先週のEメールから・・・
鍵は、インターネット上のクリエーターが彼らの望むように創作活動を行い彼らの創造性の独立性を維持するために使うことができる何かを作り出すことにある。それこそが私が次の四年間に渡ってずっと見据えている難問である。そして次の数週間の間に渡って、世界中の最高峰のCCプロジェクトを見ていくことによって、この難問がどのように解決されていくのかをあなたは目撃することになる。
物語は続く・・・
クリエイティブ・コモンズはウェブ2.0のためのツールだ。法律的にも技術的にもプロトコルはウェブのユーザーに創作活動や彼らが選択した作品の共有を可能にする。もしく、それが巷で言われていることだ。この仕組みが実際にどのように機能するのか?CCが実際にはどのようにWeb2.0的なのか?
これは日本で動き出している例だ。私はちょうど2ヶ月前にこれのデモンストレーションを見た。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのメンバーが会議室の中をカッコいいTシャツを着て歩いて回る。そのTシャツはひとつひとつ少しずつデザインが違っていて、それらのシャツの下の方にはCCライセンスのマークが付いている。シャツの左袖には二次元バーコード がついていて、ほとんどの日本携帯で読み取ってURL情報に変換することができる。
私は分かりきった質問をした。「そのバーコードで一体何をするんですか?」
これらのTシャツはCシャツと呼ばれるプロジェクトの一部で、Cシャツは3つの日本のウェブサイトからインスパイアされている。前にも私はこれら3つのサイトについて記事を書いているのでCシャツがどうやってこれら3つのサイトと組み合わさっているのか分かるだろう。
一つ目のサイトは最も馴染み深い。フォト蔵 はFlickr とよく似たサイトだ。イメージにCCライセンスやタグ情報、さらには写真が撮影された場所の情報をくっつけてカテゴリー別に分類する。だからフォト蔵のイメージはCCライセンスと共にどこにでも移して加工することができる。
2つ目のサイトのWillastratorはイメージの移動先のひとつだ。Willastratorとは神原啓介氏によって作成されたオンライン上のレタッチツールのことで、新しいバージョンのWillastratorにはCCライセンスが埋め込まれている。そしてこのことはサイト上に集められているイラストはユーザーのどんな意向にも沿う形で再利用したり改変したりすることができるということを意味している。サイト自体がすごくよくできたレタッチツールでベジェ曲線も扱うことができる。そしてこのツールを用いることで誰でもイメージを描いたり、他の人と作品を共有したりあるいは他のアプリケーションにインポートすることが可能だ。
Willustratorはユーザーの作品をサイトに移すことができるようデザインされているので”本当の意味での共有”サイトと言える。そしてその移動先となるのがブログやレポート、もしくはもっとおもしろい私がデモンストレーションで見た第三のサイト―NOTA―である。
NOTAもまたとてもよくできたサイトだ。このサイトはCCライセンスを土台にしておりCCライセンスの付いたプログラムを利用して作られている。そしてこのサイトは(※)WYSIWYGウェブサイトとして驚くべき編集能力を提供する。大きなホワイトボードについて考えてみよう。そしてあなたはマーカーや写真を壁に貼ったりしてそのボードを編集することができる。NOTAでは、あなたがフォト蔵の写真もしくはWillustratorのイラストを拾ってくるかあるいは他のウェブサイトから画像をインポートすることができる。編集ツールを使うことで、重要なテキストにアンダーラインを引くことができる。もしくは背景や写真を描き足したすことでページ全体の印象を変えることができる。ボタンをひとつ押すだけで、ウェブページがつくられる。さらに、ユーザーが望めばそのページにはCCライセンスのマークがつき、即座にウェブにリンクすることになる。
これら3つのサイトはお互いの関係の上に成り立っている。Cシャツとは、まさにこれらを統合的に応用した完璧な例だ。
Cシャツを着て街中を歩いている友人に出会った時のことを想像してみよう。携帯電話を使って袖についた二次元バーコードを読み込むことでイメージが保管されているNOTAのウェブページのURL情報を手に入れることができる。NOTAのページ上では、あなたのイメージをTシャツにすることもできるしデザインを調整することもできる。例えば、NOTAを使うことであなたはレイアウトの変更をすることができる。Willustratorはデザインそのものに変更を加え、フォト蔵はデザインにイメージをインポートする。これらの作業が終わった時、NOTAはTシャツを作ってあなたに郵送してくれる。もしくはあなたのデザインを他の人が買ったり、しっくりくるような形に加工できるようにセットアップすることもできる。だからボタンをクリックすることで、Tシャツを作って送ってもらうことができるし、もしくはボタンをクリックするだけであなたの店を作ることができるのだ。
Cシャツはまだアルファバージョンだ。私がそれを見た時、それはまだできてから3週間しか経っていなかった。でもその時でさえそれは十分に機能的だった。というのも他のCCライセンスを使っているサイトが提供しているコンテンツの上に成り立っているからだ。
Cシャツが重要なのは別にヴェルサーチに取って代わるからではなくて、ウェブ2.0の原理をコンテンツのレイヤーまで拡張したというところにある。
今のところ、ウェブ2.0の周辺で起きているホットな話題は相互作用をシンプルに行うために作られたモジュラー技術についてのものだった。CCはそれを簡単に相互作用を行うためのモジュラーコンテンツの製作を支援する。サイトのコンテンツ同士がこうしたコラボレーションを明示的に誘発する時にこそ、創造活動を行うコミュニティは形成されるのだ。
これはCCの重要な狙いのひとつだ。シンプルで自由でそして拡張可能なコンテンツレイヤー上のインフラを作ることで、ウェブ上の数多くの創作プロジェクトが相互作用していくために必要としてする自由を手に入れることができる。
来週はこれらのような例をもっとたくさん目にすることだろう。(そしてCシャツの正式な活動開始のために引き続き協力していこう!)
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(※)WYSIWYG・・・What You See Is What You Get の頭文字をとったもの。見たとおりのものが得られるという意味。コンピュータのユーザインターフェースに関する用語で、ディスプレイに現れるものと処理内容(特に印刷結果)が一致するように表現する技術。
オリジナルポスト: CC & Web 2.0 by Lawrence Lessig
翻訳:Y1496
Photo by lessig.org