月別アーカイブ: 2012年2月

オープン・コース・ライブラリーより第一期42講座が開始

昨年10月末、ワシントン州コミュニティー・高等専門学校委員会(SBCTC)は同州で多い生徒登録数を誇る81のオープン・コース・ライブラリー講座の中から、第一弾として42講座を開始しました。今回開設された以外の残り39講座も、2013年までに開始される予定です。ワシントン州議会とBill and Melinda Gates財団によって創設されたオープン・コース・ライブラリーは、国際オープン教育リソース(OER)活動に参加するとともに、補助金体制を通して制作された資料が、オープンライセンスのもと自由に利用・適応・再頒布できるよう要求するSBCTCオープン政策を支持しています。

また、全講座はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス CC:表示3.0非移植(CC-BY)のもと公開されています。

この度開設された42講座は、以下のテクニカル形式でも利用可能です。

Green Riverコミュニティーカレッジの教師Michael Kenyon氏の生徒は、新しい数学のテキストに以前は約200ドルも支払っていました。しかし現在は教科書に20ドル払うか、それともオンラインで無料のものを使うかの選択できます。彼が使用している教科書(CC BY-SA)はPierce College Fort Steilacoomにあるコミュニティーカレッジの教授 David LippmanとMelonie Rasmussenによって書かれました。Kenyonは言います「僕たちはたくさんの教科書を見て来ましたが、その中でもこれが1番の教科書だと考える人達がいます」。

SBCTCのオープン教育政策に携わるTom Caswellは、「今回の講座はワシントンの大学生からの要望を考慮して作られました。そして世界中の人々とこれらのオープン講座を共有したいという私たちの考えも原動力となったのです。」と話します。

1つ1つの講座は、指導者・教育デザイナーや図書館員から成るチームによって校正・改善されてきました。講座資料の利用はオプションとなっていますが、既に多くの教授や学部が導入を開始しています。

学生公共利益調査グループ (PIRGs)が行なった非公式の研究によると、ワシントンのコミュニティーカレッジ・専門学校学校に通う生徒全員がオープン・コース・ライブラリーを利用した場合、1年間で約32億円(訳注:$41.6Million=4160万ドルx76.78円換算)の節約になるそうです。さらに、42講座の学部コース開発者が2011年-2012年の学期でオープン資料を使うと、約9,600万円(訳注:$1.26Million=1,260万ドルx76.78円換算)もの生徒の出費を回避することができ、これは開設した42講座の制作費約9,060万円(訳注:$1.18Million=1,180万ドルx76.78円換算)をこの学期だけで上回ることになります。「これらの節約は大学に通うワシントンの学生を助けるだけでなく、初期投資にも明らかに多大なリターンをもたらすでしょう」とう語るのは学生PIRGsへのオープンな教科書を提唱するNicole Allenです。

米国教育省報道官のJustin Hamiltonはこのワシントン州の取り組みについて、国にとって革新的であったと次のように評しました。「大学の学費を安くすることで、生徒はより多く講座を履修し、予定時期に合わせた学位取得ができます。そしてグローバル経済で成功するために用意された職場で社会人となります。これは生徒だけでなく国にとっても有益なことです。」

では最後に、オープン・コース・ライブラリーそしてOER(オープン教育リソース)の熱心な擁護者であり、ワシントン州第36地区の下院議員であるReuven Carlyle(民主党-シアトル)の言葉で記事を締めくくりたいと思います。「今日の現実に添わず、閉ざされ、高価でありながらプロプライエタリ(独占所有物)化した商業的教科書の終焉が本当に見えてきました。膨大な経費削減が求められるこの時代、オープン教育への取り組みは州を挙げて投資すべきものです。私たちはK-12(幼稚園〜高校卒業までの13年間の教育期間)と大学・専門学校教育において、いかに困難であっても、従来のコスト・モデルの現状改善に立ち向かわなければなりません。」

原文: Open Course Library Launches 1st 42 Courses
http://creativecommons.org/weblog/entry/30201

公開日時: 2011年11月2日
BY Cable Green (Director of Global Learning)

Mozillaパブリック・ライセンス 2.0

2年間のバージョニング・プロセスを経て、Mozillaよりパブリック・ライセンス2.0(MPL2.0)が発表されました。Mozillaの会長であるミッチェル・ベイカーは今回のライセンスについて「前バージョンの精神を受け継いではいるが、以前と比べてより簡潔で優れており、Mozilla以外のフリーソフトウェアやオープン・ソース・ライセンスとも相互性が高い」と自身のブログで語っています。

