活用事例

国立情報学研究所が成果物をCCライセンスで公開

国立情報学研究所が開発している情報教育教材「ヒカリ&つばさの3択教室シリーズ」のウェブサイトが、このたびリニューアルされました。

「ヒカリ&つばさの3択教室シリーズ」は、ウェブブラウザ上で動作する、インタラクティブな学習コンテンツです。現在公開されている2種類のコンテンツのうち、「ヒカリ&つばさの情報サバイバル3択教室」がCCライセンス(表示—非営利—改変禁止)の条件に基づいて利用可能となっています。

大学生の会話によって展開するストーリーを3択形式で進めていくことで、情報セキュリティに関する知識が自然に身につくように設計されており、すでに各種教育機関等における情報教育教材としての活用が進んでいます。ぜひ一度、ご覧ください。

初音ミクがCCライセンスを採用!

クリプトン・フューチャー・メディア社(以下「クリプトン社」)が提供する人気キャラクター「初音ミク」その他キャラクターがCCライセンスに対応しました。

Hatsune Miku / Crypton Future Media inc. / CC BY-NC

クリプトン社は、これまでもキャラクターの利用許諾を希望するユーザーに対し
て、「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)を提供し、創作の円滑化を
図ってきました。
一方、「初音ミク」をはじめとするクリプトン社キャラクターの認知度が国外で
も高まってきたことから、ライセンスのグローバライゼーションに取り組み、CC
ライセンスの対応を選択したとのことです。

今後、クリプトン社のキャラクター公式画像については、PCLとCCライセンスの
デュアルライセンスの適用となり、ユーザーは使いやすい方を選択することがで
きます。

これにより、今後、世界中のユーザーやクリエイターにより、どんなミクが生み出されるのか、楽しみでなりません!

「Tokyo Art Research Lab」が成果物をCCライセンスで公開

東京文化発信プロジェクト室が推進している「Tokyo Art Research Lab」のサイトが、このたびリニューアルされました。
この「Tokyo Art Research Lab」(通称「TARL」)は、アートプロジェクトを知る/実施する/研究するための「知」と「スキル」のプラットフォームです。
昨年、CCJPのアドバイザリーボートであり、米国クリエイティブ・コモンズのアジア・プロジェクト・コーディネーターも務める林千晶がモデレーターとして参加した「パブリック・リレーション講座」も、このTARLが主催していたものでした。
このプロジェクトの成果物は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付与することによって、幅広く活用することが可能となっています。
その他にも、ソーシャルとの連携、更新しやすく頻度の高い情報発信機能、充実したアーカイブ機能など、細かい工夫が色々を取り入れられておりますので、皆様、ぜひ一度ご覧ください。

ハーバード大学が1200万件以上の書誌データをCC0ライセンスで公開

Harvard Library, Cambridge, H. P. Kendrick, Public Domain

Harvard Library, Cambridge, H. P. Kendrick, Public Domain

先月24日、米国ハーバード大学は同大学のオープン・メタデータ政策に従い、全ての図書館データをCC0ライセンスのもとオンラインで公開すると発表しました。この所蔵品データには、ハーバード大学の73の図書館が保有する書籍・ビデオ映像・オーディオ資料・原稿・地図などの情報が含まれています。

1200万件にのぼるMARC21フォーマット(Machine-Readable Cataloging/機械可読目録-図書館情報学に関わる規格)のデータは、ハーバード大のサーバーからダウンロード可能になっており、データハブを通してアクセスすることも出来ます。また、Digital Public Library of America(米国デジタル公共図書館)のAPIを経由して利用することも可能です。

ハーバード大学学術コミュニケーション部部長Stuart Shieber氏は、保存されているデータが思いもよらないことに使われる可能性を認識してり、「これらのデータによって、予測しがたいようなことや、いろいろなもの同士を結びつけることができる可能性がある。」と述べています。また、「より多くのデータが公開されるほど、人はさらに革新的なことを行うのです。」とも話しています。

ハーバード大学ウェブサイトに投稿された公式発表はこちらをご覧ください。

原文: Harvard Released 12 Million Library Records
http://openglam.org/2012/04/25/harvard-releases-12-million-library-records/
公開日時: 2012年4月25日
BY Sam Leon
(このCCJPによる翻訳記事はCC:表示- 非移植3.0ライセンスで公開しています)

政府と図書館: クリエイティブ・コモンズを利用したデータのオープン化

ここ数か月、オープンデータを取り巻く状況は刻々と変化しています。その中でも、政府や図書館に関係したオープンデータの動きが顕著です。今回は、最近オープンデータを採用したオーストリア政府、イタリア文部省(教育・大学・研究機関担当)、イタリア下院議会、ハーバード図書館の事例をご紹介したいと思います。

