CC BY-NC-ND

漫画業界初、『チェーザレ・ボルシアを知っていますか?』のPDF版にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが利用されました。

チェーザレガイドカバー

漫画『チェーザレ ~破壊の創造者~』の完全ガイドブック『チェーザレ・ボルシアを知っていますか?』(講談社・2013)の初版サービスとして、本書の購入者に、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示―非営利―改変禁止)付きのPDF版全ページ無償ダウンロードサービスが実施されました。

『チェーザレ ~破壊の創造者』(講談社・20052013現在)は、ルネサンスから大航海時代へ移る世界史の中でも特に激変の時代を生きた英雄であるチェーザレ・ボルシアを描いた歴史漫画です。そして、『チェーザレ・ボルシアを知っていますか?』はこの漫画の制作にあたって、企画から10年の歳月をかけてあつめた資料をベースとして、チェーザレが登場するに至る歴史や、チェーザレを取り巻く宗教・文化的背景を網羅的・ビジュアル的に紹介するガイドブックです。

なぜ、本書にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスをつけたのかについては、『チェーザレ』を通じて歴史に興味をもった方が、さらにそれを広め、また広げていくためであるとされています(http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000284.000001719.html)。『チェーザレ』という作品は、数多の先人たちの研究をもとに、作者の惣領冬実氏と監修の原基晶氏が情報を選別し、再構成して物語として紡ぎ、漫画という形で表現されたものです。このような『チェーザレ』の創造性についての考え方、すなわち、前の世代が生み出した創造物の結果を自分なりに取捨選択し、そこに独自の創造性を付加していくことで新たな表現が生み出されるという発想は、クリエイティブ・コモンズの考えと親和性の高いものです。

過去の創作的な表現をもとにして生み出された『チェザーレ・ボルシアを知っていますか?』にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与されることで、このような創造の連鎖がさらに広がっていくことが期待されます。

クリエイティブリユースの活動を紹介する最新著作がCCライセンスを採用

大月ヒロ子、中台澄之、田中浩也、山崎亮、伏見唯 著の『クリエイティブリユース 廃材と循環するモノ・コト・ヒト』millegraph2013)のテキストと写真にCCライセンスが利用されています。

クリエイティブリユースとは、廃材など消費社会において見捨てられている「モノ」を観察し、想像力と創造力によって再び循環させることによって、地域ビジネスなどの「コト」を起こし、そこに関わる「ヒト」同士のコミュニケーションを活発にするものです。本書では、まず、世界各国のクリエイティブリユースの多種多様な活動が写真付きで紹介されています。また、東京都美術館と東京藝術大学が連携するアート・コミュニティ形成事業「とびらプロジェクト」の経過と、このプロジェクトに先行して関連する活動されている中台氏、田中氏、山崎氏のレクチャーが収録されています。さらに、日本初のクリエイティブリユースの拠点「IDEA R LAB」の誕生のプロセスや今後の活動内容が紹介されています。

本書にCCライセンス(表示・非営利・改変禁止)が活用されることで、このようなクリエイティブリユースの考え方が多くの人に共有され、「モノ・コト・ヒト」の循環が生じることになるのではないでしょうか! 今後のさらなる発展に期待です。

東京藝術大学建築科がCCライセンスを採用

リニューアルした東京藝術大学美術学部建築科のウェブサイトの写真やテキスト等のコンテンツに、CCライセンス(CC BY-NC-ND)が採用されました。

構築的かつシンプルなデザインは、Semitransparent Designによるもの。

OER(オープン・エデュケーショナル・リソース)やオープンガバメント、オープンデータの動きは、日本ではまだまだ広まっていませんが、この試みがその一助となることを期待しています。

国立情報学研究所が成果物をCCライセンスで公開

国立情報学研究所が開発している情報教育教材「ヒカリ&つばさの3択教室シリーズ」のウェブサイトが、このたびリニューアルされました。

「ヒカリ&つばさの3択教室シリーズ」は、ウェブブラウザ上で動作する、インタラクティブな学習コンテンツです。現在公開されている2種類のコンテンツのうち、「ヒカリ&つばさの情報サバイバル3択教室」がCCライセンス(表示—非営利—改変禁止)の条件に基づいて利用可能となっています。