前回のMozilla・パブリック・ライセンス1.1(MPL1.1)は最も一般的なフリー/オープン・ソース・ソフトウェア・ライセンスの1つであり、最も有名な例としてはMozillaのFirefoxブラウザーで利用されています。そして、現在最も多く使用されているフリー/オープン・ソース・ソフトウェア・ライセンスであるGPL*と相互性の高いMPL2.0は、ソフトウェアにとっての大きな前進ステップとなります。その理由については、クリエイティブ・コモンズのFAQで、なぜCCライセンスはソフトフェアに使われるべきではないのか(CC0は除く)について説明したページに貼ってあるリンク Make Your Open Source Software GPL-Compatible. Or Elseをご覧ください。(注釈:CCライセンスはソフトウェアに使われるソースやオブジェクトコードについて言及していないので、よりソフトウェアに特化したライセンスであるGPLの利用を推薦しています) しかし、ライセンス間の非互換性を緩和させるための原理は一般的なものであり、ソフトウェア同様、科学研究・行政の情報・データベースなど幅広くに共通するものなのです。なので、CCライセス バージョン4.0にとっての重要な最終目標の1つは相互互換性を高めることです:

相互互換性- CCライセンスとその他のライセンス間の共通する部分の不適合を減らすため、相互互換性を最大限にする。そしてライセンスの氾濫を防ぐと共に、その標準化を促す。

これは長期間の熟考と他のライセンス関係者との協力を必要とする難しい目標です。これ以外にもCCライセンス・バージョン4.0に関する目標は多くあります。私たちはその過程で蓄積される効果がこれまでのバージョン3.0よりもかなり優れたライセンス群を作る糧となり、その精神は今後も続くと期待しています(例えばCC:表示-継承は今後も引き続き使用されます)。分かりやすく言うと、私たちはあらゆる全てのものとのバランスを考えようとしているのです。

MPL 2.0の発表では、多くの人々がライセンス制作のために素晴らしい貢献をしてくれたことが綴られています。おそらくソフトウェア・ライセンスを考案する第一段階として、そのデザイン性に取り組むことを含め、異なるスキルを持った人々がライセンスをより使いやすく改善することができる機会を提供することが重要なのでしょう。そして、CCライセンスを利用した様々なプロジェクトが増えるにつれ、コミュニティー全体のフィードバックの必要性も大きくなるのです。この機会に是非、CCライセンス4.0に関するあなたの意見をお聞かせ下さい 。

*GPL- General Public License。フリーソフトウェア財団(FSF)の理念に基づくフリーソフトウェア・ライセンス。利用者に対しソフトウェアの利用、複製、 再頒布などの自由を与える事を最大の目的としている

原文: Mozilla Public License 2.0
http://creativecommons.org/weblog/entry/31140
公開日時:2012年1月3日
BY Mike Linksvayer (Vice President, Creative Commons)

オープン・ソース・マジック

Image credits: virtualmagician

Image credits: virtualmagician

マジックとは常に錯覚を作り出し、その仕掛けを明らかにしないものです。もし種明かしされたなら、私たちは驚きを全く感じなくなります。マジックの種はミステリーを守るものなのです。書籍『Magic:A picture History』の中で、ミルバーン・クリストファーはこう語りました。「ミステリーはマジックの基本的な魅力。一度種明かしされた途端、マジシャンは少しインパクトのあるサスペンスドラマの俳優のように、ただの操縦者になってしまう。観客は先にエンディングを知ってしまっているからね。」

偉大なるマジシャン達は、私たちの心理は怠惰で、脳はパターン照合機械であり、そして大きな動きは小さな動きを覆ってしまうということをよく知っています。

しかし、今日のテクノロジー発展により、人々は以前よりも簡単にマジックの種を知ることができるようになりました。マジシャンのパフォーマンスを録画し、映像を巻き戻してコマ送り再生する、そして確実にマジックの秘密を発見できてしまうのです。YouTubeにアップされているマジシャンに対し、「マジックの種が分かった」という内容のコメントはいくつも見受けられます。

では今後、テクノロジーの発展と共に、どのようにマジックは展開し革新するのでしょうか?