Open data / opensourceway / CC BY-SA

Open data / opensourceway / CC BY-SA

オーストリア政府は、膨大なデータを公開するオープンデータ・ポータルを、CC BYライセンスで開始すると発表しました。このポータル利用規約においては、オープンデータを行う場合にCC BYライセンスの付与を推奨すること、そしてそのようなデータの詳細にはCC BYランセンスを付与した旨を記載することなどが述べられています。

イタリア文部省も、CC BYオープンデータ・ポータルを開始しました。このポータルには、イタリア国内の学校に関するデータ(住所・電話番号・ウェブサイト・管理番号など)、生徒の情報(学生数・性別・成績)、教員の情報(教員数・性別・退職の有無など)が含まれています。同省は、透明性を高めるため、ゆくゆくは全データを二次利用のために公開・オープン化することを目標としており、同時に、教育システムに対する理解を高め、生徒・教員・保護者のための新しいツールやサービスが作られていくことを助けたいと考えています。

また、イタリア下院議会は、CC BY-SAで関連オープンデータを公開するプラットフォームを開発しました。

続いて、米国ハーバード図書館の事例です。同図書館は、1200万点もの目録CC0を使ってパブリック・ドメインとして公開しました。CC0とは、作品をパブリック・ドメインに置くため“いかなる権利も保有しない”という意思表示をするためのツールです。この動きは、ハーバード図書館のオープン・メタデータに関する指針に従ったものであり、FAQでは以下のように述べられています。

CC0 パブリック・ドメイン表示によって、ハーバードは、メタデータにおけるいかなる著作権、それに付随する権利を放棄することになります。これにより、データの幅広い利用とその利用によって生じる発展が期待され、図書館コミュニティーと市民の双方にとって有益なものとなると信じています。

また、ハーバードのプレス・リリースには、オープンデータ化を進めた動機について、以下のように書いています。

DPLA(Digital Public Library of America)の議長であるJohn Palfrey氏は、「この素晴らしい提案によって、多くの開発者は、地方公共図書館や研究図書館・博物館・アーカイブや文化的コレクションを含む、重要な国のリソースを利用した革新的アプリケーション構築を試みることが可能になります。」と述べました。さらに、彼は、「今回の動きが、その他の機関においても、それぞれのコレクション・メタデータを公開するきっかけになれば嬉しい。」とも話しています。

オープンデータにCCツールが利用されることは、非常に喜ばしいことです。CCとデータに関する質問はこちらをご覧ください。このFAQには、データを公開している政府・図書館・組織へのリンクも掲載されています。

原文: Government and Library Open Data using Creative Commons tools
http://creativecommons.org/weblog/entry/31884
公開日時: 2012年4月24日
BY Jane Park (Communications Manager)

ソーシャル・チッピング・プラットフォームGrow!

Grow!ボタン

Grow!ボタン

ユーザー同士がお互いの作品にチップを贈って支援することのできるGrow!ボタンがCCライセンスに対応しました。

Grow!ボタンが設置されたコンテンツを気に入ったユーザーは、事前にポイントを購入しGrow!ボタンをクリックすることで、設置者に対してチップを贈ることができます。Grow!したことは各種ソーシャルネットワークにおいて拡散し、より多くの人が知ることとなります。

そして自身のコンテンツに対してGrow!ボタンを設置しているユーザーは、各コンテンツに対し個別にクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを設定することができ、設定した際にはGrow!サイト内のコンテンツページ、及び外部ウェブサイトに設置されているGrow!ボタンに、選択したライセンスのラベルが表記されるようになります。

Nature Publishing GroupがCC0で45万点以上の出版データを公開

Ideal Knot final rendering / Matt Biddulph / CC BY-SA

Ideal Knot final rendering / Matt Biddulph / CC BY-SA

2012月4月4日、Nature Publishing Groupは、新しいLinked data(データをオープン化するためのデータの共有方法)のプラットフォームを始めることを発表しました。 これにより、2000万点ものリソース・ディスクリプション・フレームワーク(RDF)のステートメント へのアクセスが可能になります。この中には、NPGが1869年の創刊以来発行してきた45万点以上もの記事の主要なメタデータも含まれています。また、これらのデータは、NPG特有のオントロジー(メタデータを各文書に加え、それを記述する用語を定義する構造)と同様に、基本的な引用情報(タイトル・著者名・発行日など)も含有しています。そして全てのデータは、記事をパブリックドメイン化するために、CC0のライセンスの下で公開されています。CC0はライセンスではありませんが、作品に生じる(存在する)著作権とデータベースに関する権利の放棄を永久的に望むなら、誰でも利用できる法的手段です。つまり、CC0の利用によって、可能な限り作品をパブリックドメインに近いものにできるのです。

