ローリー(ノースカロライナ州)-市議会はオープン・ソース政策を採択しました
このたび、ローリー市議会は今月7日、オープン・ソース・ソフトウェアやオープン・データの利用の促進を目的とした、オープン・ソース・ガバメントを採用する決議を満場一致で採択しました。 目標達成までのプロセスにおいて、この決議は所有権を主張できるソフトウェアと同じフィールドに、オープン・ソース・ソフトウェアを置くという内容を含んでいます。さらに、市が提供する利用可能なデータを保管するオープン・データ一覧も設置されます。
ローリー市はオープン・ガバメント政策を採決した最初の都市というわけではありません。しかし、ローリー市以外の今後に続くその他の都市がオープン化に向けた決議をより迅速に可決する手助けとなる詳細な計画・指針を示したという点では、おそらく初めてのものでしょう。
オープンソース政策の採択にとって、最も大きな障害は、市議たちにオープン・ソースとは何かを伝えることです。ここで指摘しておかなければならないことは、ソフトウェアがどのようにオープン・ソースの発展モデル、オープン・ソース・ビジネスやライセンス構造に利用できるかという話ではありません。オープン・ソースの基本である: 透明性・協調性・能力社会・ラピッドプロトタイピング(迅速に試作まで移る製作方法)についてお話しています。時折、公共政策は共有といった基本的なことすら欠くことがあるので、このことは重要になってきます。
今回の解決案がローリー市議会テクノロジー&コミュニケーション委員会によって採決された今年1月末、オープン・ガバメント支持者たちは胸の高鳴りとともに、これについての詳細を知りたいと感じました。彼らは決議だけでなく、どのように他の都市対し、これを模倣するよう提案する力をもったプロセスか知りたかったのです。
そこで、テクノロジー&コミュニケーション委員会議長である審議官Bonner Gaylord氏に、今回の採択までのプロセスについてのお話を伺いました。彼はオープン・ソースの精神のもと、喜んで今回の採決成功理由と直面した課題について話してくださいました。みなさんの住む地域の自治体で、オープン・ソースを提唱する手助けになれば幸いです。
Q.なぜローリー市はオープン・ガバメント政策を遂行したのですか?
A.ローリー市は、完全に透明でオープンな理想的な政府の構造の延長としてオープン・ソースを追求しています。一流の民主共和国には、常にその設計の中核としてオープン・ソースの枠組みを有していました。民主共和国の組織図は次のとおりです。: トップに立つ市民が選出議員を雇う。
そこで選出議員は全てを運営するため、スタッフを雇います。この組織構造において、市民は組織内で起こる全てを見ることができる「上司」にあたります。つまり、(時にそれほど明らかでない場合もありますが)目に見える範囲の外で、政府は可能な限り(「上司」である)市民に多くの情報を与え、オープンで透明性を高くするよう尽力すべきなのです。
Q.なぜその他の都市もオープン・ガバメント政策を実行すべきなのですか?
A.以下にその理由を記します。
- オープン・ガバメント政策は、「上司」である市民に対して、政府が政府としての仕事をこなしつつ、市民からのニーズに応えるために尽力している事を証明するものだからです。
- データとプロセスを公開して初めて、「上司」である市民から生まれる有益な行動・提案の可能性が開けます。
- 公開行為は、市民に責任感と歓迎の意をもたらします。責任を感じ、それに対しプライドを持つ事は、市民参加と彼らの満足感を高めるでしょう。
Q.どのように市は政策を開始しますか?
A. 選出議員、市民、政府関係者に関係なく、トランプゲームのように解決案をテーブルの上に置き、そのカード(提案)がどこへ向かうのかを追うことから始めます。
Q.IT部門からの賛同は必須ですか?
A. 政策の実行にあたり、IT部門からの賛同は不可欠です。IT部門の存在が無ければ、政策の具体的な進展は望めないでしょう。(オープン・ソースに詳しくない人々にとって)政策の枠組みを作る上で、危険な方法は非常に多く存在します。技術的な知識と戦略中止を望む気持ちがあれば、どのIT部門でもオープン・ソース構想をすぐにでも破棄することが可能です。
Q.選出議員に対しオープン・ソースとは何かをどのように説明しましたか?
