FAQ

データ/データベースに関する新しいFAQ

これまで私たちCCは、データベースに関して様々な検証を行なってきました。その結果、データやデータベースに関して、CCライセンスがどのように機能するか、を説明した詳細なFAQを発表することにしました。

これらのFAQは以下を目的としています:

  1. ライセンサー(使用許諾を与える人)に対し、対象データ/データベースが利用される際、ライセンス条件が満たされない場合もありうるという警告。
  2. CCライセンスはライセンシー(使用許諾を受ける者・使用権の取得者)が、法律によって守られている権利に基づいて作品を使用することについては制限を受けないということを改めて明示すること。
  3. CCライセンスver.3.0の独自データベース権への適用についての混乱解消。

これらの目的を達成するFAQをつくるため、CCは以下の事項を重要視しました。

  • 前提問題である、どの範囲のデータ/データベースが著作権の保護の対象となるか?という質問には残念ながら答えることはできません。その代わり、ライセンサーとライセンシーに向けて、決断を導くための質問を投げかけることができます。
  • 著作権法に関する複雑な法律問題は、データ/データベースだけの問題ではありません(著作権における例外や制約について考える際、どこからが改変なのか、などという課題等も同様の問題だといえます)。データに関するCCライセンスのあり方について過度に複雑に考えたり、説明しすぎたりする前に、この前提を踏まえておくべきです。一方、事実に基づくデータ/データベースに関しては、純粋に著作権法が適用され、利用の制限あることを認識しておく必要があります。そうすれば、作品にCCライセンスをつけることで確保可能な権利が何なのかを、ライセンサーはきちんと理解・判断できるでしょう。
  • ライセンサーが詳しく記述する場合を除き、CCライセンスではデータ/データベースの違いを区別していません。ライセンス条件範囲内の著作権付与可能な全コンテンツは、基本的に同じように取り扱われます。唯一の違いは、法律が著作物の種類に応じて、それぞれに沿った適用がされることです。ただし、この点を重視しすぎると、データ/データベースへのCCライセンスのつけ方について世間一般に誤解を生じかねません。
  • データ/データベースに対し、どのようにライセンスをつけるべきかをCCが説明することは、ライセンスの選択に留まらず、難解な政策決定を迫られることになります。具体的に言うと、CCは現在の過度に制限された国際的な著作権管理体制への不満の声と、権利者ができるかぎりデータをコントロールできるような著作権法の解釈を支持する声との調和を図らなければならないのです。これまでも、CCコミュニティと共に行ってきた広範囲にわたる検討の結果として、データに関する政策決定をしてきました。CCがライセンスVer.4.0に向けて準備を進めている現在、過去5年間に行ってきた政策を踏まえ、これまでの決定を再審査しようとCCコミュニティに働きかけています。Ver.4.0のライセンシング・データベース権について、そしてその他の関連事項についてのディスカッションに今後も協力をお願いします。

ここ数年、データ分野におけるCCの活動を注目あるいは参加したことのある人々にとって、これらFAQは最新のものであり、またScience Commonsが公表したオリジナル・データFAQを更新するものとなります。最初のFAQを公開して以来、法律自体に大きな変化はなかったものの、クリエイティブ・コモンズ(現在はScience Commonsはクリエイティブ・コモンズに完全に統合されている)は、利用者がCCライセンスをどのように採用すべきか、もしくは採用すべきか否かという初期のFAQが焦点をあてていた基本的な質問から発展し、現在は実際どのようにVer.3.0ライセンスがデータベースに対し機能するかを検討しています。

皆さんがデータのライセンシングと向き合う際、この新しいFAQが役に立ち、かつ実際にどのようにライセンスが機能するかを明確にする手助けとなれば嬉しく思います。是非この機会に、皆さんの意見をお聞かせ下さい。

原文: CC releases New Data FAQs
http://creativecommons.org/weblog/entry/31244?utm_campaign=newsletter_1202&utm_medium=blog&utm_source=newsletter
公開日時: 2012年1月11日
BY Sarah Hinchliff Pearson (Senior Counsel)

※この新FAQについては、現時点では、日本語対応しておりません。

連邦政府から資金提供された研究へのパブリック・アクセス化を支援する行動を

今月初旬、Federal Research Public Access Act (FRPAA)が両党の支持とともに米国の上院・下院に再提出されました。SPARC(The Scholarly Publishing and Academic Resources Coalition)によると、この法案は“連邦機関に対し、査読雑誌に掲載されてから6ヶ月以内に公的支援を受けた研究のうち、結果的に600億米ドル以上の支援が報告された記事に、オンラインからアクセスする機会を国民に与えるよう要求しています”。この法案が可決されれば、農務省・エネルギー省・NASA・国立科学財団などの機関を含む、米政府から資金提供された研究にまで、現在の(より短い差し止め期間の)*NIH方針(NIH Public Access Policy)が影響を与えることになります。ちなみにFRPAAが初めて提出されたのは2006年のことです。

Research Works Actとは異なり、FRPAAは国民が支払った税金によって援助された重要な科学・学術調査へのアクセスを保証しています。クリエイティブ・コモンズは先日、ホワイトハウスに対し、税金から援助された研究は直ちに・無料で・理想的にはCC‐BYのように広いダウンストリーム(ネットワークで上流の通信機器から下流へのデータ) 使用権を表すオープン・ライセンスのもと、オンラインで公開するよう求める文書を作成しました。それ以前のNIH方針のように、FRPAAは連邦税金で資金提供された科学研究作品に対しオープン・ライセンスの利用を要求してはいませんが、研究へのパブリック・アクセスを増加するための重要なステップであることには変わりません。

また、SPARCが行動指針を公表しました。この中では、FRPAAを支持するにあたって有効な行動がいくつか示されています。ブダペスト・オープン・アクセス・イニシアティブ(研究文献へのオープンアクセスに関連した指針について述べられた声明書)が10周年を迎える今年、税金が支払われ、教育基盤ともなっている研究に対する国民のアクセス支援を表明しましょう。

*NIH方針ーアメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金援助された研究結果に対し、NIHが運営するPubMed Centralとよばれるオープン・アクセス・データベ−スに登録することを義務づける法律。

原文:Act now to support public access to federally funded research
http://creativecommons.org/weblog/entry/31587
公開日時:2012年2月14日
BY Timothy Vollmer (Policy Coordinator)