今回の動きは、NPGが2009年に発行した数ある記事の中でも、特にこの意見記事「データとツールを取り巻く今後の出版物の共有について」で述べられている内容を実行に移した、非常に素晴らしいものです。その記事内容は、オープン共有とデータをパブリックドメインとする際のCC0の利用を、明確に推奨したものでした。

データへの自由なアクセスと利用を目的に、大規模な公共データベースがデータを公開するというのは、ごく自然なことです。しかし、この場合、利用に対する制限は非常に少なくなければなりません。そこで、私たちが支持するのは、曖昧な部分のないオープンな共有の仕方を推進することです。データをパブリックドメインとするため、いかなる権利も保持しないとするクリエイティブ・コモンズのCC0がその1つの解答です。

NPGの他にも、多くの組織や機関がデータ公開のためにCC0を利用しています。私たちのwikiページ、データとデータベースに関するCC0の利用で詳細が述べられていますので、興味ある方は是非ご覧ください。また、データに対するCCライセンスについては、http://wiki.creatibecommon.org/Data 内の記事とCCのFAQをお読み下さい。

原文: Nature Publishing Group releases publication data for more than 450,000 articles via CC0
http://creativecommons.org/weblog/entry/32283
公開日時:2012年4月5日
BY Jane Park (Communications Manager)

国立図書館・博物館がCC0ライセンスでデータを公開

Open Data Stickers” / Copyright and related rights waived via CC0 by jwyg

Open Data Stickers” / Copyright and related rights waived via CC0 by jwyg

ここ数ヶ月、CC0ライセンスはデータの分野、特にGLAMデータ(ギャラリー、図書館、アーカイブ、博物館の頭文字をとってGLAMと呼ばれます)においてますます評価が高まっています。スペインとドイツの国立図書館は、CC0パブリック・ドメイン・デディケーション・ツールを利用し、書誌データを公開しました。これがどれだけ意味のあることか、ここで少し説明したいと思います。CC0ライセンスでデータを公開するということは、データを効果的にパブリック・ドメインにし、そのデータが活用される可能性を広げるために、図書館が全ての著作権を放棄するということを意味します。さらに、それらのデータはLinked open dataとして公開されています。つまり、これらのデータはウェブ上で様々なソースからのデータをリンクでつなぐことを可能にするRDF(Resource Description Framework)として公開されているのです。

スペイン国立図書館は、データ・ポータル: datos.bne.es.をつくり出すため、Ontology Engineering Group(OEG)と手を組みました。このデータ群へはhttp://www.bne.es/es/Catalogos/DatosEnlazados/DescargaFicheros で直接アクセス可能です。

そして、ドイツ国立図書館(別称:Deutsche Nationalbibliothek(DNB))はここでCC0を利用し、Linked open dataとして文書を保存しています。CCドイツでもこの動きを報じており、英語版はOpen GLAMに掲載されています。

関連して、NYのメジャーな博物館であるスミソニアン・クーパー・ヒューイット博物館も、文書化されたコレクションの60%を、CC0でパブリック・ドメインとして公開しています。このデータ群はGithubで公開されています。詳しくは http://www.cooperhewitt.org/collections/dataをご覧ください。

先日アップデートしたFAQを含め、クリエイティブ・コモンズとデータについて詳しく知りたい方は http://wiki.creativecommons.org/Dataで詳細をご確認いただけます。

原文: National Libraries and a Museum open up their data using CC0
http://creativecommons.org/weblog/entry/31853
公開日時: 2012年3月12日
BY Jane Park (Communications Manager)

オーストラリア放送協会が過去のニュース映像をCCライセンスで発表

ABC Mobile Studio Caravan provided by Australian Broadcasting Corporation / CC BY-SA

ABC Mobile Studio Caravan provided by Australian Broadcasting Corporation / CC BY-SA

アーカイブ、放送局、報道機関によるCCライセンスの利用に興味をもつ皆さんへ、参考になる事例のご紹介です。

先日、 CCオーストラリアは、国内最大の公共放送局・通信社であるオーストラリア放送協会(Australian Broadcasting Corporation / ABC)がWikimedia Commonsを採用すると発表しました。これは、厳選した歴史的に重要なTVニュースCC BY-SAで公開するためのものです。