A.これは簡単な言葉に言い換えることができます。ある地方公務員が「なるほど!」と感じる良い喩えは、クッキーのレシピに対してのちょっとした気持ちと似ているというものです。皆さん、おばあちゃんから長年受け継がれているクッキーレシピを1度は見た事があるでしょう。
では質問です。クッキーとクッキーのレシピ、どちらが欲しいですか?もちろん、自分自身のクッキーが作れるレシピが欲しいですよね。しかも、クルミをトッピングするなど微調整が可能で、好みのアレンジができます。オープン・ソース政策もこれと同様で、枠組みを基礎として各地方に合った必要要素を加えることが可能なのです。
以上がオープン化にとっての重要事項です。
決議とロードマップ
次にGaylord氏が語った実際の決議をご紹介しましょう。ウェブサイト上には膨大な数のサンプルが存在します。
もしみなさんの中に、お住まいの都市において決議の提案を考えている方がいらっしゃるなら、スタートポイントとしてローリー市の提案の中から1つ選んでみてください。その後、ご自身の地域に関する知識やニーズに基づき、調整するのです。これはロードマップ作りに役立ち、少なからず次のステップの計画を立てる道しるべとなるでしょう。次にどこへ向かいたいかを明確に認識することが大切です。解決案が採用されるのは素晴らしいことですが、その次段階へのビジョンが無ければ、全くの無意味なものとなります。
ロードマップ制作にあたり、その他の事例が必要でしたら以下にも注目してみてください。ローリー市の主席情報官(CIO)Gail Roper氏は、議会での発表において次のステップにも言及しています。
オープン・ソースにむけた政府の決議
(出典: http://www.raleighnc.gov/content/BoardsCommissions/Documents/TechnologyCommunications/2012/TC-Minutes-20120124.doc)
決議番号. (2011) ____
オープン・ソース・システム導入の奨励およびパブリックデータへのオープンアクセスの確保により、オープン・ガバメントを創造するという市議会の意思の表明
ローリー市はオープンで透明かつ身近な政府を実現するため、テクノロジーの利用を公約しています。
ローリー市は、自由にデータを共有することで、経済発展・商業・投資拡大・市民的積極参加の機会を発展させようとしています。
オープン化規格の採用は公開情報へのアクセスなどの透明性を改善し、国民・非営利部門・民間部門をまたぐ組織間の協調性と効率を向上させました。
ソープン・ソース規格は、分散した査読と高いクオリティーを生む透明性の力を用い、高速で低コストな簡易圧縮ソフトウェアを確保します。
ローリー市は、市民と政府の双方にとって有益となる革新的な方法で、公開データを収集・組織・共有するためのソフトウェア・アプリケーションとツールを開発するため、理想的なソフトウェア・コミュニティーを推進しようとしています。
このために、現在ローリー市議会は以下の方法で対処しています。
セクション1. ローリー市情報テクノロジー部門は、業界標準とオープン・プロトコルを利用しパブリックデータを蓄積・露出させる、オープン・ソース・ライセンシング・モデルとテクノロジーでの解決を促すための提案(RFP)の仕様が含まれるオープン化システムを導入する方針を確立します。
セクション2: ローリー市から利用可能な、オープン形式の資料カタログとしての役割を果たすウェブサイトwww.raleighnc.gov/open 内でオープンデータ・ウェブサイトを構築します。
次ステップへのロードマップ
1. オープンデータの次ステップ: スタッフの対応
- 行政機関からの資金援助獲得を継続する
- リソースの必要条件を明確にする
- 管理体制モデルを作成する
2. オープン化するデータの準備
- カタログを制作する
- オープン・データのための方針を定める (どのデータを公開し、どのように優先順位付け・形式の設定・内部プロセス・ビジネス所有権の決定を行なうか?など)
- カタログに載せるデータの選択
- プロジェクトの実施
- ローリー市内オープン・データ・コミュニティーへの取り組み
3. オープン・ソース
- オープン・ソース・ソフトウェアの評価・選択基準に関する内部調達政策を定める
- 将来性のあるオープン・ソース・ソフトウェアとプロトコルの一覧を制作する
- ローリー市がオープン・ソース・ソフトウェアのプロデューサーとして携わるための構造を作る(ライセンシング・モデルやコードリポジトリなど)
4. 住民参加ーより身近なものとして認知されることを目指す
- 市民が先導に立つコミュニティー
- 発展途中の新しいプログラムとオープン・ガバメント・コミュニティーとのコネクション
- 起業家のコミュニティーとオープン・ガバメント・コミュニティーとのコネクション
- それぞれが使いやすいブロードバンドアクセスの重要性
原文: How to get your city to pass an open government policy
http://opensource.com/government/12/2/how-get-your-city-pass-open-government-policy
公開日時: 2012年2月7日
BY Jason Hibbets
(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)