スイス出身ニューヨーク在住のマジシャン、マルコ・テンペストはしばしば自身の作品を「オープン・ソース・マジック」という言葉で表します。彼はマジックの種を明かし、オンライン上で観客とコミュニケーションをとり協力しながら、コミュニティーで作品を共有しているのです。

Marco Tempest: Augmented reality, techno-magic
http://video.ted.com/assets/player/swf/EmbedPlayer.swf

テンペストはガジェットやソフトフェアを愛するテクノマジシャンであり、その作品には従来の見慣れた小道具と同じように 、拡張現実、ロボット工学にソフトフェア、スクリーンといったものが使われます。彼の動きは “持続したマジック” と表され、Wired紙は “種がバレる瞬間ではなく、的確なカードが出された時に、途切れる事の無い魅力的な体験が生まれる” と述べています。このようなテンペストの新手法は、現実と非現実の境界線をまたいでいるのです。例えば、Wired紙は次のようにも著しています。“彼がマジックに使う映写トリックでは、ボールが現実とバーチャル世界を行き来する。そうと明示されないが、従来のマジックは彼のショーにも組み込まれているのだ。”  “観客がそれほど確信を持てない時とは、目の前のことが‘現実か、それともコンピュータによって作られているのか’が分からない時である。彼のマジックではこの感覚が見事に観客に作用を及ぼし、成功を納めている。”
そして、テンペストはマジックについて全く何も隠さないのです。ある手品シリーズではたった1つのカメラ付き携帯のみ用いて、(このマジックは一切の映像編集、撮影後の編集なし)、その後のフォローアップ・ビテオの中で種明かしをしています。これだけでも驚きですが、まだ話は終わりません。

テンペストはソーシャル・メディア・チャンネルを利用し、観客と接点を持つことでフィードバックを得ているのです。ここで出されたアイディアを作品に取り入れた場合は、観客の名前を作品クレジットに載せます。

さらにマジックの種明かしだけでなく、パフォーマンスを作り出すテクノロジーをもシェアするのです。「科学の世界と同じように、私たちが知識と研究を共有すればマジックはより速く前進する。そしてそれは全員がマジックを向上させる大きな役割を果たしているということ」とテンペストは話します。iPhoneを使ったマジックを制作するにあたり、彼はオープン・ソース・コミュニティー上で人々と協力し、MultiVidと呼ばれる2つ以上のスクリーン間の映像を同期するソフトウェアを作りました。さらに他のアーティストのため、このソフトウェアをアップルストアから無料でダウンロードできるようにしたのです。

マルコ・テンペストのモットーは、対話型・包括的・オープン・そして協力的なマジックの公開です。観客と接点を持ち、マジックに参加させたいと考える彼は言います「マジックとは観客とリレーションシップを築くこと。だから僕のアプローチはパーフェクトだ」と。

原文:Open Source Magic
http://opensource.com/life/12/1/open-source-magic

公開日時: 2012年1月16日
BY Lori Mehen (Red Hat)

(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)

The Research Works Act

先日ご紹介したSOPA/PIPA議案に続き、現在アメリカでは H.R.3699“The Research Works Act (RWA)”とよばれる、またしてもオープン化の流れの脅威となる法案が審議中です。強い反対意見やストライキ(ブラックアウト)を受け、SOPA/PIPAの採決は延期されることになりましたが、この度のRWAも大きな議論を巻き起こしています。インターネットを中心としたメディアでは、読者にRWAへの反対意見を議会に届けるよう促すものが多く見受けられ、今後もオープン・アクセスをめぐる議論は白熱していくでしょう。

The Research Works Act (RWA)とは、昨年12月16日にアメリカ合衆国下院議員ダレル・アイサ(共和党-CA)とキャロリン・マロニー(民主党-NY)によって提案された現在審議中の法案です。内容として、民間からの出版物に掲載された研究成果の公開に関して連邦政府関係機関が関与することを禁止する他、研究成果の公開についても政府機関が著者に同意を求めるのを制限することが含まれています。米国出版者協会(AAP)とそのProfessional Scholarly Publishing(PSP)部門およびCopyright Alliance(著作権連合)はこれまでの*NIH方針を覆すとしてこの法案に賛成の意を示していますが、研究結果のオープン・アクセスを推奨するその他多くの団体からは次々と否定の声があがっています。