大学生の会話によって展開するストーリーを3択形式で進めていくことで、情報セキュリティに関する知識が自然に身につくように設計されており、すでに各種教育機関等における情報教育教材としての活用が進んでいます。ぜひ一度、ご覧ください。

「Tokyo Art Research Lab」が成果物をCCライセンスで公開

東京文化発信プロジェクト室が推進している「Tokyo Art Research Lab」のサイトが、このたびリニューアルされました。
この「Tokyo Art Research Lab」(通称「TARL」)は、アートプロジェクトを知る/実施する/研究するための「知」と「スキル」のプラットフォームです。
昨年、CCJPのアドバイザリーボートであり、米国クリエイティブ・コモンズのアジア・プロジェクト・コーディネーターも務める林千晶がモデレーターとして参加した「パブリック・リレーション講座」も、このTARLが主催していたものでした。
このプロジェクトの成果物は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与することによって、幅広く活用することが可能となっています。
その他にも、ソーシャルとの連携、更新しやすく頻度の高い情報発信機能、充実したアーカイブ機能など、細かい工夫が色々を取り入れられておりますので、皆様、ぜひ一度ご覧ください。

Media That Matters Festivalが皆さんからのエントリー受付中です

今回で12周年を迎えるArts Engine主催 Media That Matters Festivalでは、現在ショートフィルム部門のエントリーを受け中です。Media That Mattersは“大きなメッセージ性のあるショートフィルムを上映するプレミア・ショーケース”であることに加え、世界中の教育者・活動家・非営利団体などと映画制作者が繋がる機会を提供し、社会変化をもたらすための手助けになります。選ばれた作品は、秋のフェスティバルで上映され、“個人の鑑賞とオンライン・ストーリーミングを融合させるマルチ・プラットフォーム・キャンペーン”として特集されます。そして、作品はCCライセンスCC:表示-非営利-改変禁止(CC BY-NC-ND)のもと公開されることになっています。

エントリーにあたり、提出作品は以下の条件を満たす必要があります:

ショートフィルム: 最長12分のもの。8分程度のものが望ましい。

作品形式    : ドキュメンタリー、物語、アニメーション、ミュージックビデオ、公報、ドラマ、コメディー、混成作品、その他あなた独自の作品形式など、全てのスタイルでエントリー可能。創造性に富んでいるものは大歓迎です。ただし、社会問題に焦点をあてた作品であることは必須。

社会問題の内容 : あらゆる社会問題が対象です。

年齢      :年齢制限なし。誰でもエントリーしていただけます。

次回の応募締め切りは来月4月20日ですが、その後も最終締切2012年5月1日までご応募いただけます。http://www.mediathatmattersfest.org/submitへアクセスし、作品を提出してください。質問はfestival@artengine.netまでどうぞ。

原文: 12th Annual Media That Matters Festival – Call for Entries!
http://creativecommons.org/weblog/entry/31477
公開日時: 2012年2月1日
BY Jane Park (Communications Manager)

SACEM-FAQ

先月お知らせしたこちらの記事『フランスの著作権団体SACEMのメンバーがCCライセンスを使用できる試験的プロジェクトが始まりました』に関して、より理解を深めていただけるようFAQをご紹介したいと思います。訳注:以下、今回のSACEMの取り組みを「パイロット・プログラム」と総称します。

注記:以下のFAQは指針について大まかな情報提供を目的に、合同でSACEMとフランスCCアフィリエイトが独自に作成したものです。これらは法的助言を構成するものではなく、またそれに値するものでもありません。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの利用を決定する必要のある場合は、このFAQが一部の情報であることをご認識下さい。

私はSACEMのメンバーですが、どうすればこの取り組みに参加できますか?
非営利目的に限って作品の再頒布を許可する3つのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのうち、いずれかの条件であなたの作品を公開することができます(次の項目をご覧ください)。ライセンスを適用する前に、著者・作曲者・出版社から作品に対する許可を得たことを確認し、録音された作品の実演版を利用したい場合は、問題となっている作品に付随する隣接権の保持者もCCライセンスの採用に同意するか十分な認識が必要です。