Wikimediaの資料の多くは、ウェブイサイト「80 days that changed our lives(私たちの生活を変える80日間)」の一部として、ABC開局80周年を記念する一環として、他の記録資料と共に公開されてきました。しかしながら、これは、CCライセンスのもと、二次利用を目的とする多くのニュースや時事報道放送を含む何百もの保存物、網羅的な音声の送受信、ビデオや写真材料を発表してきたABCによる、大掛かりなオープン・アーアカイブ計画のほんの一部です。これは、以前CCライセンスの採用についてご紹介させていただいたABCのソーシャル・メディア・サイトPool上で展開されます。

ABC以外の放送局もCCライセンスで資料を公開していますが、そのプロジェクトが他と違う重要なものになるか否かは、ニュースの質にかかっています。そこで必要なのが、不明瞭な記録資料でも編集前の映像でもなく、ABCのトップ時事報道番組に見られるような、オーストラリア史における大事件を取り上げた洗練されたストーリーなのです。アポロ11号の月面着陸アザリア・チェンバレン失踪事件豪ドルの変動がその例だといえます。異様なほど正確に、現在のインターネット環境を予測した1974年のアーサー・C・クラーク氏の映像も、言うまでもなくその一部です。

そして、Wikimedia Commonsを通した資料の公開は、Wikipediaにおける資料の二次利用を促します。例えば、クリケット・ワールドシリーズの紹介記事です。Wikimediaに記載することで、ABCのウェブサイトに留まらず、かなり広範囲に開けたオーディエンスに向けて情報の発信が可能になり、さらに頒布され広がっていくことが期待されます。ABCイノベーションのディレターであるAngela Clark氏は、プレス・リリースで「Wikimedia Commonsを利用したコンテンツの共有は、より多くの人々にABCのコンテンツを公開するだけでなく、映像の創造性や新規オーディエンス開拓の可能性を促進することに繋がる。」と述べています。

Wikimediaでは、この度の事例について「同ウェブサイトと同じフリー・ライセンスであるCC BY-SAのもと、Wikimedia Commonsで公開された、初の“包括的”放送映像コレクションである」と記載されています。私たちクリエイティブ・コモンズは、今後も今回のような事例をCase Studies wikiに追加していきたいと思います。

原文: Australian Broadcasting Corporation releases archival news footage under Creative Commons
http://creativecommons.org/weblog/entry/32102
公開日時: 2012年3月27日
BY Jessica Coates (Affiliate Network Coordinator)

ラーニング・プラットフォームGoodSemesterがCCを採用

アカデミック・プロダクティビティに焦点をあて、オンラインを利用した教育の向上を図る新しいラーニング・プラットフォームGoodSemester。今回は、GoodSemesterの教育サービスが講義ノートの共有・複製・編集を目的に、クリエイティブ・コモンズを採用したことについて、ご紹介したいと思います。これによって、学習者は、GoodSemesterのラーニング・サービスを通し、CCライセンスのつけられたノートを見つけ、コピーし、修正できるようになりました。つまり、そのノートが直接授業の一部として組み込まれるようになったのです。GoodSemester上で新しく作成されたノートには、CC:表示-継承 (CC BY-SA)がデフォルト・ライセンスとしてつけられます。

初期設定はCC BY-SAですが、利用者はノートの共有はしないという選択もできます。GoodSemesterは、オープンな共有を促すために、ノートにCCライセンスを付けておくとこんなに良いがあるんだとという利点をこれまで示してきました。利用に制約のあるノートは、コピーも共有も編集もすることができません。一方、ノートを共有すれば、学習者は、活動的な他の学習者が参加している活気あるコミュニティーに自ら参加し、OER(Open Educational Resources)を支援するコモンズに貢献する機会を得ることができます。

加えて、GoodSemesterウェブサイトの脚注部分で発表されているように、GoodSemster自体の資料等にも同様にCC BY-SAをつけてリリースしています。

GoodSemesterによるテキストと画像は、オープンライセンスのもと公開されています。それは、私たちがオープン化を推奨・推進しているからです。オープンな学習に対する活動へのサポートを示すため、GoodSemesterによって制作されたGoodSemester上の全テキストと画像は、クリエイティブ・コモンズ・表示-継承のもと公開します。

その他、ツールの有用性やコミュニティーの価値を高めるために、CCライセンスをプラットフォームに取り入れている会社の事例はこちらでもご確認いただけます。

原文: Sharing and remixing class notes on GoodSemester under Creative Commons
http://creativecommons.org/weblog/entry/31889
公開日時: 2012年3月19日
BY Cable Green (Director of Global Learning)