大きな理由は2つ。1つ目は政府に対し納税している国民が研究結果にアクセスする権限を与えられないのはおかしいということ、2つ目は知識の普及手段であるオープン化の流れを妨げるという理由です。納税者のオープン・アクセスを推奨する団体Alliance for Taxpayer Accessでも、納税者にRWA反対を議会へ伝えるよう促すページが作られました。

私たちクリエイティブ•コモンズも、全米図書館協会(ALA)や北米研究図書館協会(ARL)をはじめ10以上の団体と共にRWAに反対しています。先日にはARLのウェブサイト上で、RWAに反対する団体の声明文(pdf)が掲載されました。

クリエイティブ・コモンズは今後ともオープン化の流れを妨げる法案や関連動向を注視していきたいと思います。

*NIH方針- アメリカ国立衛生研究所(NIH)から資金援助された研究結果に対し、NIHが運営するPubMed Centralとよばれるオープン・アクセス・データベ−スに登録することを義務づける法律。RWAに賛成している団体は、NIH方針が商業出版社を脅かすものとしてこれを否定している。

参考:

ホノルルで新しいローカル・ツールとアプリケーション構築が行なわれています

Image credits: CityCamp Honolulu

Image credits: CityCamp Honolulu

今月20日午後5時から翌日21日までの24時間、プログラマーと起業家達がホノルル市とその周辺の公務員と協力し、広範囲な政府データを用いたアプリケーション開発を行なうイベントが開催されました。

イベントは既に終了していますが、ホノルル居住者の日常生活向上を目的に、行政・ITに従事する人々・そして市民との協力で行なわれた素晴らしい内容でした。

このフリーイベントはThe CityCampHNL ハッカソン(訳注:ハッキング+マラソンの造語で、24時間等の限られた時間内でひたすらプログラミングを行い、成果を表彰するイベント形式)と呼ばれ、市民と政府の情報・サービスをより良く結びつけるツール開発に共感すると共に、何かしらのアイディア・興味をもつ誰しもが参加可能なものでした。交通事情・ゴミ収集・地域イベント・近隣の統計データについてなど話題は多岐に渡り、その可能性は尽きることがありません。イベント開催中、最も革新的で便利なアプリケーションを開発したチームにはイベント・スポンサーから賞金も授与されました。

このハッカソンは先月ハワイ大学で開催され、ブレイン・ストーミング・セッションに150人を動員したイベントCityCamp Honoluluの成功に基づいています。どのようにテクノロジーは問題を解決してくれるのか?どのように私たちにとっての好機を生み出すのか?CityCamp Honoluluはこの質問の答えを探していました。

今回の第一回ホノルル・コンペティションは、別の都市で市民ハッカソンが開催され成功を収めたのを手本に、創造性と敏活さを強調したものでした。参加チームは24時間ですばやく実用レベルのアプリケーションをデザインし、開発しました。つまりイベントが開催されたわずか24時間以内で、いくつかの便利なツールがアイディアから現実のものとなったのです。

近い将来、これらのアプリケーションが一般利用できるようになると良いですね。このように、成功を収めたハッカソンは一般市民の生活をより良くし、ホノルルで急成長をとげているテクノロジー・コミュニティーのために有益な機会を提供してくれました。

また、市としてはウェブサイトを越え、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス(APIs)を用いることで、自由利用可能な膨大な量のデータベース制作に取り組んでいます。今回ご紹介したイベントが開催される1週間前には、新しく発行される地理情報システム(GIS)マップ・データに添付する目的で、ホノルル・ハッカーのためのGISガイド(pdf)が発行されました。今回のイベントに間に合う絶妙のダイミングです。

イベントを通し、テクノロジーそして電子デモクラシーの主導者達は、政府がより良い役割を果たすよう尽力してくれました。ホノルルは2012年、*Code for America Fellowsを主催する8都市のうちの1つに選ばれていますが、この度のイベント成功でCode for Americaへの協力姿勢を確かなものにしたはずです。

*Code for America: 政府がインターネットで情報公開することで、市民に対してより有益な働きをすることを目的としたオープン・ガバメント・コミュニティ

原文:Honolulu looks to build new local tools and applications
公開日時: 2012年1月17日
BY Ryan
(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示-継承 非移植3.0ライセンスで公開しています)