全ての著者・作曲者・出版社から作品に対しての許可獲得を確認後、どの作品にCCライセンスをつけたいのかをSACEMに伝え、ライセンスを選びます。sacem.frのアカウントにログインする、もしくは次の4ステップ“CCで作品を選ぶ” に従って選択作業を行なってください。:

1) クリエイティブ・コモンズ・非営利ライセンスをつけたい作品を選ぶ。
2) 3つあるクリエイティブ・コモンズ非営利ライセンスのうち1つを選択する。
3) パイロット・プログラムの条件に同意し、
4) パイロット・プログラムの条件に同意したことを確認する。

作品に適したライセンスを選んだ後、その作品のライセンス適用応方法について指示が提示されます。ここまでのステップを終えた時点で、オンライン上で作品利用を可能にするなど、ライセンス条件に従った作品の頒布が可能になります。

自分の作品にどのクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを適用できるのでしょうか?
非営利目的での利用を許可する以下のライセンスのうち、いずれか1つを選択することができます。

  • 表示—非営利 (CC BY-NC 3.0) このライセンスは非営利目的での作品のリミックス・操作・改変を許可しています。新しい改作品のクリエイターは元作品の権利者に同意し、非営利目的で利用するという許可を得なければなりませんが、同じCCライセンスを二次的著作物にライセンスをつける必要はありません。
  • 表示—非営利—継承 (CC BY-NC-SA 3.0) このライセンスは、非営利目的であり、かつ原作品の条件と同じCCライセンスをつけて公開するのであればリミックス・操作・改変を許可するというものです。
  • 表示—非営利—改変禁止 (CC BY-NC-ND 3.0) このライセンスは3つのうちで最も制限のあるものです。クレジット(氏名・作品タイトル・URL)を表示するのであれば、作品のダウンロード・共有は可能ですが、営利目的での利用や、非営利目的であっても改変は許されていません。

なぜ3つの非営利(NC)ライセンスから1つだけを選ばないといけないのですか?

このパイロット・プログラムは、音楽作品利用者からの著作権使用料を集めるSACEMの強みと、クリエイティブ・コモンズがオープン・ライセンス条件のもと音楽の頒布を可能にしているという強みを組み合わせています。
このパイロット・プログラムの一環としてライセンスのつけられた作品に対し、SACEMは営利利用によって発生した印税を収集する働きを、後述される“混合利用”の一部に非営利目的での利用が含まれない場合に限り、行ないます。3つのNCライセンスのうち1つが適用されていれば、その条件の原作品は非営利目的で自由に利用・頒布されることができるのです。これらの作品の自由な非営利利用を許可することは作品の広いプロモーションを望む著者に対して柔軟性を与え、彼らのファンに対しては頒布やリミックスを促します。

SACEMの主目的は会員の作品利用に対する印税を集めることなので、今回のパイロット・プログラムでは作品の非営利目的の利用を扱うCCライセンスの利用に焦点を当てることが決定されました。

営利目的であると考えられるライセンス作品の使用とはどのようなものですか?
SACEMメンバーによってクリエイティブ・コモンズ・非営利ライセンスの1つが適用されている作品に対し、以下の使用が営利目的であるとみなされます(つまりNCライセンス下では許可されていない利用であり、SACEMの契約に従ってSACEMへの印税の支払いが発生します)

  • 営利目的の団体による作品利用。
  • 金銭もしくはその他の形式・理由・動機に関係なく、また受益者が誰であっても、報酬を生じさせる作品利用。
  • 利益を受ける人が誰であろうと、いかなるプロモーション活動もしくは製品やサービスの促進や広告を目的とした作品利用。
  • 放送事業体や職場・店頭・販売スペースでの作品利用。
  • レストラン、バー、カフェ、コンサート会場などの公共の場での作品利用。
  • 収益を発生させる活動の一部となる、もしくは関連する団体による作品利用。
  • デジタル・ファイル共有やその他の方法によるCCライセンス作品とその他の著作物との交換。ただし直接的・間接的は関係なく、広告や資金提供の受領、また他の著作物との交換に関連した金銭取引が生じた場合のみ。

これらの利用は今回のパイロット・プログラムにおけるクリエイティブ・コモンズ・非営利ライセンスの範囲外であり、今後ともSACEMはこれらの利用形態に対してライセンス供与を行い、それに伴う著作権料を収集します。

