるOpen311 standardであり、Civic Commonsの中心プロジェクトになっています。このサービスは異なる都市をまたいでも十分な一貫性をもち、政府と市民の関係性の中核に位置付けられるので、Civic Commonsが最初に力を注ぐ理想的なプロジェクトでもあります。(注釈:Open311プロジェクトはOpenPlansによって2009年に発足され、現在はCivic Commonsが運営しています。)

今年はOpen 311にとって安定した成長がうかがえました: ブルーミントン(イリノイ州)やマイアミ・デイド(フロリダ州)に見受けられる組織内の規約制定の発展に加え、ConnectedBitsSeeClickFixMotorolaKana Laganのような業者関与を通して獲得したOpen311に準拠する都市は現在24を越えます。そしてCode for Americaは、自身のオープン・ソースOpen311ダッシュボードを開始しました。Civic Commonsはこのダッシュボードの活躍によって、2012年加盟都市の多くが翌年それぞれの道を切り開くことを願っています。

Open311の開始当初より、テクニカル・コーディネーター兼コミュニティ・マネージャーを務めているPhil Ashlock氏は、1年の締めくくりとして素晴らしい記事をOpen311のブログに投稿しました。この内容には、Open311コミュニティーに向けた2012年の要求リストが書かれています。

知識を広める

これまでに対話を行ってきたほぼ全ての都市で、オープンデータ・API・標準・オープンソース・発展プロセス・テクノロジー政策といった問題に向き合う際に、同じ様な質問と懸念をかかえています。しかし個々の都市がそれぞれの問題に初めて対処する場面であっても、集合として見た時には多くの経験が積み重なり、多くの教訓が得られています。Civic Commonsの仕事は同じ問題に立ち向かう人々の繋がりを作り、時間をかけて意思決定をサポートする情報リソースを構築し、そして時間を節約するために内部での議論を回避することです。

この知識基盤を形成し、そこからの利益を促すために、誰もが接点を持つ事ができる進行中の取り組みをいくつかご紹介したいと思います。

  • 一般的に、Civic Common Wikiは政策・プロセス・実践において先例となる素晴らしいリソースです。今年、Civic Commonsの2011年Code for Americaの仲間であるMichelle Koeth氏が、およそ20都市からの法定代理人とインタビューした結果、法律上の調達問題指針を開始することで大きな1歩を踏み出しました。今年2月3日には、ある都市が発表しようといていた規約の一部に向けたライセンシング・オプションについての質問に回答しました。これをゼロから書き上げたわけではなく、単純にオープン・ソース・ライセンス・オプションに関するwikiページを参照したのです。また、オープン・データ政策データ規格のようなトピックに関する、素晴らしい参考文献を得ています。
  • 去年暮れ、Civic Commonsは市民のためのテクノロジー・スペースをトラックする、wikiデータベースCivic Commons Marketplaceを開始しました。このアイディアは“市民向けテクノロジーのためのCrunchBase(テクノロジー関連企業・人物・投資家の自由データベース)”とでも呼べるものです。来年はその内容とツール、両方の改善に尽力することになるでしょう。
いつものようにディスカッションに参加したい方は、Civic Commonsディスカッションを訪れてみてください。専門家の方も気軽にirc.freenode.netの#civiccommonsでディスカッションに参加していただけます。以上を念頭に置いて、ここからは今年取り組む事項について述べたいと思います。

マーケットプレイスの形成

Civic Commonsは最近になってMarketplaceのα版を立ち上げ、 どのツールがどこで利用されているかという記録をとる目的で利用を開始しました。これを使い始めるのはとてもシンプルですが、「それぞれの政府団体が目標を達成するのにどのツールを使っているのか?」ということを示す基本のデータセットでさえ、当時は着想するのが非常に難しかったのです。そのため、この状況を変えようという構想から取り組みは始まりました。また、Civic Commonsの目標はこれをオープン化されたデータセットにすることです。CrunchBaseが初期のコミュニティーとなったように、Marketlpaceが時間とともに市民のためのテクノロジー・コミュニティーになることを願っています。

もしあなたが(政府IT職員・政府に関わる場所の業者職員・市民部門に焦点をあてた新規事業に携わるなど)市民のためのテクノロジーの利用者・プロデューサー・購入者であるなら、すぐにでもMarketplaceを訪れプロフィール登録してみて下さい。Civic Commonsは、あなたが何のアプリケーションを構築・購入・使用しているかという情報を必要としています。例えばこちらにご紹介するAzavea社の企業ページは、New York City Dep of ITに向けられたものです。

Civic Commonsは、市民のためのテクノロジー・スペースで活動しているその他全ての組織・企業・政府団体と同じように、 MarketplaceがCode for Americaの新しい事業Brigadeのような新興プログラムにとって使いやすいリソースの役割を果たすよう望んでいます。さらに時間とともに、Civic Commonが構築可能なその他の有益なサービスとツール上で、 Marketplace自体がプラットフォームになれば良いと考えています(ワンクリックのサンドボックス・アプリケーション機能や業界データ分析など)。もし皆さんの中にどなたか開発者であり、最高のマーケットプレイス構築に興味がある方いらっしゃるなら、developers centerこちらのページをチェックしてみて下さい。

オープン構造とプラットフォームの力

多くの都市がアプリをオープンソース化し、二次利用の例も実体化し始めてきた一方で、最も興味深く、広範囲に広がる活動はOpen311のようなプラットフォームの周囲で起こってきました。それはプラットフォームが単体アプリケーションよりも大きいからです。プラットフォームは多くのツールにとって共通の核のまわりで構築される機会を与えます。さらに、ツールがプラットフォームのまわりで構築されるにつれ、プラットフォームの影響力はより大きなものとなり、プラットフォームの採用率が高まり、更に多くのアプリケーションの開発を促します。このことの利点は容易に想像して頂けると思います。

つまり、個々のアプリケーションよりもプラットフォームに着目することで、多くのことが起こるチャンスを作り出すのです。Civic CommonsはOpen311のコミュニティー内でこの展開を続け、同時にプラットフォームとしての公共輸送サービスはどうなっているのか、などといった事例を観察することができます。

そして、来年Civic Commonsがどの分野に尽力したいかを考えるにあたり、都市が個別にオープンソース的に開発を行い続けるだけでなく、相互に拡張可能なプラットフォーム構造を行ったオープンなインフラの開発も促す予定です。全てはオープンなイノベーションの基礎を固めるためにあるといえます。

全体的な連携:オープン化改革

ハーバード大学法学部教授John Palfrey氏は、最近発行された自身の著書『知的財産戦略』でオープン・イノベーション改革について以下のように表しています。:

オープン・イノベーションの裏にある実にシンプルで強力な考えとは、「新しいアイデアの創造者はあなたの組織にいなくても有用たりえる」 ということである。

これはつまり異なる人同士の努力を結合する可能性を実現するということであり、まさにシンプルで力強いものですね。

オープン・プラットフォームによって、政府が提供するテクノロジーの上に誰でもイノベーションを進めることを可能にします。オープン・ソースは複数の都市がお互いのイノベーションから利益を得ることを可能にし、オープンな知識は1カ所で得られた教訓や経験を他の決定の場へ活かす鍵となります。つまり、Civic Commonsの本当の意味での中心的活動とは、政府に対し、オープンなイノベーションのための潜在的な可能性を解き放つよう働きかけることです。

2012年、Civic Commonsはこれらの実現に向け突き進んで行きたいと思います。

原文: 2012: Open innovation for government
http://opensource.com/government/12/2/2012-open-innovation-government
公開日時: 2012年2月3日
BY Nick Grossman

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