非営利目的の利用とはどのようなものですか?
以下の利用は権利所持者と第三者の利益に関した金銭取引・収入が発生しない“混合利用”(後述する説明をご覧ください)の範囲内で、非営利とみなされるものです。

  • ブログやウェブサイトでのブロードキャスティング
  • ファイル共有
  • クリエイティブ・コモンズ非営利ライセンスのつけられた作品のストリーミングやダウンロード
  • クリエイティブ・コモンズ非営利ライセンスのつけられた作品の宣伝用レコーディング
  • 上記のようなレコーディングのパブリック・ブロードキャスト
  • クリエイティブ・コモンズ非営利ライセンスのつけられた作品のパブリック・パフォーマンス。ただしアーティスト出演料や照明、音響、会場料などの支出が発生しないもの。
  • 会場(教会、家、コンサートホール、公共イベント、インフォーマルな集まりなど)でのコンサート
  • 路上パフォーマンス
  • セミナーや会議
  • 学校(教育目的を除く)
  • 住宅マンションや公共の場の公共BGM
  • 民間の結婚式
  • 非営利団体の施設内でのBGM

上記のリストは非営利目的利用の例として挙げたものであり、制限的なものではありません。

バナー広告のあるウェブサイトによる音楽作品の利用は、営利と非営利どちらと考えられますか?
バナーが収益を生み出す場合、もしくは実費(訳注:サーバーの稼働コストなどを指していると思われます)を補う場合、いずれの場合も営利目的と考えられます。

自分の作品が営利目的で利用された場合どうなりますか?
SACEMとクリエイティブ・コモンズは全ての営利目的の利用はパイロット・プログラムの範囲外であると合意しています。この場合、SACEMが会員に代わり、表示規定に従ってクリエイティブ・コモンズ非営利ライセンス範囲外の作品の使用形式に合わせたライセンス供与と著作権料の収集を行ないます。

非営利ライセンスの作品が、異なるライセンス作品(NCライセンス以外)と組み合わせて使われる場合(混合利用)、どうなりますか?
SACEMメンバーによるクリエイティブ・コモンズ・非営利ライセンスが適用された作品と、CCライセンスが適用されていないSACEM管理下の作品が同じ同じイベントや活動において利用された場合、著作権料を徴収します。例えば、ある非営利組織団体が(訳注:”association loi de 1901”)年1回の会合でSACEMメンバーがCC非営利ライセンスをつけた作品と、CCライセンスがつけられていないSACEMメンバーの作品を流したとします。この場合、SACEMは作品の両カテゴリーから発生した著作権料を収集する権利があります。

なぜこのパイロット・プログラムを実施しているのか?
著作者のための団体として、SACEMは会員・著者・作曲者・出版社をマネージメントし、会員間で作品を流通させるために音楽作品のあらゆる利用者から著作権料を収集します。クリエイティブ・コモンズは著者に対し、いくつかの条件が合えば作品を自由に公開することを許可するライセンス基礎を発達させてきました。これによって著者は自由なオンライン流通の利用が可能になり、ファンは作品をリミックスしたり他の作品へ統合するなど、新しい楽しみ方ができるようになりました。また、このパイロット・プログラムによってSACEMとクリエイティブ・コモンズは、非営利目的で作品流通させたいSACEMメンバーに対し、CCライセンスの利用を可能にしています。同時に、SACEMは営利目的の作品に対してはこれまで同様、ライセンス供与・著作権料収集を続けることができるのです。このパイロット・プログラムはSACEMメンバーである作者たちに、より柔軟な選択肢を与えることを目的としています。

どのくらいの期間、このパイロット・プログラムは継続しますか?
2012年1月1日から2013年6月30日まで、18ヶ月間継続されます。

パイロット・プログラムの有効期間が終わった後、CCライセンス作品はどうなりますか?
パイロット・プログラム有効期間が終わると、SACEMメンバーはパイロット・プログラムの延長が無い限り(延長は保証されていません)、追加の作品へクリエイティブ・コモンズ非営利(NC)ライセンスを選ぶことを停止しなければなりません。しかし、有効期間が過ぎた後でも、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス期間内で発行された作品は、ライセンスとパイロット・プログラムの規定に従い利用の継続が可能です。 私たちは今回のパイロット・プログラムが、SACEMメンバーに期間終了後もCCライセンスの利用を可能にするような、構造化された解決策に繋がることを望んでいます。

CCライセンスと取り消したい場合、どうすればよいのでしょうか?
CCライセンスを無効にすることはできません。CCライセンスは作者の権利が存続する限り有効です。

どうすればこの度のパイロット・プログラムの成功に貢献することができるでしょうか?
SACEMメンバーとして、このパイロット・プログラムがもたらす柔軟性を利用することが貢献につながります。私たちは、皆さんがCC:NCライセンスをご自身の作品(の一部)に採用した際の反響を楽しみにしています。ご自身の経験についてのコメント報告はCreative Commons FranceもしくはSACEMで受け付けています。
あなたがSACEMメンバーでない場合、今回のパイロット・プログラムはあなたの作品へのCCラインセス適用には何ら影響を与えません(あなたの作品に寄与した可能性のあるその他全ての権利者からの許可がある限りにおいて)。あなたが自身の作品の商業的な権利を保持し、作品の営利利用から得る著作権料を収集するSACEMの強みを活かし、更に音楽の自由流通を可能にするクリエイティブ・コモンズの強みを享受したいと思うなら、SACEMメンバーになり、いずれかのNCライセンスを利用することを検討してください。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにつてのより詳しい情報はこちらをご覧ください。

注記:これらのFAQは指針について大まかな情報提供を目的に、合同でSACEMとフランスCCアフィリエイトが独自に作成したものです。これらは法的助言を構成するものではなく、またそれに値するものでもありません。クリイティブ・コモンズ・ライセンスの利用を決定する必要のある場合は、このFAQが一部の情報であることを再度ご確認下さい。パイロット・プログラムについて不明な点や質問がある場合はSACEMにご連絡いただくか、パイロットのプログラムの規約をご覧下さい。

原文:SACEM-FAQ (CC Wiki)
執筆者:Paul Keller、その他 (履歴
http://wiki.creativecommons.org/SACEM-FAQ
最終修正日:2012年1月9日

広島市現代美術館「オノ・ヨーコ展 希望の路 YOKO ONO 2011」でCCライセンスを利用した写真撮影を採用


来場者に写真撮影を許可するにあたってCCライセンスを利用する試みが、森美術館東京都現代美術館に続き、初めて広島市現代美術館でも採用されました。今回は、個展での採用で、しかも世界的に著名な現代美術作家であるオノ・ヨーコさんの展覧会です。オノさんは、1950年代からNY、ロンドン、そして東京を中心に創作活動を展開してきた前衛芸術家であり、その際立った先進性や独自性がジョン・レノンを公私にわたってインスパイアしたことでも有名です。

パフォーマンスやハイ・コンセプチュアルな作品形態が多いことから、著作権の扱いも、絵画や彫刻といった作品以上に複雑なものにならざるを得ないオノさんにCCライセンスを採用していただけたのは、非常に喜ばしいことです。多様な媒体を操り、人々の想像力をかきたて、積極的に観客を自身の作品制作に参加させるオノさんの創作活動と、「シェア」の概念によって人と芸術作品の新しい触れ合い方を提示するクリエイティブ・コモンズのコンセプトが共鳴したと考えれば、ごく自然なことなのかもしれません。

展覧会の写真を撮影してシェアすることで、3.11以降のオノ・ヨーコさんからのメッセージを広島から世界中の人々に伝える、このちょっと素敵な試みに参加してみませんか?

「オノ・ヨーコ展 希望の路 YOKO ONO 2011」
広島市現代美術館
2011年7月30日(土)~10月16日(日)
展覧会URL : http://www.hcmca.cf.city.hiroshima.jp/web/main/onoyoko2011.html
*現在、写真撮影についての大きな掲示はありませんが、受付で申し出れば撮影に関するリーフレットを貰えるそうです。

展覧会で実際に撮られた写真:
http://www.flickr.com/photos/chiaki/sets/72157627261028129/

東京都現代美術館にて「オランダのアート&デザイン新言語」展が開催中

10月29日(金)から来年1月30日(日)までの間、東京都現代美術館では「オランダのアート&デザイン新言語」が開催されています。

コンセプチュアルかつ遊び心に溢れるオランダデザインは90年代から注目を集め、私たちに新鮮な驚きを与えてきました。本展では特に人とモノとの関係、そして人と人とのコミュニケーションを問いかける代表的なアーティスト/デザイナーである、テッド・ノーテン(コンテンポラリー・ジュエリー)、マーティン・バース(プロダクト・デザイン)、そしてアートの分野からマルタイン・エングルブレクト、タケトモコが参加します。彼らの作品は作品との接触によって、私たちの生活感覚に化学変化をもたらすような触媒作用を果たしてくれるような展覧会です。
「オランダのアート&デザイン新言語」展公式サイト

同展覧会では前回の「こどものにわ」展に引き続きCCライセンスを利用した写真撮影が可能です。
出展作家の同意の下、映像作品を含むすべての作品を写真に収めることができます。また、ライセンスや作家の名前の記載などの規定に従えば、ブログや写真共有サイトなどに投稿することも可能です。
(詳細はこちら

日本では写真撮影が可能な美術館・ギャラリーは珍しいですが、欧米の美術館、特に常設展などでは写真撮影が自由な所が少なくありません。今回も出展作家たちとの協議はスムーズに進み、さらに作家の権利と意思を尊重しつつ、観客がよりオープンに作品に接することを可能にするCCライセンスの内容にも共感いただきました。
作品によっては観客が触れて初めて完成するものもあり、その様子を写真に残すことは作家にとっても興味深い試みのようです。

写真撮影の許可は展覧会や美術館をよりオープンなものにする手段の一つといえますが、今後はより多様なアート分野におけるCCライセンス活用の可能性についても考えていきます。

関連エントリ:東京都現代美術館「こどものにわ」展で写真撮影と写真の利用を許可する試み

(12月7日20時 改行位置を修正し、写真の投稿についての説明を追加しました。)

東京都現代美術館「こどものにわ」展で写真撮影と写真の利用を許可する試み

7月24日(土)より東京都現代美術館にて開催中の「こどものにわ」展(~10月3日まで)において、写真撮影と写真の利用を許可するにあたりCCライセンスが採用されています。すでに六本木の森美術館では昨年より同様の取り組みが行われていますが、国内の公立美術館では初。

「こどものにわ」は、乳幼児から大人まで楽しめる体感型・参加型の作品がいっぱいの小さなお子さんの美術館デビューにピッタリの展覧会です。小さなこどもの視点や身体感覚、心の動きを通してとらえた美術世界を、周りの大人が共有・あるいは追体験することで、年齢層の異なる他者とのコミュニケーションや、人と美術の関係を再考・再発見するような機会を創出します。
美術館公式サイト「展覧会概要」より抜粋

これまで日本の美術館で行われる展覧会は、子供にとっては静かにしなければならない退屈な場所、また子供を連れた大人たちにとっても気を使うことが多く、なかなか足を運びづらい印象がありました。そこで、ご自身も小学一年生の男の子の母である担当学芸員の難波祐子さんが、子供やその親たちが楽しみながらアートに触れられる展覧会をと、4年がかりの構想を経て実現されたのが今回の「こどものにわ」です。

実際に触って動かすことができる作品も多く、ただ展示された作品を観るだけという一方通行ではなく、主体的に関わっていけるという点が特徴です。さらに写真撮影が可能ということで、親子の記念として残り、子供にとっても印象深い体験となることでしょう。

撮影した写真は「クリエイティブ・コモンズ表示ー非営利ー改変禁止2.1日本」のCCライセンスで自由に利用することができます。くわしくは、同展の写真撮影に関してのご案内を参照ください。

今やブログやツイッターなどウェブ上の口コミの効果はこうした展覧会やアーティストの活動においても例外ではなく、アートの業界における新しい広報の在り方を考える上でも興味深い試みです。

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(作者:大巻伸嗣)

24日に行われたオープニングレセプションの様子で
(作者:出田郷)
24日に行われたオープニングレセプションの様子です。

体験型の作品も多いのが特徴です。
(作者:KOSUGE1-16)
体験型の作品も多いのが特徴です。